存命中に舞台化されたオペラは、フリッツ・マーラーがフィラデルフィア音楽院において指揮した《(Horus)》のみであった。ヴァイディッチの手の込んだオペラは、たいてい百名あまりの楽団員と頻繁な舞台転換を必要としている。初期のオペラは後期ロマン主義様式に則っているのに対して、後年の作品は不協和になってはいるものの、決して無調を採用してはいない。台本は、ほとんどがマジャル語で書かれ、古い時代のはるか異国の地や、あるいはよその惑星を舞台に、込み入った歴史神話を描き出している。ヴァイディッチの驚異的な作品は、生前は知られてはいなかったが、歿後に関心が深まり、《カリフの魔術師スーとサー(The Caliph's Magician: Suh and Sah)》はブダペスト国立歌劇場附属管弦楽団によって、《ヘロデ王の眼前のイエス(Jesus Before Herod)》はサンディエゴ交響楽団によって商業的に録音された[2]。