コンピュータにおける黒-白グラデーション。上:3色、下:256色
コンピュータグラフィックス(ビットマップ画像)においては、実際問題としてグラデーションは扱い辛いものである。グラデーションの変化は「アナログ」つまり連続的なものであるのに対して、コンピュータは「デジタル」つまり離散的なデータしか扱えないためである。
SVGの線形グラデーション(linear gradient)機能を用いて描写したグラデーション(gradation)
2点の間で色の「勾配(gradient、グラディエント) 」を設定して一定の領域を塗りつぶすコンピュータグラフィックスの手法は、日本語ではしばしば「グラデーション」と訳される。英語でも近い意味の単語であり、海外でも「gradient」と「gradation」が混同されている場合がある。ただし実際は違う意味の言葉で、グラデーションは「段階的な変化」という意味であるのに対し、グラディエントは「勾配」という意味である。
例えば、Adobe IllustratorやGIMPなどといったCGソフトウェアに搭載されている「グラデーションツール(gradient tool)」の機能は、パレット上に2色を置き、その間の「グラディエント(勾配)」を設定することで、間の色が線型順序で配列される、と言う物である。「gradient tool」であって「gradation tool」ではないが、「グラディエント(色の勾配)」を設定した結果として「グラデーション(段階的な色の変化)」が画面に描写されるので、機能の説明としては間違っていない。
ちなみに、「gradient」と「gradation」は、「graduation(卒業、目盛り)」「grade(学年、グレード)」などと同じく、いずれもラテン語の「gradus」を語源とする言葉である。ラテン語の「gradus」は現代英語の「step」に相当し、「一歩」「前進」「階段」などの意味を持つ。
「gradient」の訳語としての「グラデーション」については「カラーグラデーション」の項目を参照のこと。
1980年代から1990年代にかけてのコンピュータはスペックが低く、利用できるビデオメモリ(VRAM)の容量も少なかった。そのため、画面に表示できる「同時発色数」が少なかっただけではなく、グラデーションに利用できる「使用可能色」も少なく、画面解像度も低かった。そんな中でグラデーションを表現するため、並置混色によって少ない色数で擬似的にグラデーションを表現する「ドット絵」の技法が洗練された。
1990年代以降のコンピュータでは、より潤沢なビデオメモリを搭載したグラフィックコントローラが利用されるようになり、インデックスカラー方式を用いた場合でも多くの色が扱えるようになった。
例えば1990年に発売された任天堂スーパーファミコンは、同時発色数こそ256色と少ない物の、使用可能色は全32768色とかなり多く、かなりの色数をグラデーションの色に割り振ることができるようになり、人の目で一見してはそれほど違和感を覚えないまでになっている。
1990年代中頃より、約1677万色が表示可能な24ビットカラー(フルカラー、トゥルーカラー)対応のハードウェアが普及したため、グラデーションに使う色数の制限に悩むことはなくなった。
メッシュを用いたグラデーション。4色でグラデーションを表現
フルカラーによる細密なグラデーションが表示できない旧世代ハードのグラフィック(ドット絵)においてグラデーションを表現する場合は、メッシュ(網かけ)法が使われる。
ベタ塗りのピクセルに一定のパターンで別の色を配置すると、並置混色によって擬似的に多くの色が表現できる。更にはドット配置パターンを段階的に変更することで、擬似的にグラデーションを表現することができる。