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グルタミン酸ナトリウム

化合物、調味料 From Wikipedia, the free encyclopedia

グルタミン酸ナトリウム(グルタミンさんナトリウム、monosodium glutamateMSG)は、構造式HOOC(CH2)2CH(NH2)COONa で表されるグルタミン酸ナトリウムである。グルタミン酸ソーダグル曹とも呼ばれる。

概要 物質名, 識別情報 ...
グルタミン酸ナトリウム
Chemical composition of monosodium glutamate
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.005.035 ウィキデータを編集
EC番号
  • 205-538-1
E番号 E621 (調味料)
UNII
性質
C5H8NO4Na
モル質量 169.111 g/mol (無水物)
187.127 g/mol (一水和物)
外観 白色の結晶性粉末
融点 232 °C (450 °F; 505 K)
740 g/L
比旋光度 [α]D +25.16 (10 g/100 mL 2N HCl at 20 ℃)[1]
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 0: Exposure under fire conditions would offer no hazard beyond that of ordinary combustible material. E.g. sodium chlorideFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
0
0
0
致死量または濃度 (LD, LC)
16,600 mg/kg (経口, ラット)[2]
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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アミノ基が手前側に出ているL体調味料として多用される。1908年、池田菊苗が昆布だしのうま味成分としてグルタミン酸を見いだし、グルタミン酸塩を主成分とする調味料の製造法を発明した。歴史的な名称は化学調味料だったが、その後うま味調味料と表記されている。

グルタミン酸ナトリウムを利用した調味料で有名なものとしては、うま味調味料味の素がある。なお日本では、食料品においてグルタミン酸ナトリウムは、食品添加物表示では「調味料(アミノ酸等)」と表記される[3]

歴史

グルタミン酸は、1866年にドイツの化学者カール・ハインリヒ・リットハウゼン英語版によって小麦グルテンから単離された[4]

東京帝国大学教授の池田菊苗は、昆布だしのうま味成分を研究し、1908年に昆布から得られるうま味の主成分がグルタミン酸であることを見いだした[5][6]

池田は、グルタミン酸を調味料として利用しやすい形にするため、グルタミン酸塩を主成分とする調味料の製造法を発明し、1908年に特許を取得した[5][6]。この発明をもとに、1909年に鈴木三郎助らによって味の素として商品化された[4]

製法

食用グルタミン酸ナトリウム生産の先駆けである味の素は、当初小麦グルテン加水分解することによって生産していたが、製造費用が非常に高くつくため、石油由来成分(アクリロニトリルなど)による化学合成に替わった[4]

しかし1950年代中盤になり、協和醱酵工業(現・協和キリン)の田中勝宣中山清木下祝郎鵜高重三らにより[7][8][9][10]、グルタミン酸生産菌 Corynebacterium glutamicumが発見され、これに廃糖蜜サトウキビから砂糖を搾り取った残滓)などをエネルギー源として与え、発酵によりグルタミン酸を得る手法が開発された。費用面において優れていることから、グルタミン酸生産菌による発酵法に転換している[11]

グルタミン酸(およびその塩)は、トマトやチーズ、昆布などの食品中に天然に含まれ、添加されたグルタミン酸と天然のグルタミン酸に化学的な差はないとされる[12][13]

安全性

JECFA(国際連合食糧農業機関 (FAO) と世界保健機関 (WHO) の合同食品添加物専門家会議)は1987年、L-グルタミン酸およびそのアンモニウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩について、グループとしての一日摂取許容量(ADI)を「特定しない」と評価した[14]

アメリカ食品医薬品局(FDA)は、グルタミン酸ナトリウムの食品への添加をGRAS(一般に安全と認められる)としている。FDAによると、グルタミン酸ナトリウムに敏感であるとする人を対象にした研究でも、グルタミン酸ナトリウムまたはプラセボの投与によって一貫した反応は確認されていない[12]

食品安全委員会は、L-グルタミン酸アンモニウムの評価において、L-グルタミン酸アンモニウムは胃液中でL-グルタミン酸となり、食事由来の遊離L-グルタミン酸、タンパク質分解物としてのL-グルタミン酸、L-グルタミン酸ナトリウム等の塩類と同一の過程を経て吸収されるとした。そのうえで、L-グルタミン酸およびその塩類の試験成績を用いて総合的に評価できるとし、添加物として適切に使用される場合は安全性に懸念がなく、ADIを特定する必要はないと評価した[15]

欧州食品安全機関(EFSA)は2017年、グルタミン酸およびグルタミン酸塩類について、動物試験で有害影響が認められなかった用量をもとに、グループADIを30 mg/kg体重/日とする意見を示した。また、一部集団で添加物由来のばく露量がこのADIを超える可能性があるとして、食品中の最大使用量の見直しを勧めた[16]

東京都保健医療局は、うま味調味料は通常の食品添加物と同様に安全性が確認されており、調味料として通常の量を使用する場合は健康への影響を心配する必要はないとしている[17]

中華料理店症候群と呼ばれた症状

1968年、中華料理を食べた後の頭痛、歯痛、顔面の紅潮、頸部や腕のしびれ、疲労感、動悸などの症状が、米国の医学誌に「中華料理店症候群」として報告された[18]。この報告では症状の原因としてグルタミン酸ナトリウムが疑われた。しかし、その後の二重盲検プラセボ対照試験では、通常の食品中の濃度でこれらの症状を一貫して再現することは確認されていない[12][19]

FDAが調査を依頼した米国実験生物学会連合英語版(FASEB)の報告では、食事なしで3 g以上のグルタミン酸ナトリウムを摂取した一部の人に、短時間で一過性の軽い症状が起こる可能性があるとされた。ただし、グルタミン酸ナトリウムを添加した食品の通常の一食分に含まれる量は0.5 g未満であり、食事なしで一度に3 gを超えて摂取することは考えにくいとしている[12]。これらの結果から、現在では、グルタミン酸ナトリウムを中華料理店症候群の原因とする説は支持されていない[12][19][17]

この呼称やグルタミン酸ナトリウムへの忌避については、米国社会における中国料理への偏見や、アジア系への人種的・文化的偏見とも結びついて広まったとの指摘がある[20]

なお日本では、1972年に味付昆布にグルタミン酸ナトリウムを「増量剤」として使用した事例で、頭痛、上半身感覚異常等が報告された。問題の商品からは、製品の25.92 - 43.60%のグルタミン酸ナトリウムが検出されており、通常の製品で検出された1.07 - 1.33%とは大きく異なる量であった[21]

このように、前述の「安全性」項目でも指摘されているが、調味料としての使用を大きく上回る量の摂取に関しては、例えば塩や砂糖といった他の調味料と「同様」に注意が必要である[17]

出典

関連項目

外部リンク

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