コイル鳴き
From Wikipedia, the free encyclopedia
原因
DC-DCコンバーターは入力電流を高速でスイッチングし、細切れになった電流をインダクタにより平滑化することで安定した直流を得る。直流電圧の調整には周期は一定のままスイッチングのON時間とOFF時間との割合(デューティ比)を変えることで行うが、軽負荷時の効率改善のためスイッチングの周期を可変させることもしばしば行われる。スイッチング損失は周波数が低いほど低下するため、この周期が可聴周波数域に入ると、不適切な設計、部品の劣化等でコイル鳴きを起こすもととなる。また負荷電流が周期的に増減するモードを備えている場合、デューティ比の変動が可聴周波数内に入ることも、コイル鳴きのもととなる振動を引き起こすことがある[1]。
コイル鳴きは、インダクタを構成する磁性体または巻線の振動する音であり、次の3点にまとめられる[1]。
- 磁性体の磁歪によるもの
- 磁性体の磁化に伴う吸引力によるもの
- 漏れ磁束による巻線の振動
コイル鳴きが悪化する要因には、次のような条件がある。
- 他の部品との接触
- 漏れ磁束による周囲の磁性材料への作用
- インダクタが実装された基板を含めたセット全体の共振現象
対策
可聴周波数の電流がインダクタに流れないよう設計することが、基本的な対策となる。
どうしても可聴周波数の電流がインダクタに流れるケースでは、
- 周囲に磁性体を配置しない
- 漏れ磁束の少ない閉磁路構造のインダクタを採用する
- 固有振動数をずらす
- 巻線や磁性体を振動しないよう固定する
といった対策が採られる。ただ磁性体や巻線を強固に固定するのには原理的に無理があるものもあり、このジレンマを解消するために巻線を粉状の磁性体で覆った一体型のインダクタも上市されている[1]。
回路的な問題
安価なAC-DCコンバーターでは回路構成が簡素なフライバックコンバーターが多用される。フライバックコンバーターでは絶縁トランスに漏れ磁束があるため、本質的にコイル鳴きを起こしやすい。またスイッチング方式として回路が簡素な自励式コンバーターであるRCC (Ringing Choke Converter) 方式のスイッチング電源が採用されることが多い。RCC電源ではスイッチング周波数が上下し、かつ軽負荷時には間欠運転がなされることがコイル鳴きを起こす要因となる。