コレクティブ

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コレクティブ: collective)は、一般に、共通の目的、利害、実践、理念などを共有しながら行動する集団、またはその協働的なあり方を指す語である[1][2]。語学上は「集合名詞」を意味することがあり、社会科学では、個人ではなく集団として行われる行為や責任、意思決定などを表す語としても用いられる[1][2]

一方、現代美術の文脈では、複数の美術家が共通の目的のもとで継続的に協働する集団、すなわちアーティスト・コレクティブを指す場合が多い[3][4]

「コレクティブ」は分野により用法が異なるが、共通して、複数の人間が何らかの共有された目的や関心のもとで結びつくことを示す語である[2]。社会的・政治的文脈では、集団としての行動や責任を意味する語として用いられ、文化・芸術の領域では、制作や企画運営を共同で行う組織やネットワークを指すことがある[2][3]

現代美術では、特にアーティスト・コレクティブの意味で用いられることが多い。Tateはこれを、共通の目的を達成するためにともに活動するアーティストの集団と説明しており、ニューヨーク近代美術館(MoMA)は一つの名のもとで活動する一組または複数のアーティストと整理している[3][4]。日本語圏でもアートグループと近い意味で使われるが、近年は、より流動的で協働性を重視した実践を含意する語として用いられることがある[5][6]

一般的意味

一般語としての「コレクティブ」は、複数の人や物がひとまとまりとして扱われること、またはその集合体を指す[1]。英語文法では、family、class、team などのように、複数の成員から成るまとまりを単数名詞として扱う「集合名詞」の説明にも用いられる[1]

また、社会科学においては、個人の行為に対する概念として、共有された利益や目的のもとに集団が行う行為を「collective action」と呼ぶ[2]。このことから、「コレクティブ」という語には、単なる人数の多さではなく、共同性や共有性を含んだ結びつきという含意がある。

美術におけるコレクティブ

美術分野におけるコレクティブは、一般にアーティスト・コレクティブを意味する[3][4]。これは、複数の美術家が単一名義または緩やかな連帯のもとで、制作、展覧会企画、調査、出版、教育活動、地域実践などを共同で行う集合体である[3][6]

日本語ではアートグループとほぼ同義に用いられることもあるが、artscapeは、コレクティブという語がグループに比べて、より有機的で流動的な集団形成や協働作業の重要性を含意すると説明している[5]。廣田緑もまた、現代のアート・コレクティヴについて、複数のアーティストが組織を形成し、社会との直接的な関わりを持ちながら、展覧会場内の作品に限られないプロジェクトやワークショップなどを展開すると論じている[6]

歴史

複数の芸術家が集団を形成して活動する実践そのものは新しい現象ではなく、近現代美術史の各時代に見られる[5]。ただし、近年「コレクティブ」という語が改めて強く意識される背景には、インターネットの普及、グローバリゼーションの進展、情報や人的ネットワークの共有の容易化、さらに新自由主義的な労働環境のもとで個人単位ではなく集合的に資源や知識を共有する必要が高まったことがあるとされる[5][6]

21世紀の現代美術では、コレクティブは国際美術展や美術館制度のなかでも存在感を増している。2021年のターナー賞では候補者がすべてコレクティブで占められ、2022年のドクメンタ第15回展ではインドネシアのコレクティブルアンルパが芸術監督を務めた[7][8][5]

特徴

美術におけるコレクティブの特徴としては、共通の目的に基づく協働、自前の拠点や活動基盤の形成、既成制度や商業主義から一定の距離を取る姿勢、社会との直接的な関わりなどが挙げられる[3][6]。また、作品制作だけでなく、リサーチ、キュレーション、出版、教育活動、コミュニティ形成を含む総合的な実践主体となることもある[6]

他方で、「コレクティブ」という語は肯定的に用いられやすく、その内部の権力関係や労働の不均衡を見えにくくする可能性も指摘されている[6]

代表例

現代美術における代表的なコレクティブとしては、インドネシアのルアンルパ、インドのラクス・メディア・コレクティヴ(Raqs Media Collective)などが挙げられる[8][6]。これらは作品制作にとどまらず、展覧会企画、教育活動、出版、調査、国際的なネットワーク形成を含む実践を展開してきた[6]

脚注

参考文献

関連項目

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