コーラルムトンネルは、オーストリアでも最南部を走るコーラルム線でおそらくもっとも大きな構造物である[4][5]。ウィーンからグラーツを経由してクラーゲンフルトまでの所要時間を1時間以上短縮して2時間40分にするために、最高速度250 km/hを経済的に実現可能なような線形を意図している。国際輸送の観点では、この路線の完成でアドリア海とバルト海の港の間の鉄道貨物輸送をより促進可能となる[4]。シュタイアーマルク州の多くの地域関係者は、オーストリアのほかの地域に比べてこの山岳地帯の鉄道網が比較的限られていることを解決する一助となるこのトンネル建設を推進してきており、営業を開始すればこのトンネルが地域の産業にかなりの経済的恩恵と投資を呼び込むはずだとしてきた[6]。
1995年に、オーストリア政府はオーストリア連邦鉄道に対し、コーラルムトンネルを含むコーラルム線の計画および設計に進むことを認可した。経路選定を完了させ、法的な準備を行うことに加えて、大規模な環境調査が実施された[5]。建設手続き前に、現場の地質についての大規模な調査が実施された。2002年には、最終的に130本に及ぶことになる一連の試掘坑の最初のものが、将来的なトンネルの位置で掘削された[7][8]。2010年代には、コーラルム線計画はその性質がオーストリア国内で最大のプロジェクトとなっていた[9]。
2013年に、トンネル掘削が開始された[7]。2本のトンネル掘削には800人を超える作業員と3台のトンネルボーリングマシンが投入されたが、伝えられるところによればトンネルボーリングマシンをこのような硬い岩盤で17キロメートル以上にわたり連続使用することは初めてであると考えられている。掘削により600万立方メートルに及ぶ残土が発生するが、そのうち3分の2は騒音干渉材、鉄道の盛土、砂利、コンクリートの骨材などの原料として再利用された[10][11]。トンネルボーリングマシンに加えて、伝統的な掘削と発破の方法も場所によって用いられた[7][12]。地下水のトンネルへの浸透を防ぐため、全長に渡って約13万2000平方メートルのAGRUFLEX覆工が施工された[13]。全長に渡って適切な排水を確保するために十分な注意が払われた[14]。
2017年時点では、トンネルの完成は2023年と見込まれ、路線全体はその翌年に営業開始とされていた[4]。しかし2018年に運輸大臣のノルベルト・ホーファーは、厳しい地質のためにトンネルの建設ペースが大きく落ちていると発表した。オーストリア連邦鉄道の広報担当のクリストフ・ポッシュは、完成見込みの変更は財政緊縮政策の影響ではなく、トンネル掘削中に発見された事前予想されていなかった断層帯によるものだと述べた。この時点で、コーラルムトンネルは2025年12月に完成、営業開始は2026年とされていた[6]。トンネル完成の遅れにより、ヤウンタル橋周辺の複線化など、他の地域のインフラストラクチャープロジェクトにも影響が出た[15]。
2018年8月14日、南側トンネルで貫通した[16]。2020年6月18日には、北側トンネルでも貫通し、コーラルム線全体のトンネルが貫通した[7]。その結果、工事は覆工や営業運転のために必要な設備類の取り付け作業に移った[7]。さらに、営業上の安全設備が全体にわたって施行された。500メートルおきの連絡通路や、トンネル中間付近において故意に互い違いに配置されたプラットホームと強化された全長800メートルの避難室を備えた緊急用の駅などがある[17]。
2023年6月12日に、最初の試運転列車がトンネルを通過した[18]。そして2025年12月12日に公式に開業した[3]。