コールドカット
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略歴
1980年代前半に海賊放送のラジオDJとして活動していた元美術教師のジョナサン・モアと元プログラマーのマット・ブラックが1980年代半ばからクラブ・シーンへと活動の場を移し、1987年にシングル『Say Kids, What Time Is It?』を発売[1][2][3]。同楽曲ではターンテーブルの技術「カット&スクラッチ」を導入し、イギリス初のブレイクビーツ・レコードとして広く認識されるようになる[1]。同年10月に発売されたエリック・B&ラキムのシングル「ペイド・イン・フル」にリミックスで参加し、同作品が全英シングルチャートで15位を記録[2][3]。「Seven Minutes of Madness」と題した7分に及ぶリミックスは、オフラ・ハザのサンプリング、数多くのボーカル・カットアップ、ループさせたリズム・トラックが特徴となっており、このリズムは後にテンポを速めた形でブレイクビーツにおいて人気を博すこととなった[3]。その他にも数多くのプロデュースやリミックスの仕事を引き受け、レーベル「Ahead of Our Time」を立ち上げる[1]。
1989年にシングル『Doctorin' the House』を発売し、全英シングルチャートでトップ10入り[1]。同楽曲を収録したデビュー・アルバム『What's That Noise?』を同年4月に発売し、全英アルバムチャートでトップ20入り[1]。同作品ではリサ・スタンスフィールド、ジャマイカのレゲエDJであるジュニア・リード、マーク・E・スミスとのコラボレーションを行った[1]。
1990年にハウス・ミュージックを中心としたアルバム『Some Like It Cold』を発売[1]。クィーン・ラティファをフィーチャリングした「Find a Way」を収録[1]。この頃にアリスタ・レコードとの契約トラブルが発生し、「コールドカット」という名称が法的な係争の対象となる[1][4]。同年にレーベル「Ninja Tune」を設立し、別名義での作品の発表や若いグループとの共演も積極的に行った[1][5]。1993年にダウンテンポ・アルバム『Philosophy』を発売[1]。
1995年に名称の問題が解消すると、ミックスCDシリーズ『Journeys by DJ』の一環として『70 Minutes of Madness』を発売[1][4]。同作品は海賊放送局であるKISS FMの番組『Solid Steel』やクラブでの活動を通じて行っていた「フリースタイル・ミキシング」というスタイルを収録している[1]。
1997年にアルバム『Let Us Play!』をNinja Tuneから発売[1][4]。同作品にはジェロ・ビアフラやNinja Tune所属のヘクスタティック、ザ・ハーバライザーがゲスト参加[1]。約1年後には同作品のリミックス・アルバム『Let Us Replay!』を発売[1]。この作品にはミュージック・ビデオや開発に携わったVJソフト「VJamm」のデモ版を収録したCD-ROMを同梱した[1][6]。

2001年にシングル「Re:volution」を発表[3]。同作品では2001年イギリス総選挙に合わせて政治的な映像をカットアップしたオーディオビジュアル作品も制作した[3]。
2006年にアルバム『Sound Mirrors』を発売[1]。同作品を引っ提げて100公演に及ぶオーディオビジュアル・ワールドツアーを行った[1]。『Sound Mirrors』発売後は主にビジネスや技術開発の面で活動[1]。ブラックはグラニュラー・ビデオ・シンセサイザー「Granul8」を共同開発し、デュオとしては音楽制作アプリ「Ninja Jamm」を発売[1][7]。
2010年にNinja Tune設立20周年を記念して、リミックスやレア音源を収録したCD6枚、7インチ・シングル6枚、ハードカバーの書籍を収めたボックスセット『Ninja Tune XX』を発売[1]。
2016年に最初期のレーベルであるAhead of Our Timeを再始動させ、ボーガス・オーダー(Bogus Order)名義でEP『The Bullnose Step』を発売[1]。また、Ninja Tune所属のルーツ・マヌヴァをフィーチャリングしたコールドカット名義のEP『Only Heaven』を発売した[1]。
2017年にエイドリアン・シャーウッド(On-U Sound名義)とのコラボレーション・アルバム『Outside the Echo Chamber』を発売[1]。同作にはルーツ・マヌヴァ、リー・“スクラッチ”・ペリー、デニス・ボーヴェルらがゲスト参加した[1]。その後まもなくしてボーガス・オーダー名義で『Zen Brakes, Vol. 2』を発売[1]。
南アフリカの音楽コレクティブであるケレケトラ!からのオファーを受けてケレケトラ!とヨハネスブルグでセッションを行い、同グループが2020年にAhead of Our Timeから発売したセルフタイトルのデビュー・アルバムの制作を支援した[1]。同作品にはトニー・アレン、シャバカ・ハッチングス、ワッツ・プロフェッツらが参加した[1]。
2021年11月にアンビエント・コンピレーション・アルバム『@0』を発売[1]。同作品には坂本龍一、シガー・ロス、ララージらの楽曲が収録され、選曲と曲順構成を手掛けた[8]。また、収益をメンタルヘルス関連の3つの慈善団体に寄付した[1]。
音楽性
1980年代のポップ・ミュージックやダンス・ミュージックにおいてサンプリングという手法を先駆的に取り入れ、子供向けテレビ番組や映画などの多種多様なソースからサンプルを巧みにコラージュ(マッシュアップ)した[1]。ラジオ番組やクラブでのDJセットにおける折衷的なスタイルを反映したミックスCDも発売している[1]。
1990年に創造の自由を確保すべく自らのレーベル「Ninja Tune」を設立し、ロンドンのポスト・レイヴ/アンダーグラウンド・シーンにおいて最も高く評価され、影響力を持つアーティストたちの拠点となった[1]。DJ Food、ミスター・スクラフ、The Coup、ワゴン・クライスト(ルーク・ヴァイバート)、ボノボ、ファンキ・ポルチーニ、ソウル・ウィリアムズ、Sixtoo、ザ・ハーバライザーなどを輩出し、所属アーティストらの活躍がトリップ・ホップやインストゥルメンタル・ヒップホップの普及にも大きな役割を果たした[1][2]。
1990年代からライブ・パフォーマンスに映像のリアルタイム・サンプリングを取り入れ、オーディオビジュアル操作プログラムやアプリの開発も行っている[1]。1997年に発売した『Let Us Play!』ではエンハンストCDをいち早く採用した[1]。
ブラックはコールドカットで活動することの良さについて「音楽業界のあの典型的な『ソーセージ製造機』のようなシステムに組み込まれなくて済むことだね」「アルバムを出してツアー、またアルバムを出してツアー、ベスト盤を出して、死ぬ……みたいなね」と語り、1997年に発売した『Let Us Play!』が評価されたことについて「俺たちが優れているわけじゃない。単に他の連中がクソなだけだ」と語った[3]。また、ダンスミュージックの流行期においてDJをもてはやす風潮に対して「マクドナルドで一番ハンバーガーを焼くのが上手い店員を称えるようなものだ」と揶揄した[3]。
ディスコグラフィー
スタジオ・アルバム
- What's That Noise?(1989年、トミー・ボーイ・レコード)
- Some Like It Cold(1990年、Ahead of Our Time)
- Philosophy(1993年、アリスタ・レコード)
- Let Us Play!(1997年、Ninja Tune)
- Sound Mirrors(2006年、Ninja Tune)
- Outside the Echo Chamber(2017年、Ahead of Our Time) - On-U Soundとの共作
シングル
※最高位は全英シングルチャート[9]。
| 発売年 | タイトル | 最高位 | 収録アルバム | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1987年 | Say Kids What Time Is It? | - | - | |
| Beats + Pieces (featuring Floormaster Squeeze) | - | What's That Noise? | ||
| 1988年 | Doctorin' the House (featuring Yazz & the Plastic Population) | 6位 | ||
| Stop This Crazy Thing (featuring Junior Reid & the Ahead of Our Time Orchestra) | 21位 | |||
| 1989年 | People Hold On (featuring Lisa Stansfield) | 11位 | ||
| My Telephone (featuring Lisa Stansfield) | 52位 | |||
| Coldcut's Christmas Break | 67位 | - | ||
| 1990年 | Coldcut' Megamix | - | - | フランスのみ |
| Find a Way (featuring Queen Latifah) | 52位 | Some Like It Cold | ||
| 1993年 | Dreamer | 54位 | Philosophy | |
| Autumn Leaves | 50位 | |||
| 1997年 | Atomic Moog 2000 / Boot the System | - | Let Us Play! | |
| More Beats + Pieces | 37位 | |||
| 1998年 | Timber (with Hexstatic) | 86位 | ||
| 2001年 | Re:volution | 67位 | - | Coldcut & the Guilty Party名義 |
| 2005年 | Mr. Nichols (featuring Saul Williams) | - | Sound Mirrors | |
| Everything Is Under Control (featuring Jon Spencer and Mike Ladd) | 93位 | |||
| 2006年 | Man in a Garage (featuring John Matthias) | 95位 | ||
| True Skool (featuring Roots Manuva) | 61位 | |||
| Walk a Mile in My Shoes (featuring Robert Owens) | 103位 | |||
| 2016年 | Everyday Another Sanction | - | Outside the Echo Chamber | Coldcut x On-U Sound featuring Chezidek名義 |
コンピレーション・アルバム
- Let Us Replay!(1999年、Ninja Tune) - リミックス・アルバム
- Cold-Cut-Outs(2002年、Ninja Tune) - ベストアルバム
- People Hold On - The Best of Coldcut(2004年、BMG) - ベストアルバム
ミックスCD
EP
- Zen Brakes Vol. 1(1990年、Ninja Tune) - ボーガス・オーダー(Bogus Order)名義
- Only Heaven(2016年、Ahead of Our Time)
- Zen Brakes Vol. 2(2017年、Ahead of Our Time) - ボーガス・オーダー(Bogus Order)名義