ゴン=フリークス
『HUNTER×HUNTER』の登場人物
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概要
設定と構想
漫画『HUNTER×HUNTER』の主人公を創作するにあたり、作者の冨樫義博は長期連載を見据え、自身の過去作品とは対照的なキャラクターを志向した。その結果、ゴンは『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助などと比較してよりシンプルな主人公として描かれ、敵役に焦点が当たる様々な章にも自然に溶け込めるよう設計された[1]。当初、冨樫はゴンをシリーズで最も人気が出るであろう「理想的な息子」として構想していた。しかし、物語を練り上げる中でその考えは変化し、育ての親であるミトを事実上見捨て、父親のジンのようなハンターになるために家を出るというゴンの選択を、当初想定していたような好人物の行動とは見なさなくなった。ゴンとジンは似たキャラクターとして意図されており、ゴンにはしばしば神経質な一面が設定されていたが、これは主人公の大きな変更へと繋がり、没になったこの性格は別のキャラクターに引き継がれた[2]。冨樫には設定の大まかな構想があり、ゴンがハンター試験を受けるところから始めれば物語を続けられると感じていた。一度はゴンが試験に落ちるという絵コンテも作成したが、担当編集者との協議の末、その案は採用されなかった。漫画の構想段階で、キルア=ゾルディックが親友、ヒソカが敵という、ゴンを巡る2つの重要な関係性が決定された。キルアの性格は、ゴンとの絶え間ない交流を通じて形成されていった[3]。
戦闘シーンにおけるゴンの性格について、冨樫は繊細な一面を排し、漫画としてのエンターテイメント性を高めたと語っている。ゴンの性格をうまく扱えたことで、彼をシリーズの主人公にしたことを肯定的に捉えており、その代わりにゴンの冷静な側面はレオリオのキャラクターに与えられた[2]。冨樫はキャラクターの能力と性格を結びつけるという考えを持っており、クラピカの鎖が悲劇的な過去と関連しているように、ゴンの能力もまた本能と結びついている。当初、武器としてトレーディングカードを使用する案があったが、高橋和希の『遊☆戯☆王』との類似性からこの案は没になった。ただし、そのアイデアの片鱗はグリードアイランド編で見ることができ、そこではゴンとキルアが頻繁にカードを用いて魔法を発動する[4]。
日本アニメーションが制作した1999年のアニメ版では、制作が原作に追いついたため、アニメ独自の結末が計画された。このオリジナルのシナリオでは、クラピカが犯罪者との対決で死亡した後、キルアとゴンは別れ、最終回までに7年のタイムスキップが挟まれる。そして、最終回では大人になったキルアが父親と共に仕事でくじら島にあるゴンの家を訪れるが、この案を知らされた冨樫は拒否し、最終的に1999年版のテレビシリーズはクラピカが仲間と再会する場面で終了し、その後の物語は原作に沿ったOVAで描かれた[5]。2023年、冨樫は日本のテレビ番組で漫画の結末案を公開した。それは数十年後へのタイムスキップを経て、ゴンの孫娘であるギン(女性)が登場する一方、年を重ねたゴンは不在であるという内容だった。冨樫は、読者の反応が分かれるであろう複数の結末案(A、B、C)に頼らずに済むよう、十分に満足のいく結末を描きたいと語っている[6]。
キャスト
1998年に上映されたパイロット版では松本梨香が、翌1999年から放送されたテレビシリーズでは竹内順子がゴンの声を担当した[7]。同作の英語吹き替え版では、エリノア・ホルトが起用された[8]。竹内は、キルア役やビスケット役の声優との共演を楽しんだと語っている[9]。
2011年に放送されたマッドハウス制作版では、潘めぐみがゴン役を務めた[10]。英語版で声を担当したエリカ・メンデスは、オーディションでゴン、キルア、クラピカ、メンチの役を受けた。ゴンの性格や他人を正しく評価する点を好ましく思う一方、危険を顧みず自身の安全を軽視する傾向には懸念を示した。メンデスは役を演じる際、観客にとってより説得力のある声になるよう、声にハスキーさを加えている。また、メンデスは緊迫した状況でなければハスキーさを抑え、時には女性的で、無邪気で嬉しそうに聞こえるようゴンの声を演じ分けている[11]。
経歴
試験の途中で出会った、キルア、クラピカ、レオリオの3人とは共に力を合わせて試験を乗り切り、いつしか友情で結ばれた仲となる。また、同じく試験で出会ったヒソカに才能を認められ、一種のライバル関係となる。その後、クラピカとレオリオとは別れ、キルアと共に世界を見て回る旅に出る。天空闘技場で出会ったウイングによって念能力を教えられ、その基本となる四大行を会得、裏ハンター試験も合格した。
天空闘技場で目的を果たした後は、一時的にくじら島に戻り、父親であるジンの造ったグリードアイランドというゲームの存在を知る。グリードアイランドがヨークシンのオークションに出品されることが分かり、キルアと共に再び旅に出る。クラピカやレオリオとも再会し、幻影旅団とマフィアとの抗争やグリードアイランドへの挑戦などを通じて、実力的にも精神的にも大きく成長し、見事にグリードアイランドを制覇した。
その後、NGL・東ゴルトー共和国でキメラ=アントとの戦いに身を投じる。この戦いは、国際社会が大事態にしないためにハンターが動くという、未曾有の任務であった。ゴン自身の目的は、蟻軍の3幹部の一人「ピトー(ネフェルピトー)」を倒して、操り人形に改造されてしまった恩人のカイトを救うことである。しかしピトーと対峙して、カイトの蘇生が不可能であることを告げられると、半ば絶望的に「もうこれで終わってもいい」と自分に念をかけ、身体と念能力を急成長させて大人の姿となり、対決する。ピトーを圧倒的な力でねじ伏せて頭部を殴り砕き、「死後強まる念」でゾンビ化してなお襲ってきたピトーに全力でとどめを刺して倒す。だがゴンも力尽き、キルアに救出される。
仲間によって蟻の王も倒され、キメラ=アントとの戦いは終結する。ゴンは能力の誓約の反動によって危篤状態に陥る。医者も除念師も手に負えず、病院の集中治療でも現状維持が精一杯であった。キルアが(妨害を乗り越えて)連れて来たアルカ・ナニカの特殊な力で、身体を元に戻してもらう。会長選挙会場でジンと遭遇し、世界樹のてっぺんで待ち合わせしていたジンに、カイトから預かっていた二ツ星ハンター認定証を渡した。
暗黒大陸編では先の戦いの反動か、念が使えなくなりくじら島へ里帰りする。ジン曰く、「オーラが出ないのではなく、ゴンにはオーラが視えなくなっただけ」だというが、ハンターとしての苛酷な活動はできなくなる。以降はミトのもとで、留守中に貯めていた初等教育の勉強に励んでいる。
評価
ゴン=フリークスは、『HUNTER×HUNTER』の公式人気投票において、第1回・第2回ともに3位にランクインした[12][13]。IGNはゴンを史上最高のテレビアニメキャラクターの一人として挙げ、父親の不在が人格形成に与えた影響を特筆している[14]。Anitrendzの投票では、2010年代のベスト男性キャラクターの一人に選出された[15]。声優の演技も評価されており、第7回クランチロール・アニメアワードでは、アラビア語版でゴンを演じたアマル・ハウィジャが最優秀声優賞を受賞した[16]。キャラクターのグッズも多数展開されており、特筆すべきものとして2023年に開催されたアニメイトカフェとのコラボレーションが挙げられる[17]。敵であるネフェルピトーと対峙した際に見せた、髪が極端に長く伸びた急成長後の姿は、その誇張されたデザインからパロディの対象として広く知られ、この姿を模したフィギュアなどの商品も発売されている[18]。