ゴールデンアーチ

世界的なファーストフードチェーンのマクドナルドのシンボル From Wikipedia, the free encyclopedia

ゴールデンアーチ: Golden Arches)は、世界的なファストフードチェーンであるマクドナルドシンボルである。もともとは実際のアーチが店舗建築の一部として設計されていたが、1962年にそのアーチをモチーフとするロゴが採用され、当時は店舗の外観を抽象化したデザインとなっていた。現在の「M(マクドナルドの頭文字)」の形をしたゴールデンアーチのロゴは、1968年に導入されたものである。このロゴは、世界で最も認知度の高いロゴデザインの1つと広くみなされている。

2006年以降のマクドナルドが使用している公式ロゴのゴールデンアーチ

歴史

1952年、兄弟のリチャード・マクドナルドとモーリス・マクドナルドは、カリフォルニア州サンバーナーディーノにある自分たちのハンバーガー店のために新しい建物が必要だと決意した。彼らは、その新しい建物に2つの目的を持たせようとしていた。より高い効率性、そして人目を引く外観である。少なくとも4人の建築家が面接を受け、最終的に1952年末、近隣のフォンタナで活動していた建築家のスタンリー・クラーク・メストンに依頼することになった。アーチは設計者選定の過程に大きく関わっていた。最初に面接した建築家は兄弟が望むアーチに反対し、2人目はそれを修正したいと提案した。3人目の建築家でロサンゼルスの著名人のダグラス・ホンノルドは、「自分たちがどうすべきかを決めたいなら、自分たちで設計すればいい」と言い放った[1]

カリフォルニア州ダウニーにあるマクドナルド3号店。現存する最古の店舗であり、ゴールデンアーチを採用した2番目の店舗でもある。

兄弟は自らの現場経験とともに、リチャードが描いた2つの半円アーチのラフスケッチをメストンに持ち込んだ。アーチという形状は、店舗をより目立たせる記憶に残るデザインになるとリチャードが直感したものであった。建物の正面に平行なアーチを設置する案を検討したのち、彼はスタンドの両端に半円アーチを描いた[1]。メストンはアシスタントのチャールズ・フィッシュとともに設計を行い、ネオン装飾が施された高さ約25フィートの黄色い金属製アーチ2本の計画段階ですでに「ゴールデンアーチ」と呼ばれていたを取り入れたデザインを完成させた。さらに道路沿いには「スピーディー」というシェフの帽子をかぶった丸いキャラクターが走る姿を描いた小さなアーチ型の看板が設けられ、こちらにもアニメーション仕様のネオンが施された。

建築史家のアラン・ヘスによると、「メストンとフィッシュは、リチャード・マクドナルドの単純な半円形スケッチを、緊張感と躍動性を備えた洗練された放物線に変えた」という[1]。同論文内でヘスは注釈として次のように記している。「誰が最初に放物線を提案したのかは定かではない。リチャード・マクドナルドと、最初のアーチを製作した看板業者ジョージ・デクスターは、放物線の発案者はデクスターで彼が設計に加えたと回想している。一方、図面作成を担当しメストンを補佐したチャールズ・フィッシュは、学生時代に格納庫の設計で構造放物線を使用した経験から自分が提案したと述べている。このような形態は当時、折板屋根などと並ぶ先進的な工学的設計として一般的であった」[1]

メストンのデザインを採用した最初のフランチャイズ店舗は1953年5月にアリゾナ州フェニックスで開業した。その後のフランチャイズ店舗も同様にメストンの設計を使用することが義務づけられたが、彼は各地の条件や建築基準に応じて細部を調整していた[1]

1964年、ペンシルベニア州アレンタウンの新聞『Morning Call』に掲載されたマクドナルドの広告。スタイライズされたM型のアーチが登場している。

1962年、企業イメージを刷新する目的で新しいロゴの検討が始まった。フレッド・ターナーが最初に「V」形を提案したが、技術・デザイン部門の責任者ジム・シンドラーはその「V」を拡張して「M」にし、店舗を斜めから見たような形状に仕上げた。背景には赤い二等辺台形の「屋根」を配し、文字を配置した[2]

1960年代にマクドナルドは実店舗から物理的なアーチをほとんど撤去したが[3]。ロゴ内には存続し、会社を象徴する普遍的なシンボルとして定着した。これは部分的に、心理学者のルイス・チェスキンの主張の影響である。チェスキンは、このアーチを「母マクドナルドの胸」と形容し、消費者の潜在意識に働きかけるフロイト的効果を持ち、マーケティング上の大きな資産になると論じた[4][5]

アラン・ヘスは、グーギー建築様式におけるアーチの起源と象徴性を次のようにまとめている[1]

アーチは建築知識を持たない実業家のリチャード・マクドナルドによって考案された。その目的は純粋に実用的で、「遠くからでも目立つこと」だった。この意図がその大きさ・位置・単純な形を決定づけ、彼が親しんでいた過去のドライブイン建築の流れを踏襲するものとなった。マクドナルドにとって、このアーチは象徴的・歴史的意味を持たない恣意的な形だったが、やがてマクドナルドを象徴する存在になることを期待していた。アーチの配置は出入口のような伝統的用途を暗示するものではなく、構造的要素でもない。建築家は依頼者の決定したこの形式的概念を、1940年代から50年代の商業建築特有の機械的で力強いデザイン言語の中に落とし込み、結果として商業主義ゆえにこそ成功したデザインとアイコンを生み出したのである。

バリエーション

カナダのマクドナルド店舗。ゴールデンアーチの中央にカエデの葉が描かれている

マクドナルド・カナダが運営するすべての店舗では、ゴールデンアーチの中央にカエデの葉が挿入されたデザインのバリエーションが使用されている。これは、カナダの国家シンボルを企業ロゴに取り入れたものである[6]

アリゾナ州セドナのマクドナルドにあるターコイズ色のゴールデンアーチ

アリゾナ州セドナのマクドナルドでは、景観保護の観点から政府当局により黄色が岩山の景観と過度に対比して見えると判断されたため、アーチがターコイズ色に変更された[7]

2019年時点で、ニュージャージー州マグノリアフロリダ州ウィンターヘイブンコロラド州モントローズ、およびアーカンソー州パインブラフの看板など、7か所のマクドナルドの店舗サインにはアーチが1本のみ描かれている[8]

カリフォルニア州モントレーのデ・モンテ通り610番地にあるマクドナルドでは、黒いアーチが使用されている[9]

アリゾナ州スコッツデールのNピマ通り18241番地にあるマクドナルドでも黒いアーチが使用されている[10][より良い情報源が必要]

カリフォルニア州ロックリンのサンセット大通り2172番地にある店舗では、濃い赤色のアーチが使用されている[11][より良い情報源が必要]

フランスのシャンゼリゼ通りにある店舗には白いアーチのネオンロゴが掲げられている。また、比較的最近[いつ?]建設されたベルギーブルージュのマクドナルドにも白いアーチが採用されている[12]

2017年、マクドナルドの中国法人は社名を「ゴールデンアーチ」に変更したが、店舗名は「マクドナルド」のままだった[13]、マクドナルドの広報担当者によると、これはマクドナルド・コーポレーションが中国部門の大部分を中信集団およびカーライル・キャピタルに売却したためであるという[14]

2018年および2019年、マクドナルドは国際女性デーを祝うため、ソーシャルメディア上でロゴのアーチを逆さにし、「M」を「W」に変更した。また、カリフォルニア州リンウッドのパトリシア・ウィリアムズが運営するフランチャイズ店舗でも、看板のアーチを逆さにした[15][16]。この試みは一部で反発を招き、従業員への低賃金などを理由に「偽善的だ」と非難する声が上がったほか、ロゴの「M」は「マクドナルド」だけでなく「男性(men)」の頭文字にも見えるという指摘もあった[17]

影響

VB-10,000

ゴールデンアーチという言葉は、しばしば換喩として用いられ、資本主義グローバリゼーションを象徴するものとされている[18][19]。1996年に提唱された「ゴールデンアーチによる紛争予防理論」という表現の中で、「互いにマクドナルドを持つ2つの国が戦争をしたことはない」と一時期主張されたこともある。ゴールデンアーチは、世界的に展開する著名なアメリカ企業、すなわちマクドナルドを代表する象徴として用いられることが多く、同様の企業にはコカ・コーラナイキなどがある。

また、重機船のVB-10,000に使用されている大型の空間トラス構造の形状と色がこのアーチに似ていることから、「ゴールデンアーチ」との愛称が付けられている[20][21][22]

脚注

関連項目

外部リンク

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