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シクリッド

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シクリッド: cichlid)は、カワスズメ科Cichlidae)に属する魚類の総称である。英語名に由来する呼称であり、特に観賞魚アクアリウム分野で広く用いられている。

概要 シクリッド, 分類(Eschmeyer's Catalog) ...
シクリッド
マラウイ湖産のシクリッドの1種 Aulonocara jacobfreibergi
分類(Eschmeyer's Catalog[1]
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カワスズメ目 Cichliformes
: カワスズメ科 Cichlidae
学名
Cichlidae
Heckel, 1840
和名
カワスズメ科
英名
Cichlid
亜科

含まれる属(genus)の一覧については、本文参照を参照。

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名称と分類

シクリッド(英: cichlid)は、カワスズメ科(Cichlidae)に属する魚類の総称である。

日本語における標準和名は「カワスズメ科」である一方、英語名 cichlid に由来する「シクリッド」の名称も、特に観賞魚や水族館、アクアリウム分野で広く用いられている。また、文献によっては「シクリッド科」と表記されることもある。

現在の分類体系では、カワスズメ科はカワスズメ目Cichliformes)に属する唯一の大規模な科である。本目は2013年に提唱された比較的新しい分類群であり、それ以前はスズキ目Perciformes)のベラ亜目などに含められていた。

なお、科名の語源となった模式属 Cichla は、日本語では「キクラ属」と呼ばれる。

分布

中央アメリカから南アメリカにかけてと、マダガスカルを含むアフリカから中東南アジアまで分布する。淡水魚・汽水魚が少なくとも約1,300種以上確認されている。熱帯魚のなかでは獰猛な種として知られ、他種との混泳は注意を必要とする。

知られている種の大部分が東アフリカ(900種以上)と中央アメリカ(100種程度)、南アメリカ(300種程度)に分布しており、これらの地域ではかつて爆発的に種分化が進んだことが想定されている。

ティラピア(オレオクロミス属などを含む総称)などは水産上重要である。エンゼルフィッシュディスカスなど色彩の美しい種は、観賞用熱帯魚として流通する。

ティラピアなどの一部の種は、日本に移入され、養殖されたり、外来種として定着しているものもある。

生態

口内保育

繁殖形態が特徴的で、よく発達した行動様式をもつ。形態は大きく分けて3種類がある。

  • オスまたはメスが産卵された卵を口の中に入れ、口内で卵が孵化するタイプ
  • メスが水中にあるものに産卵し、これを親が守るタイプ
  • メスが水中にあるものに産卵し、孵化した稚魚を親の口内で育てるタイプ

口の中で卵や稚魚を育てることを口内保育(マウスブルーディング、mouth brooding)と呼び、そのような習性を持つ魚をマウスブルーダーと呼ぶ。

食性の多様性

咽頭顎の機能的分化に伴い、シクリッドは極めて多様な食性を獲得している。一般的な藻類食やプランクトン食、魚食に加え、以下のような特異な食性に特化した種が知られている[2]

  • 鱗食(りんしょく)
生きた他魚のを剥ぎ取って食べる習性。タンガニーカ湖のペリソダス・ミクロレピスPerissodus microlepis)などが有名である。獲物の左右どちら側から襲うかに応じて口が左右どちらかに曲がっており、俗に『右利き』『左利き』と呼ばれる。この「右利きの個体」と「左利きの個体」の比率は、被食者の警戒行動との相互作用による頻度依存選択によって均衡が保たれていることが、日本の研究者(堀道雄)らによって明らかにされている[3]
  • 他魚の卵・稚魚食
口内保育(マウスブルーディング)を行っている他のシクリッドの口に体当たりをして稚魚を吐き出させたり、口吻を押し当てて吸い出して捕食する(Paedophagy)。
  • 掃除行動
他魚の体表に付いた寄生虫や死皮を食べる。
  • 貝食
強力な咽頭顎を用いて、巻貝の殻を噛み砕いて中身を食べる。

解剖学と外観

シクリッドの進化と多様化を語る上で最も重要な解剖学的特徴として、咽頭(喉の奥)にある咽頭顎(いんとうがく、pharyngeal jaw)の発達が挙げられる。多くの魚類は(えら)の弓に歯を持つが、シクリッドの下咽頭骨は左右が癒合して一つの骨になっており、特殊な筋肉構造によって強力かつ複雑に動かすことができる[4]

これにより、シクリッドは「顎(本来の口)で獲物を捕らえ、咽頭顎で噛み砕いて処理する」という機能的分離(Functional decoupling)を獲得した。本来の顎は捕食のために特化し、咽頭顎は摂食処理のために特化することで、硬い貝殻を砕いたり、岩の上の藻類を削ぎ取ったりといった、多様な食性への適応が可能となった。この咽頭顎の進化が、後述する爆発的な適応放散の重要な要因の一つと考えられている[4]

進化と適応放散

シクリッドは脊椎動物の中で最も急速に種の分化(適応放散)を遂げたグループの一つとして知られる。特に東アフリカの三大湖(ヴィクトリア湖マラウイ湖タンガニーカ湖)においては、それぞれごく少数の祖先種から、短期間のうちに数百種もの固有種が分化した。これを種群(Species flock)と呼ぶ[2]

これらの湖では、異なる湖であっても、似たような生態的地位(ニッチ)にある種同士が、独立して似たような体型や習性に進化する収斂進化の好例が見られる。

  • タンガニーカ湖: 三大湖の中で最も古く、形態的・遺伝的に最も多様なシクリッドが生息している[5]
  • マラウイ湖: 独自の適応放散を遂げたが、タンガニーカ湖由来の系統が含まれる。
  • ヴィクトリア湖: 形成が比較的新しく、生息するシクリッド(ハプロクロミス類)は、わずか1万2千年〜10万年程度という進化生物学的に見て極めて短い期間で500種以上(絶滅種含む)に分化したとされる[6]

種類

アフリカン・シクリッド
アフリカ産のシクリッドの総称をいう。
アメリカン・シクリッド
中南米産のシクリッドの総称。エンゼルフィッシュやディスカスなど単独で有名なグループは除く場合もある

以下の属の一覧は FishBase に基づくものである。ただし、本科に含まれる分類群については現在も研究が進められており、特にアフリカ大地溝帯湖群に分布するハプロクロミン類のシクリッドでは、分類の見直しが継続している。[7]

脚注

関連項目

外部リンク

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