シスターフッド (フェミニズム)

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シスターフッド英語: sisterhood)とは、女性同士の連帯や絆を示す概念である[1]

シスターフッドという概念は、1960年代にアメリカ合衆国から始まった女性解放運動のウーマン・リブで、男性支配の社会において女性同士の関係の軽視や分断の構造に立ち向かうため[2]、連帯が重要視される中で使われた[3]。1968年1月「ジャネット・ランキン隊」の集会で[2]キャシー・サラチャイルド英語版は「シスターフッド・イズ・パワフル」(Sisterhood is powerful) というスローガンを掲げてデモ行進した[4]。その後、#MeToo運動や2019年4月のフラワーデモ[5]などがきっかけとなり、シスターフッドは再び社会に広まった[3]

女性同士の絆を、まさに女性を抑圧してきた家族制度内の関係に使用するシスターという言葉で示すことの矛盾を指摘する意見もある[2]。また、肌の色、宗教、年齢、性的指向、身体的な特徴など、個人が持つ属性の違いから、シスターフッドが弱まるという一面もある[6]。そこで生まれる差別に気づくために、インターセクショナリティという概念が提唱された[6]

歴史

18世紀と19世紀のシスターフッド

18世紀後半から19世紀初頭にかけて、女性たちは家父長制に立ち向かい、感情的にも社会的にも支援するシステムを緊密に築き上げた。これは姉妹間の絆としばしば呼ばれるが、こうした関係はジェンダーアイデンティティゆえに抑圧される中で、ジェンダーアイデンティティを維持するものであった。この関係は他者からは同性愛とみなされることもあったが、その基底には感情的な深い結びつきがあると考えられた[7]

18世紀と19世紀の女性たちの友情を研究したキャロル・スミス=ローゼンバーグは、女性たちがこうした関係と支援ネットワークを築いたのは、既成の社会規範に対する連帯と抵抗だったと示唆している[8]。こうした関係は、当時広く受け入れられていたが、その親密性が性的なものとして世紀末には周縁化していった。

フェミニズムの第一波と政治的シスターフッドの展開

19世紀から20世紀初頭にかけて女性の権利運動が盛り上がっていく中で、シスターフッドの概念は個人的関係や友情から拡大していった。女性の組織とグループが、参政権運動、労働者の権利運動、そして教育の改革において中心的役割を担うようになった。団結した活動の必要性が認知され、フェミニストたちはシスターフッドを政治用語として使っていった。しかしながら、こうした運動はしばしば白人の中流クラスの女性たちにより創設され、周縁グループの経験は軽視されていた[9]

米国の作家ベル・フックスによると、政治的シスターフッドは富裕層のフェミニストに共通の抑圧により推進され、女性に対する本質的な偏見を隠してきた。白人女性により作られたこの概念は、ホワイト・フェミニズムに集中しており、家父長制の下での政治的連帯の手段として利用され、人種、民族、セクシュアリティなどの要素の交差は考慮されていない。フックスは、女性同士の「無条件の愛」を象徴するはずのシスターフッドは、人種的階級的偏見に基づいていて、対決や批判を避けるために作られた幻想にすぎない、と言っている[10]

第二波フェミニズムとラディカル・フェミニズム

1967年、 ニューヨーク・ラディカル・ウーマン英語版(NYRW) のメンバーであるキャシー・サラチャイルドは「シスターフッド・イズ・パワフル」と宣言し、この言葉は後に第二波フェミニズムのスローガンとなった[11]

この頃、シスターフッドの概念は意識覚醒グループへと広がり、それがさらに政治の枠を超えていった。こうして女性同士の関係は、生活における男性の影響から一歩距離を置き、代わりに女性のロールモデルを確立することを目的とするようになった。活動への物質的な支援によって、いわばシスターフッドにおける初期の エモーショナル・インティマシー英語版が復活した。新たなシスターフッドが形作られ、黒人のみ、レズビアンのみのグループも生まれた。しかし、それぞれのグループは自分たちの活動に集中し、相互のつながりと包摂性を欠いていた[12]

第三波フェミニズムとインターセクショナル・シスターフッド

第三波フェミニズムは、シスターフッドをより包括的にするため、また、人種、民族、性的指向、階級などのインターセクショナリティーを考慮しようとする中で、これまでの運動の欠点を解決するために現れた。しかし、この用語自体が主に第二波フェミニズムと結びつけられていた時期であり、男性を排除し多様な女性の経験を単純化しているとして懐疑的な見方も生じた。これに対抗して、トランス排除的ラディカルフェミニストたちは、男性やトランスジェンダーの人々をコミュニティに包含しようとする試みに対して「シスターフッド」を批判してきた[13]

第四波フェミニズムと現代のシスターフッド

第四波フェミニズムの存在を否定する者もいるが[14]、その形成とソーシャルメディアの発展に伴い、シスターフッドは再び注目を集めるようになった。ただしその定義は部分的に変化している[15]。今日では、男性、トランスジェンダーの人々、有色人種、その他の周縁化された集団も含む概念であり、人々の共通の闘争や抑圧ではなく、多様な経験に基づくものとなっている[16]

日本

ファッション雑誌『ELLE』は、2020年4月号で「"女たちの絆"がキーワード」と掲げて、「春の映画、百花繚乱!」特集を組んだ[17]。そこでは、女性の映画監督であるグレタ・ガーウィグによってリメイクされた『若草物語』や、ボンドウーマンが登場する『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』など、20代から70代までの女性をヒロインとする映画が取り上げられた[17]

文芸雑誌『文藝』は、2020年秋季号で「覚醒するシスターフッド」特集を組んだ[18]。同雑誌に掲載された8つの短編は、新たに2つの短編を加えて、2021年に『覚醒するシスターフッド』の題名で単行本化された[18]

著作家の王谷晶は、2020年のインタビューにおいて、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの存在が「シスターフッドの大衆化」に寄与しているのではないか、と述べている[19]

大衆文化

脚注

関連文献

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