ジェモー

武満徹の管弦楽作品 From Wikipedia, the free encyclopedia

ジェモー』(Gémeaux )は武満徹による「オーボエトロンボーン、2つのオーケストラ、2人の指揮者のための」音楽作品。作曲に15年の歳月が費やされた。

作曲の経緯

1971年に、翌年のロワイヤン音楽祭のために委嘱されて作曲が始められた[1]。同音楽祭で、現在の第1楽章に相当する部分が初演される予定だったが、出演料を巡って主催者と対立したオーケストラの団員がストライキを起こし[2]、更に、出演料でもめている間に曲の委嘱者が降りたり、演奏者により演奏がキャンセルされたため、初演のめどが立たなくなった[1]。その後、演奏される可能性もないまま15年に渡って少しずつスケッチを書き進めたが、1986年10月に全曲がサントリーホール開館記念のための委嘱作品(サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ)として初演された[3]。当初、独奏者として、オーボエにはハインツ・ホリガーが、トロンボーンにはヴィンコ・グロボカールがそれぞれ想定されていた[1][注 1]

曲の構成

「ジェモー」はフランス語ふたご座を意味する。武満の解説によれば、『ジェモー』は「音楽による恋愛劇であり、ふたつのもの、時に相反するものが、愛により帰一する態を描いている。」[1]また、つねに“2”という数が支配的であり、瀧口修造の『手づくり諺』からの

きみの眼、きみの手、きみの乳房

きみはひとりの雙子だ

に大きな影響を受けた、とも述べている[1]。ステージに向かって左側のオーケストラはマンドリンチェレスタ、右側はギターピアノが使われるという若干の違いはあるが、オーケストラは左右とも2管編成を基本とした同じ編成で、舞台上では左右対称に配置される[1]管弦楽作品というより、大規模な室内楽曲の集合体の観をなしており、演奏者にも高度な技術が要求される[1]。曲は4楽章からなり

  1. strophe
  2. genesis
  3. traces
  4. antistrophe

と題されている[1]

初演

1986年10月15日、サントリーホールにおいて、ブルクハルト・グレッツナー(オーボエ)、ヴィンコ・グロボカール(トロンボーン)、尾高忠明指揮・東京フィルハーモニー交響楽団井上道義指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団によって世界初演された[3]

2人のソリスト、2群のオーケストラと2人の指揮者が必要なために費用がかさむことが祟って、以後、滅多に演奏されず、武満の存命中、初演を含めて3回[注 2] しか演奏されなかった[1][2]。武満没後もほとんど演奏されていない。例外的に、武満徹没後10年を記念した企画「武満徹|Visions in Time」の中で、2006年5月28日に、クリスティアン・リンドベルイ(トロンボーン)、古部賢一(オーボエ)、若杉弘[注 3]高関健指揮、東京フィルハーモニー交響楽団によって演奏され[5]NHK-FMの「現代の音楽」で放送された。

編成

演奏時間

演奏時間は約30分と、武満の曲にしては異例の長さである。

出版

録音

上記の通り、多くの演奏が望めなかったため、武満自身この録音を非常に喜んだ。

  • 「武満徹の宇宙 Cosmos of Toru Takemitsu」財団法人東京オペラシティ文化財団・タワーレコード TOCCF-10、古部賢一(オーボエ)、クリスティアン・リンドベルイ(トロンボーン)、若杉弘(第1オーケストラ)、高関健(第2オーケストラ)指揮、東京フィルハーモニー交響楽団2006年5月28日、東京オペラシティ・コンサートホール〈タケミツメモリアル〉、ライブ録音)

脚注

外部リンク

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