エシュノーズの作風は、一方では“ロマン・ノワール(暗黒小説)”をはじめとしたミステリーやハードボイルド、冒険小説やハリウッド映画といった文学以外のジャンルから強く影響を受けつつ、他方でヌーヴォー・ロマンの切り開いた小説の新たな展開を受け継ぎ、通例の物語にありがちな心理描写やクライマックスを排除しているところに特徴がある。複数の場所で複数の人物がそれぞれに振舞うことによっていくつもの物語の筋が同時進行するなかで、しばしばストーリーが中断されて対象に視点が据えられ、その特徴が過剰なまでに饒舌に描写される。その作風から、また文学以外のジャンルへの関心から「ポストモダン」的と評されることも多い。