スクール・セクシュアル・ハラスメント
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定義
関係性の非対称性と認識の課題
発生の背景と構造的要因
固定電話を持たない家庭が増えたこともあり、メールやSNSを緊急連絡網として用いる学校も増えている。読売新聞の調査によれば、わいせつ行為で処分を受けた教員のおよそ半数が、メールやSNSで生徒・児童と私的なやりとりを行っており、こうした行為は多くの教育委員会で禁止されているが、徹底されていない[6]。
さらに、少子化に伴う生徒・児童数の減少で、全国の学校で空き教室が増えており、これが学校内の「死角」として悪用されるケースも目立っている[7]。
処分の面では、公立学校の教員が不祥事を起こした場合は地方公務員法に基づいて処分されるが、私立学校では運営する学校法人の規則によって処分される。わいせつ事件のような事案は私立学校のイメージ、さらに言えば生徒募集に直結するため、懲戒免職を避けて自主退職を促し、幕引きを図るケースが少なくない[8]。
関連施設における被害と潜在化
学校に限らず、放課後児童クラブ(学童保育)、放課後等デイサービス、児童養護施設といった施設でも同様のセクハラが行われている[9]。こういった施設の利用者は、一般の学校の生徒・児童と比べてわいせつ行為を拒否することが難しい、被害の状況を説明することが難しいという面があり、悪質な職員から狙われやすくなってしまうことがある[10]。
また、被害者の特定を恐れることや、警察の捜査・取調の過程で生じる二次被害への懸念から、保護者が被害届の提出を見送る事例も少なくない[11]。被害者が男性というケースもあるが、女性に比べると絶対数が少なく、周囲への相談を躊躇する傾向が強いため、事態がより潜在化・表面化しにくいと指摘されている[12]。
近年の法整備と対策の動き
2020年9月28日、保護者の任意団体は、「子どもにわいせつ前歴のある人に教員免許を再交付しないでください」という54,700筆の署名簿を、文部科学省に提出した[13]。
2022年4月1日、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行された。2023年10月、文部科学大臣によるメッセージ「子供たちを児童生徒性暴力等から守り抜くために〜全国の学校関係者の皆様へ〜」が公表された[14]。
教育委員会の不適切な対応
懲戒免職された教員の氏名を官報に掲載することは教育職員免許法で義務づけられている。しかし、掲載する時期までは定められていない。
そのため、教育委員会が「加害者の氏名から被害者が特定されるおそれがある」あるいは「被害者が卒業するタイミングを待って掲載する予定であった」などの理由で、懲戒免職とした教員を官報に掲載することを怠る事例が存在する。2019年までの10年間で、判明しているだけで未掲載事案は61件に上り、そのうち46件がわいせつ事案であった[15]。
2024年、横浜市教育委員会は教員が被告であるわいせつ事件の裁判において、手当を出すなどして多数の職員を動員し、一般の市民や記者の傍聴を妨害していたことが明らかとなった[16][17]。これは2019年から続けられており、市教委は「被害者のプライバシーを守るため、不特定多数の人に傍聴されないようにしてもらいたいという保護者側の要請を汲んだもので、事案を隠蔽する意図はなかった」と説明した。
これに対し、ジャーナリストの江川紹子は「教育委員会が傍聴の機会を奪ったことは大きな問題であり、被害者保護が目的であったとした説明は、にわかには信じ難い」と批判した[16]。