ソトス症候群
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頭が大きい(大頭症)などの特有の顔貌、体格(身長)の大きさ(過成長)、発達障害などより小児期に気づかれることが多い[1]。男女差は無い[1]。1964年、アメリカの ソトスらによって「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に報告された[4][5]。頻度は1-2万人に1人とされ[6]、先天性異常としては高頻度である[7]。大多数が孤発性である[8]。予後は合併症の心疾患、腎疾患、難治性てんかんの程度によって規定されるが[1]、60歳を過ぎて生存する症例もある。発達遅延の程度はまちまちであり、通常の学校教育を受ける事が出来る症例から[9]、一生涯手厚い生活サポートが必要とされる症例まで様々である[9]。知能指数は、21-103とされる[4]。歯や顎の異常によって歯科受診時に気づかれることもある[10]。過成長は次第に目立たなくなるが[4][注釈 2]、成長と共に脊椎側弯などがみられるようになる。日本では、2014年5月に成立した難病医療法に基づく難病として、2015年に指定難病の1つとして選ばれ、国の医療費助成が得られるようになった[11]。
症状
遺伝
原因

遺伝子疾患であろうと考えられていたが、長く原因が判明していなかった[6]。2002年に長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設分子医療部門の新川詔夫と松本直通らの研究グループによって、5番染色体の長腕の5p35領域の2-q35.3に位置する核内受容体結合SETドメイン保有蛋白質1(NSD1)遺伝子のハプロ不全[注釈 3]が原因と特定され[4][6]、2002年4月の米科学誌「ネイチャー ジェネティクス」に掲載された[6][13][14][15][16][17]。NSD1遺伝子は8088bpの蛋白翻訳領域を持ち、少なくとも23個のエクソンがあり、人胎児の脳や筋肉で高頻度に発現しているとされる[18]。NSD1遺伝子がコードするNSD1蛋白は、核内受容体結合SETドメイン保有蛋白質(Nuclear Receptor Binding SET Domain Protein)の1つであり[7]、2696個のアミノ酸で形成される。NSD1蛋白は既知の物質であったが、長崎大学の研究チームは世界で初めてソトス症候群との関連性を指摘した[7]。同研究グループは検出検査に関連した特許を日米で取得している[19][20]。
欠失型と変異型
日本人ではNSD1遺伝子を含めた部分的な染色体の欠失に起因する症例が多く、全体の50%の症例が該当する。1-2割は染色体の欠失ではなくNSD1遺伝子内部の変異によって生じる。稀に5q35転座によっても発症する[9]。日本人以外では染色体の欠失に起因する割合は約10%程度とされる。欠失型と変異型とでは一部症状が異なることが指摘されており[1]、欠失型では過成長が目立たない一方で、精神遅滞や心臓や腎臓の奇形の頻度が増加する[8]。
検査
ソトス症候群に見られる微細な染色体欠損や異常を検出することは、G分染法[注釈 4]では困難である。
日系人
ルーツが日系人の場合は、まずNSD1プローブを使用したFISH法による染色体診断により、NSD1遺伝子領域の検索を行う[9]。日本ではソトス症候群の遺伝子検査(FISH法)が保険収載されており、結果も数日で分かる[21]。検体は末梢血からの血液で良く、ヘパリン加血液3-5ml程度が必要である。ただしソトス症候群の約5%にエクソン欠失 (1つ以上のエクソンの欠失)に関連して発症している症例があり[9]、FISH法では、エクソン欠失関連のソトス症候群の検出が出来ない[9]。FISH法で検索できなかった症例に対しては、シークエンス解析を行う。ただしシークエンス解析は高額であり[注釈 5]、また結果が出るまで4か月程かかることがある[22]。
非日系人
ルーツが日系人でない患者では、シークエンス解析が第一選択検査となり、シークエンス解析で遺伝子変異を発見できなかった場合、FISH法を実施する[9]。
診断基準
重症度分類
- 難治性てんかんの場合:主な抗てんかん薬2~3種類以上の単剤あるいは多剤併用で、かつ十分量で、2年以上治療しても、発作が1年以上抑制されず日常生活に支障を来す状態(日本神経学会による定義)。
- 先天性心疾患があり、薬物治療・手術によってもNYHA分類でII度以上に該当する場合。
- 気管切開、非経口的栄養摂取(経管栄養、中心静脈栄養など)、人工呼吸器使用の場合。
- 腎不全を伴う場合。CKDの重要度分類表の「高リスク」(赤色)
- NYHA分類[23]
- I度
- 心疾患はあるが身体活動に制限はない。
- 日常的な身体活動では疲労、動悸、呼吸困難、失神あるいは狭心痛(胸痛)を生じない。
- II度
- 軽度から中等度の身体活動の制限がある。安静時又は軽労作時には無症状。
- 日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)で疲労、動悸、呼吸困難、失神あるいは狭心痛(胸痛)を生ずる。
- III度
- 高度の身体活動の制限がある。安静時には無症状。
- 日常労作のうち、軽労作(例えば、平地歩行など)で疲労、動悸、呼吸困難、失神あるいは狭心痛(胸痛)を生ずる。
- III度
- 心疾患のためいかなる身体活動も制限される。
- 心不全症状や狭心痛(胸痛)が安静時にも存在する。
- わずかな身体活動でこれらが増悪する。
| 原疾患 | 蛋白尿区分 | A1 | A2 | A3 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 糖尿病 | 尿アルブミン定量 (mg/日) 尿アルブミン/Cr比(mg/gCr) |
正常 | 微量アルブミン尿 | 顕性アルブミン尿 | ||
| 30 未満 | 30から299 | 300以上 | ||||
| 高血圧、腎炎、多発性嚢胞症、腎移植、その他 | 尿蛋白量(g/日) 尿蛋白/Cr比(g/gCr) |
正常 | 軽度蛋白尿 | 高度蛋白尿 | ||
| 0.15未満 | 0.15 - 0.49 | 0.50以上 | ||||
| GFR区分 (m L/分/1.73m2) | ||||||
| G1 | 正常または正常高値 | 90以上 | 付加リスク無し | 低リスク | 中等リスク | |
| G2 | 正常または経度低下 | 89以下、60以上 | 付加リスク無し | 低リスク | 中等リスク | |
| G3a | 軽度から中等度低下 | 59以下、45以上 | 低リスク | 中等リスク | 高リスク | |
| G3b | 中等度から高度低下 | 44以下、30以上 | 中等リスク | 高リスク | 高リスク | |
| G4 | 高度低下 | 29以下、15以上 | 高リスク | 高リスク | 高リスク | |
| G5 | 末期腎不全(ESKD; 旧CRF) | 15未満 | 高リスク | 高リスク | 高リスク | |