タマツリスゲ
From Wikipedia, the free encyclopedia
| タマツリスゲ | ||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
タマツリスゲ | ||||||||||||||||||||||||
| 分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Carex filipes Franch. et Sav., 1878 |
タマツリスゲ Carex filipes Franch. et Sav., 1878 はカヤツリグサ科スゲ属の植物の1つ。柔らかい草で、果胞をまばらにつける小穂は柄があってぶら下がる。
全体に柔らかい多年生の草本[1]。根茎は短く這い、茎や葉は多少ともまとまって出る。植物体は全体に軟弱で多少とも粉緑色をしている[2]。花茎は高さ20-50cmになるが、果実の時期には垂れ下がる。葉はこれより短く、幅2-5mmで鮮やかな緑色をしており、質は柔らかで滑らか、ざらつくことがない。基部の鞘は赤紫色をしている。
花期は5-6月。花茎は柔らかく、滑らか。小穂基部の苞は長い鞘があり、葉身部は葉状に発達する。頂小穂は雄性で、側小穂は雌性。側小穂は1-3個[3]。頂小穂のすぐ下から側小穂が1つ出て、この2つはほぼ同じ高さになり、それらから大きく離れて花茎の中程よりやや上からもう1つの側小穂が出て、これは細くて長い柄があって垂れ下がる[4]。小穂基部の苞は長い鞘があり、葉身部は葉状になっている。雄小穂は紡錘形で長さ0.5-1.5cm、短くて太め[5]の柄がある。雄花鱗片は赤褐色で先端は尖るか鈍くなっている。雌小穂は短い柱形でまばらに花を付けて長さは1-2.5cm。雌花鱗片は緑白色だが縁は赤紫を帯び、先端は鋭く尖る。果胞は鱗片より長く、鱗片の長さの約2倍[6]あって長さ5-7mm、広卵形で稜の間には脈があり、表面に毛はない。先端に向けては長い嘴があり、その口は斜めに切り取った形となっている。痩果は果胞に密に包まれ、倒卵形で長さ2-2.5mm。柱頭は先端が3つに裂けており、普通は花後に脱落するが、時に果実の成熟するまで残っている。
和名は玉釣りスゲであり、雌小穂の果胞がまばらで、これに細い柄があって垂れ下がる姿による[7]。
- 全体の様子
- 基部の鞘
- 花序の先端近く
分布と生育環境
分類・類似種など
本種を含むタマツリスゲ節 Sect. Paniceae には10種以上が日本各地から知られているが、コジュズスゲ C. macroglossa などは側小穂に長い柄がなく、また基部の鞘も濃く色づかない。本種のように側小穂が釣り下がる形のものでもサッポロスゲ C. pilosa などは地下に匍匐茎を出す。そのような点で本種と似ているものでは、オオタマツリスゲ C. rouyana とヒロハノオオタマツリスゲ C. arakiana は頂生の雄小穂が長い柄を持ち、直下の雌小穂と離れてつくことで区別される。またこれらは本種より一回り大柄なものだが、小柄な個体では上記のような特徴では判別が難しくなるが、これらの種では基部の鞘が赤く着色することがなく、よい判別点となる。
オクタマツリスゲは本種よりやや大柄で葉幅は5-7mm、全体に深緑色をしており、また上記2種ほどではないが雄小穂の柄が長い。星野他(2011)はこれを本種の変種 C. filipes var. kuzakaiensis としている。ただし勝山(2015)は形式的にはこれを本種の亜種 subsp. kuzakaiensis としながらも、むしろヒロハノオオタマツリスゲの変種とすべきではないか、との見解を示している[10]。これは本州の関東地方北部から東北地方に産する[11]。
ヒメジュズスゲ C. filipes var. tremula は植物体全体や果胞など各部が本種より小さいことから別種とされ、また本種の変種とされたこともあったが、星野他(2011)では本種の標準的な型との間に変異が連続的に存在するとし、分ける必要はないとの見立てをしている[12]。これに当たるものは四国と九州にある[13]。