Λ を任意の濃度の集合とし、{ Xλ }λ ∈ Λ を任意濃度の個数のコンパクト空間の族とすれば、その直積空間 X =
Xλ もコンパクトである。
(1) 直積空間 X の開集合族
が次の仮定を満たすとすれば、
は X を被覆しない、つまり命題 2 が満たされることを示す。
仮定 :
のいかなる有限部分集合も X を被覆しない。
(2) 整列可能定理により Λ には整列順序 "≤" が定義されているものとする。Λ は "≤" に関して最小元を持つ (これを λ0 とする)。X =
Xλ の直積は整列順序で行われるものとする。従って、無限直積の先頭の空間は Xλ0 となる。
(3) Λ の元 λ に応じて真偽が決まる2つの命題関数 P (λ) および P ′(λ) を次のように定義する。
- P (λ) : Λλ = { ρ | ρ ≤ λ ∧ ρ ∈ Λ } と置く。次のような x : Λλ →
Xρ が存在する( x (ρ) を xρ と書くことにする)。全ての ρ ∈ Λλ について、xρ ∈ Xρ であり、Xρ の任意の開集合 Uρ が xρ を含めば、
の有限部分集合で
を被覆するものは存在しない。
- P ′(λ) : Λ′λ = { ρ | ρ < λ ∧ ρ ∈ Λ } と置く。次のような x ′ : Λ ′λ →
Xρ が存在する。全ての ρ ∈ Λ′λ について、x ′ρ ∈ Xρ であり、Xρ の任意の開集合 Uρ が x ′ρ を含めば、
の有限部分集合で
を被覆するものは存在しない。
補足 : x : Λλ →
Xρ 、xρ ∈ Xρ が存在することを主張するためには選択公理を援用する必要がある。 x ′ についても同じ。
(4) P (λ) と P ′(λ) は同値である。つまり、Λ の任意の元 λ に対して、P (λ) が真であれば P ′(λ) も真であり、P ′(λ) が真であれば P (λ) も真である。
(5) P (λ) → P ′(λ) の証明
P (λ) が真であれば Uλ を Xλ と置いても、
の有限部分集合で
を被覆するものは存在しない。従って P ′(λ) は真である。
(6) P ′(λ) → P (λ) の証明
(6.1) ある λ について P ′(λ) が真であるが、P (λ) は偽であると仮定する。P (λ) は偽であるとは、どのように x : Λλ →
Xρ 、xρ ∈ Xρ を選んだとしても、xρ を含む Xρ の開集合 Uρ が存在して、ある
の有限部分集合で
を被覆するものが存在することを意味する。
(6.2) x ′ : Λλ →
Xρ は命題 P ′(λ) で存在が保証されているものとする。Xλ の点を任意に選んで y と置く。 x : Λλ →
Xρ を、ρ ∈ Λ′λ → xρ = x ′ρ 、xλ = y と定義する。このとき (6.1) から、xρ を含む Xρ の開集合 Uρ が存在して、ある
の有限部分集合で
を被覆するものが存在する。
(6.3) (6.2) は別の見方をすると、Xλ の全ての点 y について、y を含む Xλ の開集合 Uλ, y と、ρ < λ である全ての ρ ∈ Λ について、x′ρ を含み y に依存して決まる Xρ の開集合 Uρ, y が存在して、
の有限部分集合で
を被覆するものが存在することを意味する。
(6.4) Xλ はコンパクトであるから、このような Uλ, y の有限個を選んで Xλ を被覆できる。別の言い方をすれば、 Xλ のある有限部分集合 F が存在して、Xλ =
Uλ, y とできる。Uρ =
Uρ, y と置けば、 Uρ は xρ を含む Xρ の開集合であり、 F に含まれる各 y について Uρ ⊆ Uρ, y である。
の有限部分集合で
を被覆するものが存在するのであるから、
の有限部分集合で
を被覆するものが存在する。
(6.5)
=
であるから、
の有限部分集合で
を被覆するものが存在することになるが、これは P ′(λ) が偽であることを意味し、矛盾が発生する。従って、 P ′(λ) → P (λ) である。
(7) 主張 : 任意の ξ ∈ Λ′λ = { ρ | ρ < λ ∧ ρ ∈ Λ } について P (ξ) が真であれば、P (λ) も真である。
証明 :
(7.1) Λ′λは空でないと仮定する。(4)から ξ ∈ Λ′λ について P ′ (ξ) は真である。従って、ツォルンの補題から (詳細な証明は略) Λ′λ =
Λ′ξ について次のような x ′ : Λ ′λ →
Xρ が存在することが言える。全ての ρ ∈ Λ′λ について、x ′ρ ∈ Xρ であり、Xρ の任意の開集合 Uρ が xρ を含めば、
の有限部分集合で
を被覆するものは存在しない。従って、P ′ (λ) は真であり、(6)から P (λ) も真である。
(7.2) Λ′λ が空の場合、λ = λ0 でければならない。この場合の証明は、有限の場合の証明の (2)とほとんど同じになるので省略する。
(8) (7) の主張 から超限帰納法により、任意の λ ∈ Λ に対して、P (λ) は真である。従って、ツォルンの補題から (詳細な証明は略) 次のような x : Λ →
Xρ が存在することが言える。全ての ρ ∈ Λ について、xρ ∈ Xρ であり、Xρ の任意の開集合 Uρ が xρ を含めば、
の有限部分集合で
を被覆するものは存在しない。
(9) 補足 : 直積位相の定義により { Xλ }λ ∈ Λ の全ての開集合の直積が成す集合族は、直積空間 X =
の開集合族の基底を成す(これを
とする)。上記の
Uρ は
の要素である。 X の任意の開集合 O は 基底
の適当な部分集合族の合併として定義される。つまり、O =
Bλ ( Bλ ∈
) である。これから、 O とそれに含まれる任意の点 x について、ある B ∈
が存在して、 x ∈ B ⊂ O となることが言える。
(10) 主張 : (8) で存在が証明された x は、直積位相の定義により X の点であるが、この点は
で被覆されない。
証明 : 主張 が正しくないと仮定すれば、x を含む
の要素が少なくとも1つ存在するので、そのうちの一つを W とすれば、補足 から x ∈ B ⊂ W を満たす B ∈
が存在する。一方、(8)から、B が x を含めば、
の有限部分集合で B を被覆するものは存在しないので矛盾である。従って、主張 が正しいことになる。
(11) 結論 : 以上により 仮定 が成り立てば
は X を被覆しない。従って、命題 2 が成立するので、X はコンパクトである。