チュー・チン・チャウ
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『チュー・チン・チャウ』(Chu Chin Chow)は、1916年にロンドンで初演された2幕からなるオペレッタあるいはミュージカル・コメディ。『アリババと40人の盗賊』をもとにしている。


日本では漢字で『朱金昭』とも書かれる。副題は「東洋の音楽劇 (A Musical Tale of the East)」。
概要
オスカー・アッシュがリブレットと歌詞を書き、フレデリック・ノートン (Frederic Norton) が作曲、1916年8月31日にロンドンのヒズ・マジェスティーズ劇場で初演された。第一次世界大戦中に休暇中の兵士の娯楽として人気を博し、戦後の1921年7月22日まで5年近くで2235回の公演回数を記録した[1][2][注釈 1]。これはウエスト・エンドでの最長公演記録であり、約40年後の『サラダデイズ』 (Salad Days (musical)) まで破られることはなかった[2]。オスカー・アッシュ本人がアブー・ハッサンを、その妻であるリリー・ブレイトン (Lily Brayton) がザラートを演じた[3]。作曲したノートンは歌手でもあり、アリ・ババ役を演じることがあった[4]。
第二次世界大戦中の1940年にリバイバル上演された[3]。1953年にはエンパイアプールでアイスショーとして上演された[3]。アメリカ合衆国では1917年10月22日、オーストラリアでは1920年12月11日に初演された[3]。
公演は華やかな舞台装置やエキゾチックでエロティックな衣装で知られる。公演が続くにつれて衣装は布が少なくなり、露出部分が増えていった[5]。
日本では1948年1月に日本劇場で鈴木重吉脚本、藤田潤一・東信一演出のミュージカル『アリババと盗賊』がエノケン劇団と東宝舞踊団により公演され、榎本健一がアリババ、朱金昭、ハッサンの三役を演じたことがある[6]。
評価
ヒット作品ではあるが芸術としての評価は一般に低く、中野好夫は「低俗きわまる愚劇」とする[7]。
大田黒元雄によれば、本作品の成功により中国やインドを舞台とする多くの作品が作られたが、「チュー・チン・チャウ」ほどの興行成績を上げたものは他になかった。したがって、「チュー・チン・チャウ」はギルバート・アンド・サリヴァン以降のイギリスのオペレッタの中では「音楽的には大してすぐれていないのにも拘わらず、オペレッタの歴史に載せられるに足る唯一のもの」だという[8]。
主な登場人物
あらすじ
第1幕
中国の裕福な商人であるチュー・チン・チャウを迎えるため、カシム・ババは宴会の準備をする。しかし彼の妻や女奴隷たちはカシムを嫌っており、彼のもとから逃げようと算段している。
しかし本物のチュー・チン・チャウは盗賊に殺され、盗賊の長であるアブー・ハッサンは自らチュー・チン・チャウに変装してカシムのもとを訪れる。カシムの女奴隷のひとりザラートは翌朝カシムが奴隷市を開くことを教える。ザラートは恋人のオマルを人質に取られているためやむを得ずアブー・ハッサンのスパイとして働いていたのだった。
女奴隷マルジャナは恋人のヌルと駆け落ちしようとするが、ふたりとアリは盗賊たちが洞窟から出ていくのをたまたま目撃する。洞窟の中は財宝で一杯で、マルジャナを自由の身にするのに充分な量があった。
奴隷市が開かれるが、チュー・チン・チャウによるひどい不正がまかり通る。ザラートがマルジャナに秘密をばらしたことに気づいたチュー・チン・チャウはザラートを罰しようとする。ザラートは彼がアブー・ハッサンであることを人々にばらして捕まえようとするが、40人の盗賊が正体をあらわし、市に集まった商人たちから金品を強奪して去る。ザラートは裏切り者としてアブー・ハッサンに捕えられる。
第2幕
洞窟のことをアリから聞いたカシムは、夜中にひとりでこっそり洞窟を訪れて財宝を奪おうとする。それを知ったマルジャナとヌルは先回りするが、洞窟の中にはザラートが縛られて監禁されていた。
ザラートを助けるために一同が洞窟の外に出ると、入れかわりにカシムが入ってくる。彼が大量の財宝に喜んで集めるうちに盗賊たちが洞窟に帰ってきて、カシムを殺して四肢をバラバラにする。
洞窟からカシムの死体が消えたことに気づいた盗賊はババ・ムスタファという靴職人が目隠しをされてある家に連れて行かれて死体を縫い合わせたことを突き止める。靴職人が家を出るときにつけておいた印を頼りに盗賊は家を探すが、ザラートがすべての家に同じ印をつけてしまったので探しあてることができない。
カシムの館でマルジャナとヌルの結婚披露宴が開かれる。ザラートはアブー・ハッサンと交渉し、彼が油売りに変装し、盗賊を油壺の中に隠して館の中に入れておき、機会を見て正体をあらわす案を話す。アブー・ハッサンが言われた通りにすると、ザラートは家令のアブドゥッラーに命じて盗賊のはいった油壺に熱した油を注がせる。アブー・ハッサンは騙されたことに気づくが、1人ではどうしようもなく、ザラートに刺し殺される。
主要な楽曲
映画
- 1923年のハーバート・ウィルコックス監督によるイギリスのサイレント映画『チュー・チン・チャウ』 (Chu-Chin-Chow (1923 film)) [10]。ベティ・ブライスがザラートを演じた。
- 1934年のウォルター・フォード監督によるゴーモン・ブリティッシュ社のイギリス映画『チュー・チン・チャウ』 (Chu Chin Chow (1934 film)) [11]。フリッツ・コルトナーがアブー・ハッサン、アンナ・メイ・ウォンがザラートを演じた。日本では『朱金昭』の題で公開された。
エピソード
2001年のAlter Ego誌でのインタビューによれば、マーベルのキャラクターである「フィン・ファン・フーム」 (Fin Fang Foom) の名前は、スタン・リーが子供の時に観た映画の題『チュー・チン・チャウ』から発想を得ているという[12]。