デカルトの符号法則

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デカルトの符号法則(デカルトのふごうほうそく、: Descartes's rule of signs)とは、実数係数の1変数多項式に対して、その係数列の符号変化の回数から正の実数の個数の上限を与える法則である。ルネ・デカルトが『ラ・ジェオメトリー』において用いたことに由来する。[1]

実数係数多項式

を考える。係数のうち 0 でないものを高次から順に並べたとき、隣り合う係数の符号が変わる回数を 符号変化数 という。[2]

このとき、 の正の実根の個数(重複度込み)は、係数列の符号変化数以下であり、その差は偶数である。したがって、符号変化数を とすると、正の実根の個数は

のいずれかである。[3][4]

特に、符号変化数が 0 であれば正の実根は存在せず、符号変化数が 1 であれば正の実根はちょうど 1 個である。[5]

負の実根の場合

負の実根の個数は、 にデカルトの符号法則を適用することで求められる。すなわち、奇数次の項の係数の符号を反転させた多項式

に対する符号変化数を調べれば、もとの多項式の負の実根の個数の上限が得られる。負の実根の個数もまた、その符号変化数以下であり、差は偶数である。[6]

たとえば

では、係数列

の符号変化は 3 回である。したがって正の実根の個数は 3 個、または 1 個である。[7]

また、

では係数列の符号変化は 1 回であるから、正の実根はちょうど 1 個である。いっぽう

には符号変化がないので、負の実根は存在しない。したがって、残りの 2 個の根は非実根である。[8]

注意点

デカルトの符号法則は、正または負の実根の正確な個数を常に与えるわけではなく、あくまで上限と偶奇条件を与えるものである。したがって、実根の個数を厳密に決定するには、ストゥルムの定理ブダンの定理など、より精密な方法を併用することがある。[9][10]

また、係数の中に 0 があるときは、それを除いて符号変化数を数えるのが通常である。[11]

歴史

この法則は 17 世紀にデカルトが『ラ・ジェオメトリー』で用いたことに由来する。後には、区間内の根の個数をより一般に評価するブダンの定理ブダン=フーリエの定理との関連でも理解されるようになった。歴史的研究では、この法則の証明や定式化は後代に洗練されていったことが指摘されている。[12][13]

脚注

参考文献

関連項目

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