デジタル・シティ・京都

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デジタル・シティ・京都(デジタル・シティ・きょうと、英: Digital City Kyoto)は、1998年から2001年にかけて実施された日本の都市情報化に関する研究プロジェクトである[1]。1990年代に欧州で展開されたデジタル・シティ(Digital city)運動、特にアムステルダムの「De Digitale Stad」に触発され、1200年の歴史を持つ京都を舞台とし、Web上のアーカイブと物理的な都市から得られるリアルタイムのセンサー情報を統合することで、日常生活を支援する社会情報基盤(social information infrastructure: 都市に関する多様な情報を収集・提供し、社会的活動を支援するための情報システム基盤)の構築を目的としたと報告されている[1]。アムステルダムの「De Digitale Stad」などと並び、後年のスマートシティ概念の形成に影響を与えた初期の試みとして、国内外の学術文献において言及されている[2][3]

本プロジェクトでは、"digital and physical make things real"(デジタルとフィジカルが物事をリアルにする)という設計方針が提示された[1]。これはサイバースペース上に架空の都市を作るのではなく、物理的な京都と密接に結びついたデジタル都市を構築し、実際の都市コミュニティとの連携を図ることを意図したものである。

この設計思想は、欧州のデジタル・シティ(Digital city)や北米のコミュニティ・ネットワークと目標を共にするが、3D仮想空間や知的エージェント、リアルタイムのセンサーデータ統合などの先端技術を導入するものであった。

沿革

1998年10月、京都大学およびNTTの研究者らによってプロジェクトが開始された。1999年8月には、複数の大学、自治体、民間企業、ボランティアなどが参画する「デジタル・シティ・京都・実験フォーラム」が設立され、産官学民の連携による実証実験が行われた。海外からも研究者やデザイナーが参加しており、約3年間の実験フェーズを経て2001年に終了した。

システム構成と技術

都市情報の管理と社会的相互作用を促進するために、以下の「3層アーキテクチャ」が採用された。

プロジェクト設計当時の3層アーキテクチャ図。インフォメーション、インターフェース、インタラクションの各層が定義されている。各層が情報の収集、提示、相互作用を分担する設計となっている。
インフォメーション層 (Information Layer)
地理情報システム(GIS)を核とし、Webアーカイブとリアルタイムのセンサー情報を統合する層である。京都市内300カ所以上のセンサーから得られる600台以上の市バスの位置データおよび運行状況、交通状況、気象情報、消防署のライブビデオなどが統合された。
インターフェース層 (Interface Layer)
2Dマップおよび3D仮想空間を提供する層である。3D空間の構築には、習得が容易なスリーディーエムエル(3DML)が採用された。これは、専門家以外の利用者による情報更新を想定したためである[1]。その結果、学生やボランティアが構築に参加するなど、ソフトウェア開発の手法として、バザール方式が採用された。実例として、四条通や二条城などの街並みが再現された。
3DMLによって再現された2000年当時の四条河原町の仮想空間。Netscape Navigator上で動作しており、当時のWebベースの都市再現技術を示している。
インタラクション層 (Interaction Layer)
住民や観光客の交流を支援する層である。キャサリン・イスビスター(Katherine Isbister)らは、Microsoftのエージェント技術やI-Chatを活用し、ガイドエージェントが二条城を案内する「デジタルバスツアー」を構築した。また、3D空間上のアバターと現実世界の歩行者をリンクさせ、観光客と居住者のコミュニケーションを実現する試みも行われた。

学術的評価

プロジェクト終了後、デジタル・シティ・京都は、スマートシティに関する学術文献において以下の側面から記述されている。

スマートシティ概念の形成
アムステルダムの「De Digitale Stad (DDS)」と共に、通り、企業、モールといった都市の日常生活をシミュレートした「3Dウェブアプリケーション」として分類されている[2]。住民や訪問者が仮想的な形態で利用可能な都市の事例として参照されており[2]、こうした初期のデジタル・シティの試みが、現在のスマートシティ概念の形成に影響を与えたと分析されている[3][4]
データ処理と技術的課題
歩行者や車両の交通流を記録した手法は、アーバン・センシング(urban sensing: 都市空間に配置されたセンサーやモバイル機器から得られるデータを用いて、人や交通、環境の動態を把握する手法)構想の基礎となる研究として参照されている[5]。また、大規模なデータの処理(processing of large amounts of data)や、多様なインタラクション技術、および情報セキュリティの課題を扱う研究として分類されている[6]
都市・コミュニティモデルとしての評価
ブロードバンド通信基盤を組み合わせた「接続されたコミュニティ(connected community)」形成のモデルとして挙げられている[7][4]。ナレッジ・シティ(知識都市)における事例として分析されているほか[8]、デジタル・シティにおける共通のエンタープライズ・アーキテクチャ(Enterprise Architecture: 都市における業務、情報、アプリケーション、技術基盤の関係を体系的に設計するための枠組み)を定義するためのケーススタディとして活用されている[2]

社会的反響

デジタル・シティ・京都は、新聞各紙で報道されている。1999年には、京都・四条通周辺を三次元仮想空間として再現し、都市情報をインターネット上で提供する試みが開始された[9][10]。2001年には、一般利用者がネットワーク上で京都の街を体験できる仕組みとして紹介された[11]

国際連携活動

課題と継続

参考文献

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