デングベジュ

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デングベジュクルマンジー: Dengbêjîソーラーニー: دەنگبێژی)は、クルド人の文化における語り部・吟遊詩人。クルド語でデングは「声」「ニュース」、べジュは「歌う」「語る」「言葉」「伝える人」などを意味している[1][2]

伴奏をつけて歌うデングベジュ

デングベジュはクルドの口承文芸を伝える人々であり、クルド語のストラン(歌)を唱う[1]。地理的にクルディスタンに含まれるトルコ東部のヴァンカルスエルズルムアールムシュなどではデングべジュの活動が盛んであり、クルディスタンの中心的な都市に属するディヤルバクルとヴァンには、「デングべジュの家」と呼ばれるサロンもある[3]

デングべジュの継承では、歌う場に子供や若者が参加して歌を聴くうちに学んでゆく。著名なデングべジュとして、トルコのシャキロ(Şakiro, 1936年-1996年)が知られている[4]。女性のデングべジュもいるが、男性のように表立って歌うことはできない[5]

トルコでは1991年までクルド語が禁止されており、2020年時点でも差別の対象となっている[注釈 1]。その状況でクルド語を使うデングべジュはクルド文化を継承する貴重な存在となった。トルコの作家メフメッド・ウズンクルド語版は『我がデングべジュたち』(2006年)というエッセイでデングベジュたちとの交流を書いている[6]

デングベジュのパフォーマンス

クルド人の歴史や現在の経験をクルド語で伝えることを生業としており、テーマは大きく分けて英雄譚、恋愛、人生の苦しみの3つがある[7]。戦争や和平、日常生活、恋の想いなどが歌われ、クルドの歴史を旋律の形で保存している[3][2]。長いものでは、三日三晩続くような長編もある[8]。歌のテクニックには地域差があり、喉の使い方、声の出し方などが異なる。旋律は下降旋律であり、最終的に下降する点では各地で共通している[4]

デングべジュの歌には、声のみの作品と、サズなどの楽器で伴奏をつける作品がある。伴奏つきの歌には、結婚式で使うクルク・ハワ(リズミカルな民謡)もあり、そうした歌は詩の内容も楽しい[9]。伝統的な作品の他に、依頼を受けて作られることもあり、親の言いなりで結婚した女性が胸の内を歌にしてくれるように頼んだりする[8]

脚注

参考文献

関連文献

関連項目

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