ナイロビ・サミット (ICPD25)
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開催の背景
1994年の国際人口開発会議(ICPD)では、179カ国が「カイロ行動計画」を採択し、人口問題において個人の尊厳や人権を中心としたアプローチ、とりわけ性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の権利が確認された[2]。ICPD以降、妊産婦死亡率の減少などの進展が見られた一方で、家族計画の普及や有害な慣習の撤廃など、依然としてSRHRに関連する課題が残されていた[2]。これらの目標達成を加速させるため、ICPDから25年の節目にナイロビ・サミットが企画された[1]。
サミットの概要
ナイロビ声明と「3つのゼロ」
コミットメントと資金調達
サミットの閉幕後、各国政府、NGO、企業等から提出されたコミットメントの総数は1,253件に達し、その総額は約80億米ドルとなった[1]。 また、UNFPAやジョンズ・ホプキンス大学などの共同研究により、今後10年間で「3つのゼロ」などの目標を達成するために必要な資金総額が提示された。その内訳は、妊産婦死亡をゼロにするために1,155億米ドル、家族計画のニーズを満たすために685億米ドル、ジェンダーに基づく暴力をゼロにするために420億米ドル、児童婚をゼロにするために350億米ドル、女性器切除をゼロにするために24億米ドルと推計されている[1]。
中絶の権利とSRHRを巡る議論
本サミットの主要なテーマであるセ性と生殖に関する健康と権利(SRHR)や「中絶の権利」については、国際社会において賛成・反対双方の主張が存在し、対立の焦点となっている [4][5]。
国連機関やSRHRを推進する市民団体は、安全で合法な人工妊娠中絶へのアクセスは女性の基本的人権であり、健康に対する権利(ヘルスケア)の不可欠な要素であると主張している[3][5]。安全でない危険な中絶が妊産婦死亡の要因になっているとし、刑罰の対象外とすること(非犯罪化)や法的制限の撤廃を求めている[5][4]。この立場から、アイルランド、アルゼンチン、コロンビア、韓国などでは、女性の自己決定権の観点から中絶が合法化、あるいは条件が緩和された[4]。
他方で、プロライフ(胎児の生命尊重)の立場をとる勢力や、カトリック、イスラム教などの宗教的背景を持つ国々、および保守派の政治勢力は、胎児の生命権を理由に中絶に反対、あるいは厳格な制限を求めている[4]。米国では2022年に連邦最高裁判所が、中絶の権利は憲法で保障されていないとする判決を下し、ポーランドでは2020年に胎児の異常を理由とする中絶を違憲とする判決が出された[4]。米国においては、政権交代に伴い、中絶を支援・容認するNGOへの資金提供を規制する「メキシコシティ政策(グローバル・ギャグ・ルール)」の導入と廃止が繰り返されており、SRHR推進に向けた国際的な資金調達にも影響を与えている[4]。ナイロビ・サミットの場においても、アメリカ合衆国政府はSRHRに対する資金拠出を拒否する姿勢を示した[2]。