ナスフ

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ナスフ(naskh)は、コーランのなかに一見相反する記述がある場合、一方の記述が他方を取り消した、置き換えたと解釈することで、その矛盾を解消するという理論である[1][2]。ナスフはアラビア語で廃棄を意味し、廃棄、取り消しなどと訳される[2]タフスィール学英語版(コーラン解釈学)、ハディース学英語版、イスラーム法源学の分野に関わる理論であり、コーラン解釈学の方法論の一つ[1][2]。ナスフは、アッラーは「(啓示の)どの節を取り消しても、また忘れさせても、それに優るか、またはそれと同様のものを授け(コーラン2:106)」、コーランには矛盾がないとされることから用いられる[2]

多くのウラマー(イスラーム法学者)は「コーランはコーランによって廃棄され、ハディースはハディースによって廃棄される」というナスフ学説を受け入れているが、ハディースによるコーランの廃棄、コーランによるハディースの廃棄は繊細なテーマであり、ウラマーによって解釈が異なる[2]。ナスフ学説は、イスラム教における飲酒ジハード(コーランの「剣の節」(多神教徒の殺害))、一時的な結婚制度である一時婚英語版(ムトア)等の解釈にも大きな影響がある[1]

例えば、ムハンマドのハディースによってコーランの記述が破棄できるか否かの解釈によって、シーア派には一時婚があるが、スンナ派では禁止されている[2]

イスラーム法やコーラン解釈に関わる重要分野だが、日本ではあまり知られていない[3]

参考文献

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