ナフサ

石油製品のひとつ From Wikipedia, the free encyclopedia

ナフサ英語:naphtha)とは、原油常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね30 - 180℃程度の炭化水素混合物である[1]粗製ガソリン直留ガソリンなどとも呼ばれる。主に炭素数(分子鎖長)C8からC10の範囲の芳香族炭化水素などからなる[2]

ナフサのうち沸点範囲が35 - 80℃程度のものを軽質ナフサ[1]といい、日本では石油化学工業でのエチレンプラント原料として多く使用される。輸入原油を国内で精製して製造するものと、ナフサとして輸入するものが相半ばする。

沸点範囲が80 - 180℃程度のものを重質ナフサ[1]といい、接触改質装置におけるガソリンおよび芳香族炭化水素製造の原料としての使用が中心である。これは重質ナフサが炭素原子を6個以上持つ炭化水素を主成分としているため、接触改質における脱水素環化反応によって芳香族炭化水素を多く生成するからである。

また、輸入されるナフサの中には、軽質ナフサと重質ナフサが混じっている(沸点範囲が広い)ものがあり、それらはフルレンジ・ナフサ(full-range naphtha)と呼ばれる。

用途

燃料

ハクキンカイロの燃料に使われるベンジンは軽質ナフサの一種である。

オイルライターキャンプポータブルストーブの燃料(ホワイトガソリン)に用いられる。2009年以前のZippoオイルは重質ナフサを成分としていた[3]

かつてはナフサを燃料としたナフサランプが家庭でも用いられたが、揮発性が高く危険なため現代では灯油にほとんど置き換えられている。

兵器

ナフサを主燃焼材とし増粘剤(Thickener)を混ぜて増粘したのがナパームである。

溶剤

しみぬき、洗浄、塗料の溶媒などに用いられる。

工業用ではエチレンプロピレン重合溶剤、印刷インキ溶剤などに用いられる。

農薬の溶剤や機械部品の洗浄剤としても用いられる[4]

税金を回避するため留出温度等を工夫しガソリンや軽油とみなされないよう工夫されることがある[5]

語源

元来は単に原油を意味する言葉で、ギリシャ語νάϕθα naphtha ナプタ、ラテン語naphthaに由来するが、おそらく紀元前18世紀のアッカド語napṭuまで遡ることができる。他にもペルシャ語で「湿っていること」を意味するnaftに由来するという説もある[6]

石油(petroleum)や灯油(kerosene)、ガソリンなどと異なりナフサの語源だけがインド・ヨーロッパ語族よりも古く遡ることが出来る。灯油やガソリンは用途に応じて名前がつけられていったが、結果として利用価値のない留分にナフサの名称が残ることとなった[7]

なお現在では脱炭素化で燃料としての石油(灯油、ガソリン)の価値が低下し、相対的に化学原料としてのナフサの価値・価格が上昇すると予想されている[8]

参考文献

外部リンク

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