ノッド因子
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概要
ノッド因子の化学構造は、アシル化キチンオリゴ糖骨格に末端または非末端残基に種々の官能基を有するリポキチンオリゴ糖(LCOS)である[3]。 N-アセチルグルコサミン残基の数はノッド因子によって異なり、キチン糖鎖の重合度は3~5量体である。 またアシル基の鎖長および不飽和度、結合している官能基にも違いがある[4]。植物に認識されるノッド因子の正確な化学構造は細菌種で異なり、ホスト-共生生物特異性の基盤となる。 ノッド因子は受容体キナーゼの特定のクラス、細胞外ドメインに属するいわゆるLysMドメインで認識される。 2つのLysM(リジンモチーフ)受容体キナーゼ(NFR1とNFR5)が、2003年にマメ科のモデル植物であるミヤコグサ(Lotus japonicus)においてノッド因子受容体として初めて単離された。これらのキナーゼは大豆やマメ科のモデル植物であるウマゴヤシ(Medicago truncatula)からも単離されている。 NFR5はキナーゼドメインにおける古典的な活性化ループを欠いており、NFR5遺伝子はイントロンを欠いている。
ノッド因子に刺激される少なくとも3つの植物遺伝子はアーバスキュラー菌根の共生に関与している[5]。特定のノッド因子添加はアーバスキュラー菌根のコロニー形成を強化する。2つのまったく異なる共生関係において基本的なメカニズムを共有していることを示している。
根粒菌内での生合成
ノッド因子は根粒菌の持つ根粒形成遺伝子(nod genes)が発現することで合成される。根粒形成遺伝子群は、すべての根粒菌が持っている共通nod遺伝子群(common nod genes)であるnodD, A, B, Cと、宿主特異性に関与する遺伝子群(hsn genes)であるnodF, E, G, H等、その他の3つに分類される[6]。
ノッド(nod)遺伝子の発現は、細菌を引き寄せるために植物が分泌した土壌中のフラボノイド類の存在によって誘導される[7]。根粒菌に取り込まれたフラボノイド化合物は細胞内でnodD遺伝子産物のNodDタンパクと複合体を形成する。その複合体がnodプロモーターであるnod boxと呼ばれる遺伝子領域に結合し、その結果RNAポリメラーゼがnod遺伝子群のプロモーターに結合し転写を開始すると考えられている。一連の流れにより発現したnodABCによりノッド因子が生合成される(NodCがN-アセチルグルコサミンを重合させキチン骨格を作り、NodBが非還元末端のアセチル基を除去した後、そこにNodAがアシル基(脂肪酸)を付加する。)[8]。ノッド因子は根毛が細菌を包み込むような湾曲を誘導し、その後根粒を形成していく。
