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ハンガリー狂詩曲

フランツ・リスト作曲のピアノ曲 From Wikipedia, the free encyclopedia

ハンガリー狂詩曲 (S/G244, R106)(ハンガリーきょうしきょく、フランス語Rhapsodies hongroises, 英語Hungarian Rhapsodies, ドイツ語Ungarische Rhapsodien, ハンガリー語Magyar rapszódiák)はフランツ・リストピアノ独奏のために書いた作品集である。全19曲存在する。第2番(S.244/2)は特に有名である。

概要 音楽・音声外部リンク ...
音楽・音声外部リンク
ピアノ版全19曲を試聴
Liszt: Complete Hungarian Rhapsodies(プレイリスト) - ミケーレ・カンパネッラによるピアノ独奏、Universal Music Group提供のYouTubeアートトラック。
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概要

最初の15曲は1853年に出版された。16番以降の4曲は1882年から1885年までに追加された。のちに一部は管弦楽編曲も行われ(後述)、また第14番を元にピアノとオーケストラのための『ハンガリー幻想曲』が編曲された。現在ではリストの全盛期に書かれた第15番までが出版・演奏されることが多く、晩年に書かれた残りの4曲は書法も簡素となっており知名度は低い。

これらの曲の大きな構造はハンガリー舞曲の形式のひとつヴェルブンコシュチャールダーシュの前身で、異なるテンポをもった複数の楽節からなる)に影響されている。またリストは作曲にあたって、生まれ故郷たるハンガリー古来の民謡と思っていたテーマを取り入れた。しかしそれらは実際にはその時代に作曲され、ロマ(ジプシー)のバンドが演奏していた音楽であり、本来のハンガリーの民謡ではないことが明らかになっている[1]。4人の祖父母ともドイツ人ながらハンガリー生まれであることに愛着を抱くリストの愛国心は、後年バルトークの批判を受けるなど一面で空回りともなった。ピアニストの近藤嘉宏は、これらの旋律はリストがハンガリーに対して抱いていた印象であることは間違いないものであり、それらに対して咎めることは誤りであると主張している[2]

リストは作曲家であると同時に、高度な技巧を持つピアニストでもあったため、他の多くのリストの作品と同様、ピアノ版は演奏の困難な作品として知られている。

作品一覧

「ハンガリー狂詩曲 第2番」主要部

弟子のツェルダヘリに献呈。冒頭のレチタティーヴォ主題による緩やかなテンポの前半と、Allegro animatoの軽快な主題による急速なテンポの後半という2部構成。

ラースロー・テレキー伯爵に献呈。この曲集の中で(第2番管弦楽用の第2番)は知名度が高い。曲の終わり近くにカデンツァが指定されており、セルゲイ・ラフマニノフマルカンドレ・アムランなどが自作のカデンツァを演奏している。また、ウラディミール・ホロヴィッツは全体的に技巧を凝らした編曲を行っている。米国では度々アニメーション作品などに用いられており、『トムとジェリー』の「ピアノ・コンサート」がその代表として挙げられる(ディズニー映画ルーニー・テューンズにも例がある)

レオ・フェステティックス伯爵に献呈。高度な技巧は要求されず、展開もシンプルな構成になっているため、この曲集の中では演奏難易度が低い作品。

カシミール・エステルハーツィ伯爵に献呈。

  • 第5番 ホ短調 《悲劇的な英雄の詩》("Héroïde-élégiaque")

レヴィツキ伯爵夫人に献呈。深い悲しみを内包させるような葬送行進曲風の第1主題と、対象的に優しく柔らかい表情を持つ第2主題で構成される。随所で音の緩急が起こり、終盤からは劇的に且つ重苦しさを残しながら終結する[3][4]

アッポニー伯爵に献呈。演奏効果の高さから第2番に次いで演奏される[5]

フェリ・オルチ男爵に献呈。

A.D’アウグス氏に献呈。

ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンストに献呈。ペシュトとは現在のハンガリーの首都、「ベダペシュト」の「ペシュト」を指す。ドナウ川を挟んで西側の丘の上に位置する「ブダ」に対し、東側の「ペシュト」は平野で経済的に発展した町であった。「謝肉祭」はキリスト教(主にカトリックの地域)のお祭りで、四旬節(復活祭の46日前)の前に行われる。そのメイン・イベントは大規模な仮装行列で、この作品はそうした雰囲気を模写していると考えられる。ファンファーレ風の開始は仮装行列の開始を告げるラッパのようでもある。緩・急の2部構成ではあるが、他のジプシー風スタイルの2部構成とは若干異なる面を見せている[6]

エグレッシー・ベニーに献呈。

フェリ・オルチ男爵に献呈。

  • 第12番 嬰ハ短調

ヨーゼフ・ヨアヒムに献呈。

  • 第13番 イ短調

レオ・フェステティックス伯爵に献呈。

ハンス・フォン・ビューローに献呈。増2度進行が特徴的で第5番とは異なる葬送行進曲で開始され、同主調(ヘ長調)で英雄的な行進曲へ至る。そしてニ長調、ホ長調と転調しながら動機を発展させると、今度はジプシー風の音楽がイ短調で展開される。更に変ニ長調の即興風パッセージなどを経て、ヘ長調の急速な音楽で締めくくられる。同曲集中で最も調性的発展が顕著な楽曲であり、構成も多少複雑である[7]

「ラーコーツィ行進曲」はハンガリーの民謡として伝わっていた旋律で、ラーコーツィ・フェレンツ2世のお気に入りだったことからこの名で呼ばれている。ベルリオーズも『ファウストの劫罰』の中でこの行進曲を書いている。原曲は無名の音楽家によって17世紀後半頃に作曲されたと思われるが正確なことは判明していない[8]

  • 第16番 イ短調

ミヒャエル・ムンカーチに献呈(ムンカーチ展のために作曲)[9]

  • 第17番 ニ短調

ロマ音階がかなり意識して用いられ、終結音も変ロ音となっており、調性的な音の進行及び選択は意図的に避けられているように思われる[10]

  • 第18番 嬰ヘ短調

ブダペシュト・ハンバリー展覧会(1885年)に際して作曲[11]

リスト最晩年の作品。調性はニ短調に始まりニ長調に終止するが、導音と半音高められた第4音が強調されておりロマ音階を意識したものが用いられている[12]

管弦楽版

上記のピアノ原曲(S.244)から6曲が、リストおよびフランツ・ドップラーによりオーケストラ用に編曲された(S.359):

  • 第1番 ヘ短調 S.359/1 (原曲第14番)
  • 第2番 ニ短調 S.359/2 (原曲第2番嬰ハ短調)
  • 第3番 ニ長調 S.359/3 (原曲第6番変ニ長調)
  • 第4番 ニ短調 S.359/4 (原曲第12番嬰ハ短調)
  • 第5番 ホ短調 S.359/5 (原曲第5番)
  • 第6番 ニ長調 S.359/6 (原曲第9番変ホ長調)

さらに原曲第2番についてはカール・ミュラー=ベルクハウス(Karl Müller-Berghaus)による管弦楽版編曲がある。

ハンガリー狂詩曲第2番 S.244/2

フランツ・ドップラー編曲版 ニ短調 S.359/2

演奏時間は、ピアノ版と同じ約12分である。主題をトランペットで始める。 楽器編成は以下の通り。

ピッコロフルート2、オーボエ2、小クラリネットクラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバティンパニ(3個)、シンバルトライアングル弦五部

カール・ミュラー=ベルクハウス編曲版 ハ短調

ミュラー=ベルクハウスの編曲版は、ドップラー編曲版とは調性が異なり、編成にハープが加えられているので聴感上の違いは大きい。

ヘルベルト・フォン・カラヤンアンタル・ドラティ(ロンドン交響楽団、Mercury,1960年録音)など、この編曲版を録音している。

編曲版の表記について

この編曲版は適切な表記がレコード・CDで行われて来なかった。例えば前掲のカラヤン指揮のベルリン・フィル盤でさえミュラー=ベルクハウス版が使われているのにドップラー編曲の「4番」というナンバリングが直されなかった。ドラティ指揮ロンドン交響楽団の演奏(Mercury,1960年録音)も明確にミュラー=ベルクハウス版を使っているのに、編曲者は"Matthey"としている。

ドップラー+リストの編曲版、ドップラーの編曲版、ミュラー=ベルクハウス版の3種を区別掲載していた「作曲家別 クラシックCD/DVD総目録(音楽之友社)」も正確ではない。今日出版譜として管弦楽編成の編曲が確認されているのはドップラー、ミュラー=ベルクハウス版の2つだけである。

関連項目

外部リンク

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