ハーストイーグル
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ハーストイーグル(英語: Haast's Eagle、学名:Hieraaetus moorei[1])は、かつてニュージーランドの南島に生息していた大型のワシ。ハルパゴルニスワシ(Harpagornis Eagle)という名でも知られる。ニュージーランドの原住民であるマオリ族にはPouakai、より一般的にはHokioi、またはHakawaiと呼ばれる大型猛禽類の伝承があり、それは本種に由来しているとも言われる[2]。
翼を広げた長さが3メートルに達したとも言われる史上最大級の猛禽類だった。一説には同じく巨大な鳥類として知られるモアを捕食していたとも考えられ、ニュージーランドにマオリ族が入植し、乱獲によってモアが絶滅した後、本種も西暦1500年頃には絶滅したと考えられている[3]。
概要
ハーストイーグルは、ユーリウス・フォン・ハースト (Julius von Haast) によって初めて生物学的に分類され、その後、骨の発見場所(Glenmark Estate )の所有者であるジョージ・ヘンリー・ムーア (George Henry Moore) にちなみ Harpagornis moorei と命名された。
しかし、DNAの研究によれば、現生の小型種であるヒメクマタカ等と同属であるとされ、現在の学名はHieraaetus mooreiとなっている。[1]


発掘された骨格から推測される体重は、メスで10-15キログラム、オスでは9-10キログラムほどと考えられている。全高はメスで140cm以上、オスでも90cm以上とされ、さらに翼幅はおおよそ2.6-3mほどに及んだと考えられている[4]。翼幅そのものは巨大だが、現存する猛禽類の体重比率からすると決して突出した数値ではなく、ニュージーランドの密林で狩猟を行う際に、この幅の短さを役立てていたとも推測されている。
肉食猛禽類である本種もモア共々、マオリ族にとっては貴重な食料の一つでありマオリ族の貝塚からはモアと共にハーストイーグルの化石も発掘されている。
飛行形式
大型鳥類が得意とするソアリング(滑翔)式ではなく、強力な両脚と巨大な飛翔筋による高翼面荷重と機動性を進化させていったと考えられている。その根拠として、長く幅広な尾翼(メスの標本で50cm以上)が挙げられており、これによって機動性と揚力増大を両立させていたとされる。鳥類としては重量級となる体重にもかかわらず、地面から跳躍しての離陸が可能だったとも考えられている。
生態
狩猟

本種の狩猟スタイルは、現在の猛禽類が行うような、上空から高速で攻撃を仕掛け、片足の鉤爪を獲物の肉や骨に突き刺し、もう一方の足で頭や首を打って負傷させ、大きなくちばしで内臓に向かって体を引き裂き獲物を失血死させるものだったと推測されており、その滑空速度は時速80kmを越えていたとも言われる。
メインとなる中小の生物だけでなく、自身の体重の10倍以上にもなるジャイアントモアの成鳥を捕食していたという説もある。
この説は、本種の大型化・体重増加が、モアをはじめとする大型生物を捕食することへの適応であるという考えによるものだが、実際のところ、発見されたジャイアントモアの骨に本種が捕食した痕跡がある物は少数しか存在せず、単に死骸を食べた痕跡である可能性もある[5]。ジャイアントモアを襲う場面はイラストや標本展示で多数再現されるが、あくまで証拠よりイメージ優先の趣が強い。現在においても、大型の猛禽類とモアに近いダチョウ類が生息域に重なる地域で、後者が捕食されるケースはほとんど確認されていないため[6][7]、生息環境の違いはあったとはいえ、多数発生した状況であったかどうか、捕食自体が可能であったのかどうかは実証されていない。ただし肉食の本種の主食となる生物はニュージーランドにモアしか存在しなかった為、小型のモア類とジャイアントモアの幼鳥を主食にしていたのもまた事実である[4]。
近縁種
絶滅への経緯
生存説
著名な探検家であるチャールズ・ダグラスは、「1870年代にニュージーランドのランズボロー川渓谷において2羽の巨大な猛禽類と遭遇し、これらを撃って食べた」と自身の旅行記に記している[9]。これが事実であるならば、これらは本種の生き残り個体であった生存説の可能性もあるとされる。ただし、この頃には本種にその子孫を維持するだけの餌は存在していなかったと考えられている。またpouakaiは生きていた記録が見られない鳥であるというマオリ族の口伝もある。なお、翼長が3メートルまでは長くなかったとすると、その鳥はアイルズ・ハリアー(Eyles's harrier)であったという可能性はある。この鳥は最大のチュウヒ(小型の猛禽類)であり、一般には有史以前には絶滅したと思われている(ただし、このチュウヒは食性がハルパゴルニスワシの様に特殊化していないため、近年まで生存していた可能性はハルパゴルニスワシよりも高い)。また、現地マオリ族の口伝も「姿の見えない鳥」という内容があることから、直接ハーストイーグルと関連のある物ではないという考えもある。また、近代でも目撃報告のあったジャイアントモアと違いハーストイーグルの目撃報告や生存の痕跡は皆無である。