1932年9月22日[3]、ビービは発明家オーティス・バートンと共にバミューダ領ノンサッチ島の北方の沖にて潜水球を用いた潜水を行った[4]。この潜水はNBCによって大きく報道された他、BBC等海外機関からも注目された[3]。これはビービがバートンと共に1930年から続けていた潜水調査の一環として成し遂げられたものであった。
1949年撮影。左:オーティス・バートン。右:マウリス・ネルズ。
ノンサッチ島のバミューダでの位置。
当該潜水球は適切点検・準備を経た後13時15分頃に水面下に潜り[4]、14時37分をもって水深1000フィート(約305メートル)に到達し[5]、そして15時26分に技術的に可能であった最深高度の2200フィート(約671メートル)に着いた[6]。機内の揺れが酷くなり窓が曇るなか[6]、ビービはバートンと相談し、潜水の目的は既に達成したとし、上昇の命令を水上の仲間達に出した[7]。二人がバチスフェラと遭遇したのは数分後、機体が2100フィート(約640メートル)程まで引き上げられたときのことだった。
「数分後、2100フィートにて、私はこの度の潜水における最も興味深い体験をした。潜水球から6から8フィート程離れたところを、少なくとも体長6フィートはあろう二匹の魚がゆっくりと通り過ぎて行ったのだ。」
ウィリアム・ビービ, Half mile down, 1934, 172頁
ビービによると、その二匹の魚は6フィート(約183センチメートル)以上の長さで、短い顎を持ったバラクーダ(カマス)と似た容姿であったという[7]。更に、二つの光る発光体が先端にある「長い触手」[8]のようなものが体の両方から垂れ下がっており、それを細かく震わせながら泳いでいたことを確認している。
ビービの証言に基づくバチスフェラの再現図。
ビービとバートンはどちらもカメラを持ち合わせていなかった為、後にドイツ系アメリカ人画家エルス・ボステルマンに詳細を伝え、新聞紙や雑誌に載せる再現絵を描いてもらった[9]。命名に関しては、ビービは学名を「Bathysphaera intacta」とし、彼がバートンと共に乗った潜水球(Bathysphaera)と彼が遭遇した魚の謎(Intacta、ラテン語で「触れない」の意)をモチーフとしている。