バロキサビル
2018年に発売されたインフルエンザ治療薬
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バロキサビル マルボキシル(Baloxavir marboxil)は、A型・B型インフルエンザ治療薬。商品名は「ゾフルーザ」(XOFLUZA)。塩野義製薬が開発し、2018年2月23日に製造承認され、同年3月14日に販売が開始された[5][6]。可能な限り早期の服用が必要とされる[7]。
| 臨床データ | |
|---|---|
| 販売名 | ゾフルーザ, Xofluza |
| 別名 | BXM (S-033188), BXA (S-033447) |
| AHFS/ Drugs.com | monograph |
| MedlinePlus | a618062 |
| 医療品規制 | |
| 胎児危険度分類 | |
| 投与経路 | By mouth |
| ATCコード |
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| 法的地位 | |
| 法的地位 | |
| 識別子 | |
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| CAS登録番号 | |
| PubChem CID | |
| DrugBank | |
| ChemSpider | |
| UNII | |
| KEGG | |
| CompTox Dashboard (EPA) | |
| ECHA InfoCard | 100.314.975 |
| 化学的および物理的データ | |
| 化学式 | C27H23F2N3O7S |
| 分子量 | 571.55 g·mol−1 |
| 3D model (JSmol) | |
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タミフルなどの開発実績のあるロシュと開発提携を行っているシオノギが開発したインフルエンザ治療薬(エンドヌクレアーゼ阻害薬)であり[8]、1回の服用で済むのが特徴。2017年10月に承認申請がなされ、先駆け審査指定制度の対象として2018年2月23日に製造販売承認され、同年3月14日に発売された[9][6]。2020年11月27日、ゾフルーザ錠20mgおよび顆粒2%分包について「インフルエンザウイルス感染症予防」の効能・効果追加承認された[10]。2025年11月12日、「ゾフルーザ顆粒2%分包」が発売された[11]。
効能・効果
- ゾフルーザ 錠20mg・顆粒2%分包:A型またはB型インフルエンザ感染症の治療およびその予防
- ゾフルーザ 錠10mg:A型またはB型インフルエンザ感染症
| 効能・効果 | 錠10mg | 錠20mg・顆粒2%分包 |
|---|---|---|
| 治療 | ○ | ○ |
| 予防 | — | ○ |
〇:効能あり、 — :効能なし
作用機序
歴史
- 2017年
- 10月25日 - 塩野義製薬が、日本国内で開発中であったキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬S-033188について、「A型およびB型インフルエンザウイルス感染症」を適応とする製造販売承認申請[14]。
- 2018年
- 2019年
- 2020年
- 7月23日 - バロキサビル の家庭内接触者に対するインフルエンザ曝露後予防効果を検証したBLOCKSTONE試験の結果が『New England Journal of Medicine』に掲載され、家庭内でのインフルエンザ感染リスクを有意に低減することが示された[20][21]。
- 10月 -日本小児科学会の「2020/2021 シーズンのインフルエンザ治療指針 」では「12歳未満の小児に関する治験や臨床研究の結果が報告され、概ねノイラミニダーゼ阻害薬と同程度の効果や安全性が示された[22]。また、B型インフルエンザウイルスに対するバロキサビルの効果については、ノイラミニダーゼ阻害薬に比べて、有熱期間が比較的短いとの報告も散見される[22]。バロキサビルの使用経験と有効性は集積されつつあるが、他の薬剤に対して明確な優位性がないことや、薬剤耐性ウイルスの出現が認められることから、当委員会では12歳未満の小児に対するバロキサビルの積極的な投与を推奨しない[22]。ただし、ノイラミニダーゼ阻害薬耐性株が疑われる状況では、使用が考慮される」とした[22]。
- 11月27日 - ゾフルーザ錠20mgおよび顆粒2%分包について、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の予防」の効能・効果追加承認[10][23]。
- 2021年
- 10月28日 -日本小児科学会の「2021/2022 シーズンのインフルエンザ治療指針 」では、「小児および成人を対象とした26の試験(11897例)を検討としたシステマティックレビューおよびネットワークメタアナリシスによると、バロキサビルはインフルエンザ関連合併症(肺炎、気管支炎、中耳炎、その他)の発生率および有害事象(嘔気、嘔吐)の発生率が最も低かったことが示されている[24]。更に小児を含む339,007人の健康保険組合のデータベースを用いた検討では、同薬投与群はオセルタミビルやザナミビル投与群より入院の頻度が低いことが確認されている[24]。また、B型インフルエンザウイルスに対するバロキサビルの効果については、ノイラミニダーゼ阻害薬に比べて、有熱期間が比較的短いとの報告も散見される[24]。更に、予防投与は小児を含む家族内感染を減らす効果も示されている[24]。上記のデータは、バロキサビルについてはノイラミニダーゼ阻害薬と同等以上の臨床的有用性を示唆するものである[24]。バロキサビルの使用経験と有効性は集積され、一部他の薬剤に対する優位性を示唆するデータもある[24]。しかし、小児に特化した検討は少なく、薬剤耐性ウイルスの出現が認められる[24]。当委員会では今後の更なるデータの蓄積と検証が望ましいと考え、現時点では12歳未満の小児に対する同薬の積極的な投与を推奨しない」とした[24]。
- 2022年
- 2023年
- 11月19日 - 日本小児科学会の「2023/2024 シーズンのインフルエンザ治療指針 」では、「1歳未満は積極的に推奨しない、1歳~5歳は積極的に推奨しない、6歳~11歳は慎重に判断する、12歳以上は推奨」とした[26]。
- 2024年
- 10月27日 - 「2024/2025 シーズンのインフルエンザ治療指針 」では「1歳未満は推奨しない、1歳~5歳は積極的に推奨しない、6歳~11歳はB型には使用を考慮する、12歳以上は推奨、特にB型インフルエンザに対しては使用を考慮する」とした[27]。
- 2025年
- 4月25日 - 塩野義製薬は、「ゾフルーザの1回経口投与による家庭内でのインフルエンザウイルスの伝播抑制効果」を目的とした第3相臨床試験(治験)のCENTERSTONE試験で主要評価項目を達成し、『New England Journal of Medicine』に論文が掲載されたと発表した[28]。治療に使用される抗ウイルス薬が同居家族へのウイルスの伝播抑制を示した世界初の臨床試験結果なる[28]。主要評価項目は「インフルエンザ患者が被験薬を服用後、5日以内にインフルエンザ陽性と判定された同居家族または共同生活者の割合」について、ゾフルーザ群で9.5%、プラセボ群で13.4%であり、ゾフルーザ群はプラセボ群に対して、インフルエンザ陽性判定された同居家族または共同生活者の割合を統計学的に有意に32%減少させ、主要評価項目を達成した(p値=0.013)[28]。
- 8月8日 - 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会がゾフルーザ顆粒2%分包に関する体重10kg以上20kg未満および10kg未満の小児に対する用量追加の一部変更承認について承認を了承[29]。
- 9月1日 - 日本経済新聞が、2024年の国内インフルエンザ治療薬市場においてゾフルーザが販売額シェアで再び1位となったと報じ、家庭内接触者を対象とした曝露後予防試験などで周囲の感染リスクを低減するエビデンスが示されたことも再評価の背景にあると伝えた[30][20]。
- 9月19日 - 厚生労働省がゾフルーザ顆粒2%分包について、「体重10kg以上20kg未満」および「体重10kg未満」の用法・用量に関する一部変更承認[23]。
- 10月7日 - 日本小児科学会の「2025/2026 シーズンのインフルエンザ治療指針 」では「1歳未満は積極的に推奨しない、1歳~5歳は積極的に推奨しない、6歳~11歳はA 型には慎重に投与する。B型には使用することを提案する、12歳以上はA、Bともに推奨する」とした[31]。
- 11月12日 - 「ゾフルーザ顆粒2%分包」が薬価収載され、同日発売[11][32]。
- 2026年
耐性
小児への投与
バロキサビルは小児にも投与可能で、添付文書には10kg未満からの用法容量が記載されている。バロキサビル発売後、初めて記載が掲載された2019年の日本小児科学会のガイドラインでは、使用経験に関する報告が少ない事と薬剤耐性ウイルスの出現を認めたことを背景に12歳以下の小児への本剤の使用を「推奨しない」としたが[37]、その後、使用経験と有効性が蓄積されたことから、2023年のガイドラインでは「6歳~11歳は慎重に判断する」[26]、2024年では、「6歳~11歳はB型には使用を考慮する」[27]となり、2025年10月に公表された「2025/26 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」では、「1歳未満は積極的に推奨しない、1歳~5歳は積極的に推奨しない、6歳~11歳はA 型には慎重に投与する。B型には使用することを提案する、12歳以上はA、Bともに推奨する」とした[31]。
売上
2018年3月発売後の4月からの半年間で、国内医療機関への売り上げが抗インフル薬市場の65%とシェア1位となった[38]。同期間の国内売上高は4億6千万円で、複数回投与が必要なタミフルは、ジェネリック医薬品発売が始まったこともあり備蓄薬を除くと0億円、前年度売上首位の1回投与吸入薬イナビルは1億円だった[38]。薬価はゾフルーザが4,789円(20mg 2個)、タミフルが2,720円(75mg 2個を5日)、同ジェネリックが1,360円(同)、イナビルは2,139.9円(1キット)とゾフルーザは高額で、インフルエンザウイルスA/H3N2では治療中に約10%が耐性化する可能性が指摘されている[39]ことから、採用を見送る医療機関も出ている[40]。
重要な基本的注意
- 抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。
- 細菌感染症の場合には,抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
- 出血があらわれることがあるので、患者及びその家族に説明すること。血便、鼻出血、血尿等があらわれた場合には医師に連絡すること。 投与数日後にもあらわれることがあること。
3. は第5版(2019年3月)に追加されたもので[41]、国内副作用症例として出血関連症例が25例集積され、このうち13例は因果関係が否定できない症例で、3例の死亡例を含んでいたことを受けた改訂[42]。
相互作用
副作用
「重大な副作用」の項に「出血:血便、鼻出血、血尿等の出血があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。」を追記[43]。さらに2020年4月に「虚血性大腸炎」を追記[44]。