パウル・レナー
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生涯
経歴
パウル・レナーは、ベルリン、ミュンヘン(デプシッツ学校)、カールスルーエの各美術アカデミーで絵画を学んだ。1907年以降、ミュンヘンの出版者ゲオルク・ミュラーとの協働を通じて、タイポグラフィに初めて本格的に取り組んだ[1]。1911年にはエミール・プレトリウス(1883年 - 1973年)とともに、イラストレーションおよび出版・印刷技術のための学校「ミュンヘン書籍工芸学校」(Münchner Buchgewerbeschule) を創設した。同校は1914年にデプシッツ学校と統合され、「ミュンヘン教育工房」(Münchner Lehrwerkstätten) となった。レナーはマリア・グンドルムを教師として同校に招き、彼女がミュンヘンで生活基盤を築くことを支援した[2]。
1910年、ドイツ工作連盟の会員に選出された。1925年から1926年にかけてはフランクフルト美術学校で商業美術とタイポグラフィを教え、そこから「新フランクフルト」(Neues Frankfurt) 運動に携わった。1927年、ミュンヘンの「ドイツ印刷技術者マイスター学校」(Meisterschule für Deutschlands Buchdrucker) の運営責任者の地位を提示され、引き抜かれる形でフランクフルトを去った[3]。
この教育機関は、1956年以降「グラフィック産業アカデミー」(Akademie für das Graphische Gewerbe) と称され、1971年設立のミュンヘン応用科学大学の前身機関の一つに数えられている。ミュンヘンへ移った後も、レナーは講演や催しのためにたびたびフランクフルトを訪れた。フランクフルトおよびミュンヘンにおける彼の教育者としての活動は高く評価されている。バイエルン州立図書館に収蔵されているレナーの遺文書群には、多数の元教え子からの書簡が含まれており、そのことを裏付けている[4]。
タイポグラフィ作品


1920年代、タイポグラフィの分野は新たな潮流を迎え、いくつかの幾何学的な書体が誕生した。中でも最も著名なものの一つが、セリフを持たないサンセリフ書体「Futura」(ラテン語で「未来のもの」の意)である。同書体はその後数十年にわたり、多くの活字製作者によってさまざまなバリエーションが作られ、その種類は細字から極太字まで多岐にわたる。レナーは長年の準備期間を経て、1928年にFuturaを発表した。この書体は古代ローマ碑文の字形を参照しつつ、バウハウスの影響下で形成されたニュー・タイポグラフィの理念にも合致していた[4]。
- Futura(1928年)
- Plak(1928年)
- Futura fett(1929年)
- Futura mager(1932年)
- Ballade(1938年)
- Renner Antiqua(1939年)
- Futura steil(1953年 - 1954年)
パウル・レナーはこの新書体の開発と導入にあたり、フランクフルトのバウアー活字鋳造所から支援を受けた。同鋳造所では、ゲオルク・ハルトマンおよびハインリヒ・ヨストの下で、これらの書体の製造と販売が行われた[1]。またレナーは、製本業者ヒューベル・ウント・デンクのためにも仕事を行った。
著作と遺資料
レナーは1922年に、芸術としてのタイポグラフィに関する最初の本格的な理論書を発表した。続いて1930年に論考『Mechanisierte Grafik』(機械化されたグラフィック)を発表し、1939年には書体「Renner Antiqua」および主著『Die Kunst der Typographie』(タイポグラフィの芸術)を刊行した。同年には『Ordnung und Harmonie der Farben: eine Farbenlehre für Künstler und Handwerker』(色彩の秩序と調和:芸術家と職人のための色彩論)も出版している。最後の専門的著作は『Vom Geheimnis der Darstellung』(表現の秘密について)であり、1947年には『Das moderne Buch』(現代の書物)を著した。1952年には、彼が手がけた最後の書体となる「Futura steil」を発表した[5]。レナーの著作は現在でも新版が刊行され続けており、教育や研究の現場で活用されている[6]。なお、1937年には彼の絵画展も開催されている。
レナーの遺資料は、2017年よりバイエルン州立図書館に所蔵されている。その中には、大規模な書簡群、多数の署名入り書籍、絵画、素描、演説原稿、理論的著作の準備草稿などが含まれている。
ナチズムへの抵抗
1926年11月30日、ミュンヘンのトーンハレにおいて、レナーはトーマス・マンおよびハインリヒ・マン兄弟に続き、「文化首都ミュンヘンを巡る闘争」について演説を行った。この集会では、作家レオ・ヴァイスマンテルやヴァルター・クールヴォアジェ、画家ヴィリー・ガイガーらがナチスの文化政策に反対の立場を表明した。1932年末には、チューリッヒのオイゲン・レンチュ出版社から反ナチスの論争書『Kulturbolschewismus?』(文化ボルシェヴィズム?)を刊行した。この著作はドイツ国内ではすでに出版を引き受ける出版社が見つからず、さらにナチ党機関紙『フェルキッシャー・ベオバハター』から激しい攻撃を受けていた。1933年4月、レナーはナチスに逮捕され、その職を解任された。その後スイスへ移住し、ヘーディンゲンで画家として隠遁生活を送った。
顕彰
2011年3月24日、ヴェルニゲローデ市議会は、現在は商業・工業地区である「スマトフェルデ」(Smatvelde) の通りをパウル・レナーにちなんで命名することを決定した[7]。
2018年9月20日には、ミュンヘン市議会がシュヴァービング=フライマン区の小道をパウル・レナーにちなんで命名することを決定している。ノイフライマン地区の多くの街路は、1920年代の建築家やグラフィックデザイナー、芸術家の名を冠している。
著書
- Typographie als Kunst. München 1922.
- Revolution der Buchschrift. In: Aloys Ruppel (Hrsg.): Gutenberg Festschrift zur Feier des 25jährigen Bestehens des Gutenbergmuseums in Mainz. Gutenberggesellschaft, Mainz 1925, S. 279–282.
- Mechanisierte Grafik. Schrift, Typo, Foto, Film, Farbe. Berlin 1930.
- Kulturbolschewismus? Zürich 1932. (als Nachdruck: Stroemfeld-Verlag 2003, ISBN 3-87877-829-5)
- Die Kunst der Typographie. Berlin 1939. (als Nachdruck: Augsburg 2003, ISBN 3-87512-414-6)
- Das moderne Buch. Lindau 1946.
- Ordnung und Harmonie der Farben. Eine Farbenlehre für Künstler und Handwerker. Ravensburg 1947.
- Vom Hand- und Verleger-Einband. Lindau 1948
- Vom Geheimnis der Darstellung. Frankfurt 1955.
- Der Künstler in der mechanisierten Welt. München 1977
参考文献
- R.P.: Die Kunst der Typographie von Paul Renner In: Architektur und Kunst Bd. 27, Heft 7, 1940, S. 24.
- Philipp Luidl (Hrsg.): Paul Renner: eine Jahresgabe der Typographischen Gesellschaft München. München 1978.
- Christopher Burke: Paul Renner: the art of typography. Hyphen Press, London 1998.
- Paul Renner 9. August 1878 – 25. April 1956: dem Schöpfer der Futura zum 125. Geburtstag. Wernigerode 2003.
- Eva Chrambach: Renner, Paul Friedrich August. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 21, Duncker & Humblot, Berlin 2003, ISBN 3-428-11202-4, S. 434–436 (電子テキスト版).
- Waldemar Fromm / Laura Mokrohs (Hrsg.): Der Schöpfer der Futura. Der Buchgestalter, Typograf und Maler Paul Renner, München: Volk 2019, ISBN 978-3-86222-310-7.