パスカルの法則

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パスカルの法則(パスカルのほうそく、: Pascal's rule)は二項係数に関する恒等式の一つ。その名前は17世紀のフランスの学者パスカルに由来し、パスカルの式(パスカルのしき、: Pascal's formula)、パスカルの恒等式(パスカルのこうとうしき、: Pascal's identity)などとも呼ばれる。具体的には、自然数 に対する次の式のことである:

ここで、は二項係数であり、展開した際の の係数のことである。この二項係数の定義のもとでは、 の場合についても上の式は成立するため、 は0以上の整数である限り成立する[1]

の場合の二項係数の境界条件 と組合せることで、パスカルの法則は

なる表示を のもとで導く。この意味では、パスカルの法則は二項係数を定める漸化式とみなすこともできる。

また、この法則を多項係数に拡張することも可能である。

の図式的な証明。

パスカルの法則は直感的な組合せ論的意味を持ち、それは数え上げによる証明において明確に示される[2](p44)

(証明)

二項係数は、組合せ論においては 個の要素からなる集合から 個の要素だけからなる部分集合の個数に一致するのであった。今、集合からある要素を取り出し、それに というラベルをつけるとする。今、 個の元からなる部分集合を構築する際に、 のラベルがある要素が含まれているか否かで場合分けをする。


まず、含むような部分集合は、 要素 と、それ以外の の要素の中から 個の要素を選択することによって構成される必要がある。よって、 を含むような部分集合は だけ存在する。

一方、含まないような部分集合は、 以外の の要素からのみで 個の要素を選ぶことによって構成される。よって、そのような部分集合は だけ存在する。

任意の部分集合は を含むか含んでいないかのどちらかであるので、 個の要素の部分集合であって、 個の要素からなるものの個数は、 個の要素の中に を含むものの個数と、含まないものの個数の和として表現される。

以上より、示すべき式が得られる。 (証明終)

代数学による証明

二項係数が階乗表示により定義される場合、パスカルの法則を以下のようにして証明できる:

さらに、二項係数がによって定義されている場合であっても、同様の証明が可能である:

という定義は を複素数とする場合の拡張で利用される。したがって、この証明法はパスカルの法則が を一般の任意の複素数へと読みかえても成立することを示している。

一般化

パスカルの法則を、多項係数に対して拡張することができる[2](p144) なる整数 と、に対して、

が成立する。ただし、多項係数 は、を展開した際の 項の係数として定義されるものとする。

この一般化されたパスカルの法則も、代数的に示すことができる[2](p144):

関連項目

脚注

参考文献

外部リンク

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