パット・ゲルシンガー
アメリカ合衆国の実業家 (1962-)
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パット・ゲルシンガー(Patrick Paul Gelsinger、1961年3月5日 - )[1]はアメリカの実業家兼エンジニア。2021年2月から2024年12月まで、インテルの最高経営責任者(CEO)を務めた。
1970年代後半から主にシリコンバレーを拠点に活動。1985年にスタンフォード大学で工学の修士号を取得し、1980年代にはインテルのマイクロプロセッサ「i486」のチーフアーキテクトを務めた。2001年から2009年までは同社のCTO(最高技術責任者)を務め、その後インテルを離れてVMwareのCEOやEMCの社長兼COO(最高執行責任者)を歴任した後、2021年2月にCEOとしてインテルに復帰した[2][3][4][5] 。
2024年にCEOおよび取締役を退任した[6]。
キャリア

インテル入社
ゲルシンガーは1979年、リンカーン・テック(Lincoln Tech)で準学士号を取得した直後、18歳でインテルに入社した。キャリアの大半をオレゴン州で過ごし、現在も同州に自宅を構えている。
彼はIntel 80386マイクロプロセッサの設計チームの一員として、同プロセッサへのUNIX移植プロジェクトを主導した。1987年には、80386のプログラミングに関する初の著書を共著で出版している。
その後インテル創業者の一人であるアンドルー・グローヴに見出され[7]、第4世代プロセッサ「Intel486」ではリード・アーキテクトを務めた後、32歳という若さでインテル史上最年少の副社長に任命された。2001年に同社のCTO(最高技術責任者)に就任し、Wi-Fi、USB、Intel CoreおよびIntel Xeonプロセッサ、さらには14ものチップ開発プロジェクトなど、主要な技術開発を主導した。また、マイクロソフトのWinHECに対抗する形で、開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)」を立ち上げた。
EMC、VMWare
2009年9月にインテルを退社し、EMC(現在のDell EMC)に社長兼最高執行責任者として入社[8]。2012年にはVMwareのCEOに就任した。VMware在任中、売上高は約46億ドルから130億ドルを超えるまでの成長を進め、企業向け仮想化プラットフォームで業界をリードした[9]。また、AWSとの提携を行うなどクラウドへの展開にも注力した[10]。
インテル復帰~退任
2021年2月15日にインテルのCEOとして12年ぶりに復帰したことが大々的に報じられた[11][12]。この背景にはインテルの株価低迷を問題視したアクティビスト投資家であるサード・ポイント・マネジメントからの経営改革圧力があったためである。それを受け、彼はアリゾナ州に200億ドルを投じて2つの製造工場(ファブ)を建設するなど、インテルの経営改革を主導した。メディアはゲルシンガーのCEO就任に対する好意的な反応を報じ、この決定によってインテルの株価を8%近く押し上げたと評価した[13]。さらに2021年3月23日には、ゲルシンガーによる経営戦略に関する発言によって、インテルの株価は6%以上上昇した[14]。さらに、ニューメキシコにあるインテルの工場に35億ドルを投じた拡大策を発表する等、当時低迷していたインテルの再建を主導した[15]。
2024年12月1日、ゲルシンガーはインテルのCEOおよび取締役会から退任した。CFOのデビッド・ジンスナーと役員のミシェル・ジョンストン・ホルタウスが暫定共同CEOに任命され、取締役のフランク・イヤリーが暫定執行会長に就任した[16]。実質的には解任と見られており、背景としては2024年7 - 9月期にインテルが巨額の赤字に転落したことや、再建計画を巡りゲルシンガーと取締役会が対立していたことなどがあると報じられている[17]。
現在
2025年3月24日、ゲルシンガーは取締役および投資家として関わってきた[18]、宗教団体に特化したメッセージングプラットフォームであるGlooの執行会長兼技術責任者に就任した[19](長きに渡って彼は熱心なキリスト教信者であり、宗教に関する著書も出版している[20])。また、ベンチャーキャピタル企業のPlayground Globalのゼネラルパートナーに就任したことも発表した[21]。
受賞、栄誉、活動
ゲルシンガーは2008年に電気電子学会のフェローに任命され、半導体産業協会(SIA)の理事を務めている。また国家安全保障通信諮問委員会(NSTAC)のメンバーでもある。
2021年、ゲルシンガーはバイデン大統領 の科学技術諮問委員会に任命された。この役職で、彼は半導体チップ不足についてバイデンに助言し、 CHIPS科学法案の可決を提唱した。ゲルシンガーは2022年3月のバイデンの一般教書演説に招待された。バイデンはインテルの米国における製造工場への投資を支持し、ゲルシンガーと共にオハイオ州に計画されている200億ドルの施設を視察した[22]。
2021年10月、ゲルシンガーはウェズリアン大学で講演し、名誉理学博士号を授与されるとともに、彼のブロンズ像が大学の図書館の円形広間に設置された。また2022年には、オハイオ州立大学から名誉工学博士号を授与された[23]。2023年にはカーネギーメロン大学から名誉科学技術博士号を授与された[24]。
私生活
ゲルシンガーには4人の子供がいる。夫妻で災害救援医療チームのスポンサーシップなどを務めるなど、慈善活動を行っている。またキリスト教徒である夫妻はは2013年、ビジネスリーダー、ベンチャーキャピタリスト、非営利団体のリーダー、牧師らによって構成されたTransforming the Bay with Christ(TBC)を共同設立し、10年間で100万人を改宗させることを目標とするとした[25]。