1921年ごろ、メイエルホリドは劇場付属の演劇学校の開設を計画していた。物理学や力学、音楽や建築にもっとも明確に表れている技術の一般的な物理法則に基づいた動きとことばを、組織的・実際的に役者に教え込もうとするものとしてビオメハニカを構想していった。
基本概念としては、感情を外在化することがある。役者の芸術とは自己の素材を組織する事、つまり自己の肉体という表現手段を正しく使いこなす能力であり、外部(役者や演出家)から与えられる課題を即座にこなせるよう訓練するというものである。精神状態は一定の生理的プロセスによって規定される。肉体を正しく処理すればこれに感情が彩りを添える、とする。メイエルホリドは
「よく知られているように、かの有名なコクランは役づくりに当たって、外から入っていった。このことは果たして、彼が役を生きていなかったということになるだろうか。それはたんに方法の違いにすぎない。役を深めるその方法がちがうだけだ。要するに、天才は役を深く生きるが、凡人はそれを演じるにすぎないということなのだ。」 — フセヴォロド・メイエルホリド、エドワード・ブローン『メイエルホリド 演劇の革命』水声社、2008年
と述べている。
メイエルホリドが考えていたのは、演劇を創り上げる上での諸作業を生産労働としてとらえそれを社会主義国家建設(革命)の一助とすべきであるというものであった。そしてそれは1918年にレーニンが導入を指示したテイラー主義(技術者フレデリック・テイラーが提唱)を理論展開した、テイラー主義者であるガースチェフのものを演劇にも導入しようというものであった。