ピライラ

From Wikipedia, the free encyclopedia

ピライラ
分類(目以上はHibbett et al. 2007)
: 菌界 Fungi
: incertae sedis
亜門 : ケカビ亜門 Mucoromycotina
: ケカビ目 Mucorales
: ケカビ科 Mucoraceae
: ピライラ属 Pilaira
学名
Pilaira Tieghem (1875)

本文参照

ピライラ Pilairaケカビ目菌類の1つ。ミズタマカビに似ていて動物のに生育し、丈夫な胞子嚢壁が胞子嚢胞子を含んだまま基部から外れ、長く伸びる胞子嚢柄によってそれを他物に付着させる。数種があると思われる。

栄養体

もっともよく知られている種である P. anomala に基づいて記す[1]

菌糸はよく発達し、成長も早く、PDA[2]、18℃での培養では6-7日でシャーレが一杯になる。菌糸体は当初は灰白色で、後に灰黄色に変わる。寒天中によく伸び、気中にも多少出て高さ15mmに達する。匂いはない。菌糸は寒天中のものは径9-23㎛、気中のものはやや細く、当初は隔壁がないが、後に出来る。匍匐菌糸や仮根は作らない。

無性生殖

無性生殖は胞子嚢胞子による。胞子嚢柄は寒天培地中の菌糸から出て分枝などせずに単純な形で伸び、径23.5-47㎛ながら高さは10-60mmにまで達する。その太さは全体を通じてほとんど変わらず基部や先端の膨らみもない。当初は真っ直ぐかほぼ真っ直ぐに立っているが、程なくしわが寄って崩れ落ちる。隔壁はなく、色は半透明から汚白色、時に僅かに褐色がかる。その先端には単一の胞子嚢が乗る。

胞子嚢は半球形で径82-175㎛、時には200㎛を僅かに越え、高さは45-90㎛ほど。その上半部は暗色でその壁は厚くてクチクラ化している。下半部は透明でゼラチン質となっており、成熟時には膨らんで姿を消してしまう。また成熟しても吹き飛ばされるようなことはない。柱軸は大抵扁平になっており、44-95×70-140㎛、稀に円錐形で高さ120㎛に達する例がある。淡い、あるいは明るい黄色で襟[3]はないか、時に僅かだけ見られる。アポフィイシス[4]は明確に見られ、黄色から褐色がかっている。胞子嚢胞子は卵形で7-12.5×5.5-8㎛、半透明から黄色がかって見える。

有性生殖

有性生殖は接合胞子嚢の形成による。自家不和合性で適当な株の組み合わせでのみ接合胞子を形成する。接合胞子嚢は球形で径85-150㎛程度、あるいは卵形で108-130×85-120㎛程度、透明で内部に大きな油滴を含む。接合子嚢は釘抜き型で径14-37㎛、接合子囊の基部は互いに緊密に絡まり合っている。接合胞子嚢は発芽すると出て来た発芽管が伸びた先に胞子嚢胞子を形成する[5]

なお、現時点では接合胞子嚢の形成が観察されているのは本属ではこの種のみである。

胞子の散布について

胞子嚢は屈光性が強く、また成長はとても早い[6]。胞子嚢は下部の透明部で溶け、上の胞子嚢とその中の胞子嚢胞子はまとめて柱軸から離れ、粘液層の上に浮かんだ状態になる。この粘液層は湿った空気の中では水分を吸収して大きく膨らみ、胞子を懸濁させた大きな水滴となる。この粘液部は周囲にある草などに触れるとしっかりと粘着し、胞子嚢全体が柱軸から離れてそこにくっつくことになる。このとき、基物に付着する仕組みについてはミズタマカビと同じである[7]

分布と生育環境

数種が記載されているが、その中で上記の P. anomala が最も広く見られ、アメリカヨーロッパ各国から報告されてきており、様々な草食動物の糞から発見されてきた[8]。他にインドからも報告があり、そこではネズミやウシの他にクジャクの糞からも見つかっている[9]。中国でもネズミの糞から発見されているが、中国ではこの種はむしろ少数派であるという[10]

それ以外の種はいずれも稀なもので、Grove は1934年にこの類のモノグラフを書いて、そこで本属に5種を認めた[11]が、2009年までに追加されたのは1種だけであった。またそれらはいずれも原記載以降には一切発見されていない[12]。Zheng & Liu(2009)は中国のものを中心にこの属を研究し、2新種を加え、本属の種を7種、および2変種を認めた。さらにその後、オーストラリアから新種が1つ記載されている[13]。日本からは報告がなく[14]、ただし北海道では出現するという話が噂として出回っているとかいないとか。

P. anomalaウサギなど、様々な草食動物の糞上で見出されている[15]。 Zheng & Liu(2009)はクチグロナキウサギ Ochotona curzoniae の糞から2種の新種を発見している。この研究では動物の糞以外に、1例だが牛糞の下の土壌から分離した例がある。もっとも新しいオーストラリアの種はエミュー Dromaius novaehollndiae の糞から発見された[13]

分類と系統

出典

参考文献

Related Articles

Wikiwand AI