フィボナッチヒープは1984年に Michael L. Fredman とロバート・タージャンの二人によって開発され、1987年に科学雑誌に最初に掲載された。フィボナッチヒープを導入することで、ダイクストラ法やプリム法を含めたいくつかのグラフアルゴリズムの実行時間を改善したことで最もよく知られている。
フィボナッチヒープはminimum-heap propertyを満足する木の集まりである。つまり、ある子のキーは常に親のキーよりも等しいか大きい。つまり最小のキーは常に何れかの木のルートにある。二項ヒープと比較してフィボナッチヒープの構造はより柔軟である。木は規定された形を特に持っておらず、極端な場合はヒープ中の n 個の要素が全て別々の(n 個の)木に属しているかもしれないし、深さ n の一つの木に属しているかもしれない。この柔軟さによって、ある種の操作を後回しにするなど「怠惰な」処理方法が許される。例えば、二つのヒープを結合するには単に二つのヒープの木のリストを連結するだけで良いし、「キーの減算」操作の過程ではあるノードが親から切り離されて新しい木を作る場合がある。
しかしながら、処理時間を抑えるためには、何らかの時点でヒープにある種の秩序を導入しなければならない。特に、ノードの次数(=ノードが直接持つ子の数)はかなり小さく抑えられる:個々のノードの次数はたかだか O(log n) であり、かつ、次数 k のノードが持つサブツリーの大きさは少なくとも Fk + 2 である(ここで Fk は k 番目のフィボナッチ数)。これを守るために、ルートでないノードからはたかだか一つの子しか切り取れないという規約を作る。二つ目の子を切り取る場合は、そのノード自身も親から切り取って新しい木のルートにする。木全体の数は「最小値の削除」操作によって木同士を繋ぐことで減少する。
↑ Driscoll,James R.;Gabow,Harold N.;Shrairman,Ruth;Tarjan,Robert E.(November 1988).“Relaxed heaps: an alternative to Fibonacci heaps with applications to parallel computation”.Communications of the ACM.doi:10.1145/50087.50096.