振幅 A 、角周波数 ω、位相 θ である時間関数の複素数 A exp(j(ωt + θ)) を考えるとオイラーの公式より、

である。ここで s(t) = A sin(ωt + θ), S = A exp(jθ) とおくと、

である。ここで時間 t によらない S = A exp(jθ) を s(t) のフェーザ(phase vector、phasor、位相ベクトル)といい、そのフェーザが 時間 t の関数 exp(jωt) で回転されるものと考える。さらに 複素数 * の虚数部を
で表すと、
![{\displaystyle s(t)=\Im [Se^{\mathrm {j} \omega t}]\qquad (1)}](//wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/430393aea0e329a33cfddb3b05610da8cff6cb7a)
となり式(1)を得る。一方、s(t) を微分、あるいは不定積分(交流解析のため積分定数は考慮しない)すると、
![{\displaystyle {\begin{aligned}&{\frac {\mathrm {d} s(t)}{\mathrm {d} t}}=\Im [\mathrm {j} \omega Se^{\mathrm {j} \omega t}]\\&\int s(t)\mathrm {d} t=\Im \left[{\frac {1}{\mathrm {j} \omega }}Se^{\mathrm {j} \omega t}\right]\end{aligned}}}](//wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/97360ee408f7e83c2b1d0422c0273c2a524e0bb7)
となり、時間関数表現とフェーザ表現を対応させると形式的に

という一対一関係が成り立つ。つまり、通常の時間関数表現の微分方程式・積分方程式は、フェーザ表示では代数方程式に対応する。これが、フェーザ表示によれば微分方程式による電気回路の定常解解析が代数方程式に帰着できる理由である。
本項では虚数部
を用いたので sin が基準となったが、実数部
を用いると cos が基準となる。
本項では A を振幅とし、フェーザの絶対値を 振幅 に対応させた。しかし、A を実効値とし、フェーザの絶対値を 実効値 に対応させる流儀もある。この場合、フェーザと瞬時値の対応は
![{\displaystyle s(t)=\Im \left[{\sqrt {2}}S\exp(\mathrm {j} \omega t)\right]\qquad (1')}](//wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/0df819c97b1151a2821f4614a5a855820651ec47)
となる。複素電力を求めるときはこの方が便利である。基準を明確にすれば以降の議論は等価である。