フォルマント
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概要
声は準定常的であり、これを一定区間で区切り周波数領域へ変換する(=時間周波数解析する)と周波数帯ごとに強弱がみられる。すなわちスペクトル包絡が山谷をもっており、この山に当たる周波数帯をフォルマントという(⇒ #定義)。これらは周波数スペクトルの可視化や包絡の数値化によって計測でき(⇒ #計測)、音によっては複数のフォルマントが観察される(⇒ #分類)。
ヒトの声のフォルマントは主に発音過程で生まれ、ピーク周波数や強度は調音や声道形状によって異なる(⇒ #発音との関係)。ヒトはフォルマントの違いを言語音識別に利用しており(⇒ #言語音識別との関係)、フォルマントを再現した音を作れば(原理上は)言語音が人工的に生成できる。フォルマントを模倣するフィルタを用いた音声合成はフォルマント音声合成と呼ばれる[2]。
定義
計測

以下のいずれかの方法によって計測・観察される。
定量化
フォルマントを定量的に記述するパラメータが様々提案されている。一例として以下が挙げられる[3]:
- ピーク周波数
- ピーク強度
- バンド幅
分類
フォルマントは複数個存在する場合もあり、周波数の低い順に第一フォルマント、第二フォルマント、第三... と呼ばれる。
発音との関係
ヒトの声のフォルマントは発音過程における調音で主に付与される。すなわち比較的平坦な周波数スペクトルをもつ声帯音源が、口腔や鼻腔等の声道における共鳴により特定周波数の強調を受けてフォルマントをもつ。
声道の形状はフォルマント周波数 と密接に関係しており[5]、声道の個体差や性差がフォルマントの違いを生む。
親子や兄弟で声が似ているのは、骨格などの形態が近いことも理由の一と言われるが、骨格と大きく相関するフォルマントの高低は音声の個性にはあまり影響しない。音色に影響するのはむしろ声帯の微妙な鳴らし方の違い(声種)で、これは習慣的なものである[要出典]。似た声になるのは、聴き慣れた家族の声を無意識にまねることのほかに、使う発声が親から遺伝していることも理由である(使う発声とはあくまで「発声練習などを何もしていない状態」でのものであり、練習次第で遺伝した発声を変えていくこともできる)[要出典]。
なお、気流を阻害して音を出すタイプの調声(=阻害音)では明確なフォルマントが観察されない。
口の開き
第一フォルマントのピーク周波数 は口の開きの大きさ(≒ 舌の高さ)に比例する[6][7]。母音、子音両方に言えることであるが、狭めは を低くする効果がある。
日本語発音において、狭母音である /i/ と /u/ が近い値の低い を持ち、中央母音である /e/ と /o/ がおおよそ同じ中位の を持ち、広母音である /a/ が高い をもつ事実はこの特性と合致している。
舌の前後
第二フォルマントのピーク周波数 は舌の前後に影響される[8]。前母音のほうが後母音よりもF2が高い。これは、F2が舌の前の空間で共鳴を起こすためである。また後母音は、唇の丸めが加わることが多く、これによって共鳴空間がさらに長くなり、F2は下がる。
日本語発音において、前舌母音である /i/ と /e/ が近い値の高い を持ち、中舌母音・後舌母音である /a/, /u/, /o/ がそれより低い をもつ事実はこの特性と合致している。
声道長
声道長とフォルマント周波数には逆相関がある(=長いほど低く、短いほど高い)と考えられている[9][10][11]。
声道の一様音響管モデルは声道長とフォルマント周波数の逆相関を予想する[9]。また声道長が「子供 < 女性 < 男性」である一方でフォルマント周波数は「男性 < 女性 < 子供」の傾向を持つことが実験的に確認されている[9]。
一方で反証も存在する。成人男性12名の母音発音時における声道長とフォルマント周波数の関係を調べた研究では、相関は一般に認められなかった[12][13]。これは母音の声道断面積関数を声道長で正規化してもフォルマント周波数に大きな個人差があることと符合する[14]。
