ブリリアント・ジャーク

優秀で仕事はできるが協調性の無い人材を指す造語 From Wikipedia, the free encyclopedia

ブリリアント・ジャーク:brilliant jerk[1],brilliant jerks[2])とは、「優秀で仕事はできるが、言動にトゲがあり、周囲に悪影響を与える、協調性の無い人材」を指す造語である。「優秀(=Brilliant)」と「嫌なヤツ(=Jerk)」を組み合わせた言葉とされる[1]

概要

2025年6月の第一生命経済研究所のレポートによれば、IT分野では「優秀な人材は普通の人材よりも1,000倍価値がある」とも言われており、学術研究においても高いパフォーマンスを発揮する人材が同僚より何倍も高い生産性を示すことが指摘されている[1]

同レポートは、米国の動画配信企業が採用サイト上で「ブリリアント・ジャークは受け入れない」と記載したことがこの言葉が有名になった契機であるとしている。 同米国企業は、協調性のないブリリアント・ジャークについて「容認する会社はあるが、効果的なチームワークを維持するためのコストが高すぎる」と述べ、求める人材として「優秀な人材でかつチームプレーヤー」を挙げているという[1]。米国の月刊ビジネス誌Inc.によると、上記の発言を述べたのはNetflixの共同創設者であるリード・ヘイスティングス英語版であるとされている[2]

2016年2月、Inc.は、ブリリアント・ジャークが組織の価値観を受け入れず協働を重視しない場合、賢さや生産性にかかわらず組織を内側から引き裂き得るとしており、これを「文化的テロリスト(cultural terrorists)」と表現した[2]

チームワークの重要性

第一生命経済研究所のレポートによれば、日本でも多くの企業が「最も重要と考える能力・スキル」として「チームワーク」「協調性」「周囲との協働力」などを挙げているという[1]

同レポートは一方で、優秀な人材が揃っていれば、必ずしもチームワークがなくとも高い成果を上げられるのではないかという見方も紹介している。これに関連して、ウォール街の投資銀行に所属するアナリストを対象に、転職前後の業績を追跡した研究が紹介されている。当該研究では、機関投資家の評価に基づくランキング上位者(いわゆる「スターパフォーマー」)を対象に、9年間にわたり離職率と転職後のパフォーマンスを調査した結果、転職後の業績は元の職場より低下する傾向があり、その影響は最低5年間継続したという。一方、転職後も業績が低下しない例も存在し、その要因を分析したところ、個人単位ではなく「チーム全体」で転職した場合に該当することが多かったとしている。同レポートは、この研究を踏まえ、個人の能力が重視されやすい職務であっても、業績には同僚やチームによる協力が関与している可能性があると述べている[1]

ブリリアント・ジャークへの対処

第一生命経済研究所のレポートは、米国の当該動画配信企業がブリリアント・ジャークについて「そもそも社内に所属させない」という方針を示していることを紹介している。一方で、日本企業では解雇規制が厳しいことなどから、同様の対応が困難である場合があるとしている[1]

また同レポートは、チームに悪影響を与える人物が存在する場合の影響を調査した研究として、いわゆる「腐ったリンゴの実験」を紹介している。この実験では、チームに悪影響を与える典型的な複数のタイプを想定し、特定の人物にその役割を演じさせたうえで、生産性への影響を検証した結果、タイプに関わらず生産性が30〜40%低下したことが示されたという。ブリリアント・ジャークはこのような「性格が悪い人」に該当し得る存在であり、組織の生産性を大きく低下させる可能性があると述べている。 一方で同レポートは、悪影響を与える人物が存在しても、それを中和する人物を参加させることで、組織のパフォーマンスを維持できる可能性があることも示されたとしている。このような人物は「美味しいリンゴ」と呼ばれ、リーダーではなく一般メンバーである場合も多いという。「美味しいリンゴ」は暴言などに対して直接対抗するのではなく、笑顔で場を和ませたり、他のメンバーに質問して傾聴するなどの行動を通じて、集団内の緊張を緩和するとされる。 組織内に「美味しいリンゴ」に該当する人物を増やすことが、ブリリアント・ジャークの悪影響を抑制し、生産性の維持につながる可能性があると述べている。また、海外では社内文化への適合度(カルチャーフィットドイツ語版)を評価し、傾聴や共感的態度などコミュニケーションの質を評価基準に盛り込む企業事例もあるとして、日本企業でも評価制度の見直しが求められる可能性があるとしている[1]

Forbesが運営する専門家コミュニティのForbes Coaches Councilのメンバーは、ブリリアント・ジャークへの具体的な対応策として、当該人物の言動が組織に与える影響を、従業員エンゲージメント指標英語版離職率、人事部への苦情件数などの定量的データで示し、改善を促す方法を挙げている。また、360度評価英語版などのフィードバック制度を活用し、同僚からの評価を根拠として行動改善目標を設定することも提案している。さらに、行動上の期待値を明確に定め、継続的なフィードバックと定期的な面談を行い、改善が見られない場合には処遇上の不利益を含む結果を伴わせるべきだとしている。加えて、当該人物がチーム運営上の「単一障害点」となっている場合には、知識共有を促して当該人物への依存状態を解消し、必要に応じて職場から排除できる体制を整えることが重要であるとしている。その一方で、心の知能指数自己認識の欠如が問題の背景にある場合があるとして、コーチングや研修を通じてコミュニケーション能力や協働スキルを向上させる支援も提案している。ただし、改善が見込めない場合には、組織文化を維持する観点から解雇を含む対応が必要になる可能性があるとしている[3]

脚注

関連書籍

関連項目

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