ブルシット・ジョブ

2018年のデヴィッド・グレーバーによる著書 From Wikipedia, the free encyclopedia

『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論: Bullshit Jobs:A Theory)』は、2018年に出版されたアメリカの人類学デヴィッド・グレーバーによる著書。または、そこで示された「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態」を指す言葉。グレーバーは、社会的仕事の半分以上は無意味であり、仕事を自尊心と関連付ける労働倫理と一体となったときに心理的に破壊的になると主張している。グレーバーは、5種類の無意味な仕事について説明し、そこでは、労働者は自分の役割が自分の知っているほど無意味でも有害でもないふりをしているとする。労働と高潔な苦しみとの関連は人類の歴史の中で最近のものであると述べ、潜在的な解決策としてベーシックインカムを提案している。

著者 デヴィッド・グレーバー
訳者 酒井隆史
芳賀達彦
森田和樹
発行日 アメリカ合衆国の旗 2018年5月15日
日本の旗 2020年7月29日
発行元 アメリカ合衆国の旗 Simon & Schuster
日本の旗 岩波書店
概要 ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 Bullshit Jobs: A Theory, 著者 ...
ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論
Bullshit Jobs: A Theory
著者 デヴィッド・グレーバー
訳者 酒井隆史
芳賀達彦
森田和樹
発行日 アメリカ合衆国の旗 2018年5月15日
日本の旗 2020年7月29日
発行元 アメリカ合衆国の旗 Simon & Schuster
日本の旗 岩波書店
ジャンル 文化人類学
アメリカ合衆国
言語 英語
コード ISBN 978-1-5011-4331-1
ISBN 978-4-0006-1413-9(岩波書店)
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原題にある"Bullshit Jobs"のBullshitは、原義は「牛糞」だが比喩的な意味ではなく、辞書での定義は「でたらめ」「たわごと」「ほら話」などの俗語であり、その意味で一般的によく使われる言葉である[1]

概要

2013年、グレーバーは『Strike!』に「ブルシット・ジョブ現象について」(“On the Phenomenon of Bullshit Jobs”)という論文を掲載した。すると、世界各地から共感の声や実例が寄せられ、2018年に『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論(: Bullshit Jobs:A Theory)』が刊行された[2]。2020年には日本語訳が刊行された[2]

この本で、グレーバーは、自動化の生産性の成果は、1930年に経済学者のジョン・メイナード・ケインズが予見したような「週15時間労働」には結びついておらず、代わりに「ブルシット・ジョブ」を生み出している、と主張した[2]。そして、ブルシット・ジョブ増殖の大きな要因として、新自由主義による改革の反動を挙げ、本来は数量化しえないものの数量化が仕事のブルシット化・ブルシット部門の膨張をもたらすとした[3]

グレーバーは、美徳の源としての仕事は最近の考えであり、仕事は古典時代の貴族によって軽蔑されていたが、ジョン・ロックのような当時の急進派の哲学者によって美徳として賞賛されたと考えている。勤労を美徳とするピューリタンの考えは、労働者階級の苦労を高貴なものとして正当化した。ブルシット・ジョブは現代のライフスタイルを正当化する。鈍い仕事の痛みは消費者の欲求を満たす能力の適切な正当化であり、それらの欲求を満たすことは確かに無意味な仕事を通して苦しむことに対する報酬だ。したがって、時間の経過とともに、技術の進歩から引き出された繁栄は、仕事から追加の余暇を購入するのではなく、それ自体のために産業と消費者の成長に再投資されてきた。ブルシット・ジョブは政治的な目的にも役立つ。政党は、仕事が充実しているかどうかよりも、仕事を持つことに関心がある。さらに、彼は、忙しい仕事で占められている人々は反乱を起こす時間が少ないと主張している。

この問題の解決策として、グレーバーはベーシックインカムと短時間労働を主張している[2]

ブルシット・ジョブの定義

ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている。
デヴィッド・グレーバー、[4]

ブルシット・ジョブは主観に基づく概念であり、第三者が「無意味で不必要」な仕事と評価しても、仕事を行う本人が意義を感じていれば、ブルシット・ジョブには該当しない[5]。日本においては、本来の定義や意図から外れた理解が広まっている[6]

ブルシット・ジョブの種類

グレーバーは、以下に述べる5種類の「ブルシット・ジョブ」について説明している[2][7]

取り巻き[注釈 1]
誰かを偉そうにみせたり、偉そうな気分を味わわせたりするためだけに存在している仕事。例えば、受付係、管理アシスタント、ドアアテンダント。「管理職に昇進した以上、部下をつけなければならない」と見做されて仕事もないのに雇われた人々。権威付けと序列、メンバシップを確認する為だけにある会議体。
脅し屋[注釈 2]
雇用主のために他人を脅したり欺いたりする要素を持ち、そのことに意味が感じられない仕事。ロビイスト、顧問弁護士、テレマーケティング業者、広報スペシャリストなど、雇用主に代わって他人を傷つけたり欺いたりするために行動する悪党。
尻ぬぐい[注釈 3]
組織のなかの存在してはならない欠陥を取り繕うためだけに存在している仕事。たとえば、粗雑なコードを修復するプログラマー、バッグが到着しない乗客を落ち着かせる航空会社のデスクスタッフ。
書類穴埋め人[注釈 4]
組織が実際にはやっていないことを、やっていると主張するために存在している仕事。たとえば、調査管理者、社内の雑誌ジャーナリスト、企業コンプライアンス担当者など。役に立たないときに何か便利なことが行われているように見せる。
タスクマスター[注釈 5]
他人に仕事を割り当てるためだけに存在し、ブルシット・ジョブを作り出す仕事。中間管理職や号令係、取り次ぎや仲介。

脚注

参考文献

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