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ベースボールカード

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ベースボールカード(baseball card)は、野球選手やチームなどを題材とした収集用のカードであり、スポーツカードの一種である。選手を題材としたカードでは、表面に選手の写真やイラスト、氏名、所属チームなどを掲載し、裏面にプロフィールや成績などを掲載する形式が広く用いられている。1952年にToppsが発売したベースボールカードでは、カラー画像やチームロゴなどを表面に配置し、裏面に選手の経歴や成績を掲載する構成が採用され、その後のベースボールカードの基本的な形式に大きな影響を与えた[1]。

現代のトレーディングカードでは、2.5インチ×3.5インチ(約6.4センチメートル×8.9センチメートル)が標準的なサイズとして広く使用されている。この大きさはToppsが1957年のベースボールカードで採用し、その後スポーツカードの標準的な形式となった。一方、歴史的なカードやミニカード、大型カードなどには異なる寸法のものも存在する[2]。

米国における歴史

初期のカード

野球選手やチームを題材としたカード状の写真は19世紀半ばから製作されていた。1865年には、ニューヨークの野球チーム、ブルックリン・アトランティックスの選手を撮影した写真がカードに貼り付けられて配布されており、アメリカ議会図書館は、現存する日付入りの「ベースボールカード」として最古のものとしている[3]。

1860年代後半には、企業が広告を目的として野球選手やチームを題材としたカードを製作するようになった。スポーツ用品店Peck & Snyderは1868年から1870年頃に野球チームを題材としたトレードカードを発行しており、こうした初期の商業的な野球カードは、商品や企業を宣伝するための広告媒体として使用された[4]。

タバコカードと菓子カード

1880年代には、タバコ会社が販売促進のために野球選手を題材としたカードをたばこのパッケージに封入するようになった。アメリカ議会図書館によれば、カードには包装を補強する役割もあったが、主な目的は商品の広告であった[5]。1887年にAllen & Ginterが発行した「World's Champions」(N28)は、同館によって最初の主要なタバコカードセットの一つとされ、野球選手10人のほか、ボクシングなど複数の競技の選手を収録していた[6]。

20世紀初頭にもタバコ会社によるカード発行は続き、1909年から1911年にかけて発行された「T206」など、多数の選手を収録したセットが製作された[7]。一方で、タバコ以外の商品にもカードが付属するようになり、American Caramelなどの菓子メーカーが野球カードを発行した。1914年と1915年にはクラッカー・ジャックにも選手カードが封入された[8]。

ガムカードと戦後市場

1933年、Goudey Gum Companyはガムとともに野球カードを販売し、239種類からなる「Goudey Baseball」を発行した。カードにはカラーの選手画像が使用され、裏面には選手の紹介が掲載された。アメリカ野球殿堂は、Goudeyをガム1本ごとに野球カードを付属させた最初の米国企業としている[9][10]。

第二次世界大戦中にはカードの生産が減少したが、戦後には再び市場が形成された。Bowmanは1948年に48種類からなるベースボールカードセットを発売し、1955年まで毎年カードを発行した[11]。

Toppsは1951年に最初のベースボールカードセットを発売した。翌1952年のセットでは、大型のカラー画像、チームロゴ、印刷されたサイン、裏面の選手紹介や成績などを組み合わせたデザインを採用し、人気を集めた。Toppsは1956年に競合していたBowmanを買収し、その後長期間にわたり米国のベースボールカード市場で中心的な地位を占めた[12]。

市場競争とカードブーム

Toppsが長く中心となっていた市場は1980年代に大きく変化した。FleerがToppsと選手会を相手に起こした訴訟を経て、1981年にはFleerとDonrussがメジャーリーグ選手を収録したフルセットを発売した。これにより、長期間続いたTopps中心の市場に複数メーカーが参入するようになった[13]。

1980年代にはカード収集の人気が急速に高まり、各メーカーによる生産量も増加した。特に1980年代後半から1990年代初頭にかけては大量のカードが製造され、後に「ジャンクワックス時代(Junk Wax Era)」と呼ばれるようになった。対象となる期間に明確な定義はないが、『The Sporting News』は1987年から1993年を同時代として扱い、大量生産によって多くのカードの希少性が低下したことを特徴として挙げている[14]。

一方、メーカー間の競争はカードの商品仕様にも変化をもたらした。1989年にベースボールカード市場へ参入したアッパーデックは、光沢のある厚手のカード紙、表裏のカラー印刷、開封防止を意識したフォイル包装、偽造防止用ホログラムなどを採用した。最初のセットではケン・グリフィー・ジュニアのルーキーカードルーキーカードをカード番号1として収録し、同カードは後に現代のベースボールカードを代表するカードの一つとなった[15][16]。

1990年代には、メーカーが大量生産された通常カードとの差別化を図るため、プレミアム商品やインサートカード、パラレルカードなど多様な商品を展開するようになった。こうした商品の多様化は、その後のベースボールカード市場にも引き継がれている。

日本における歴史

日本における野球カードの歴史は19世紀末までさかのぼる。1897年頃のものとされる野球選手を描いた円形のめんこが現存しており、アメリカ野球学会(SABR)は、19世紀に発行された日本の野球カードとして知られる唯一の例として紹介している[17]。20世紀初頭には野球チームの選手写真を用いた絵葉書なども製作され、1920年代には長方形や選手の形に沿っためんこ、選手写真を用いたブロマイド、雑誌の付録など、さまざまな形態の野球関連収集品が流通した[18]。

第二次世界大戦後には、野球人気の復活とともに、めんこやブロマイド、菓子に付属するカードなどが再び広く製作された。1949年にレフティ・オドール率いるサンフランシスコ・シールズが親善試合のため来日した際には、野球雑誌『野球少年』が同年11月号で来日選手と日本選手を題材とした3ページの切り取り式カードを掲載した[19]。1951年頃には紅梅製菓が東京読売巨人軍と契約し、「紅梅キャラメル」に選手カードを付属させ、カードを集めて応募すると野球関連の景品がもらえる販売促進を行った[20]。

1967年にはカバヤ・リーフが105人の選手を収録した野球カードセットを発売した。Association for Asian Studiesの『Education About Asia』では、これを日本で最初の大規模な野球カードセットとして紹介している[21]。

1973年、カルビーは選手カードを付属した「プロ野球スナック」を発売した。同商品は、1971年に発売され人気となった「仮面ライダースナック」のカード付き商品の形式を引き継いだもので、第1号カードには長嶋茂雄が採用された[22]。カルビーはその後も継続的にプロ野球カードを発行した。1970年代から1980年代には、カルビーのほか、山勝、NST(Mr. Baseball)、ロッテ、Mermaidなど複数のメーカーから野球カードが発売された[23]。

タカラは1978年から1998年まで、プロ野球選手の写真とゲーム用データを記載した球団別のカードセットを発売した。これらはサイコロを使用する野球ゲームの一部として製作され、各球団の選手カードをまとめたセットとして販売された[23]。

1991年にはベースボール・マガジン社が「BBMベースボールカード」を発行した。カードは米国の一般的なスポーツカードと同じ大きさを採用し、表面に選手名を英語でも表記し、裏面には成績を掲載するなど、当時の米国のベースボールカードの特徴を取り入れた[23][24]。以後、BBMとカルビーを中心に、さまざまなプロ野球カードが継続的に発行されている。

2000年には、米国のカードメーカーアッパーデックが日本市場向けのプロ野球カードを発売した。「Upper Deck Victory Japan」は同年11月に日本で発売され、「Upper Deck Ovation Japan」では通常カードのほか、シリアルナンバー入りカードや、実際に使用されたシューズやボールの一部を封入したメモラビリアカードなども展開された[25][26][27]。2001年にも「Upper Deck Japan」や「Upper Deck Victory Japan」が発行された[28][29]。

2000年代には、実物の選手カードとアーケードゲームを組み合わせた形態も登場した。コナミは2005年から『BASEBALL HEROES』を展開した。同シリーズでは、プレイヤーがプロ野球チームの監督となり、選手カードを使用してチームを編成し、全国のプレイヤーとのオンライン対戦などを行った。ゲームをプレイすることで選手カードを入手し、それをゲーム内でも使用する仕組みで、カードの収集とアーケードゲームを組み合わせたシリーズとして展開された[30]。2018年にはコナミアミューズメントが『BASEBALL COLLECTION』の稼働を開始した。同作も選手カードを集めて育成し、自分のチームを編成してプレイするプロ野球カードゲームであった[31]。

エポック社も2010年代にプロ野球カードの展開を拡大し、球団別カードやプロ野球OBを題材としたカードなどを発売した。2018年には12球団の選手を収録した「EPOCH 2018 NPB プロ野球カード」を発売した。同商品はレギュラーカード432種類を中心に、パラレルカードや複数のインサートカードを含む全552種類で構成された[32][33]。

2021年には米国のカードメーカーToppsが日本プロ野球のカード市場に参入し、「2021 Topps NPB」を発売した。日本プロ野球12球団を収録した216種類のベースカードで構成され、同年のToppsのMLBカードに近いデザインを採用したほか、シリアルナンバー入りのパラレルカードなども設定された[34]。その後もToppsはNPBを題材としたカードを継続して展開し、ChromeやStadium Clubなど、米国で展開してきたブランドを用いた日本向け商品も発売している[35]。

また、カードメーカーによる全国流通の商品とは別に、各球団が公式グッズや来場者向け商品として独自の選手カードを製作・販売・配布する例もみられる。例えばオリックス・バファローズは、2024年に59選手を収録した3枚入りの「Bsスーパースターパック」を球団公式ショップなどで販売し、2025年にも選手を題材とした「Buffaloesトレーディングカード」を発売している[36][37]。

関連項目

脚注

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