ボッカチオ (オペレッタ)
From Wikipedia, the free encyclopedia
| ボッカチオ Boccaccio | |
|---|---|
| フランツ・フォン・スッペ作曲のオペレッタ | |
フランツ・フォン・スッペ(1885年) | |
| 題名原語表記 | Boccaccio, oder Der Prinz von Palermo |
| 他言語名 | Boccaccio, or the Prince of Palermo |
| 劇作家 | |
| 言語 | ドイツ語 |
| 初演 | 1879年2月1日 カール劇場(ウィーン) |
『ボッカチオ』(Boccaccio, oder Der Prinz von Palermo)は、ジョヴァンニ・ボッカッチョの『デカメロン』に取材したジャン=フランソワ・バヤール、アドルフ・ド・ルヴァン、レオン=レヴィ・ブランスウィック、アルテュール・ド・ボプランによる戯曲を基に作られたカミロ・ヴァルツェルとリヒャルト・ジュネーによるドイツ語のリブレットに、フランツ・フォン・スッペが作曲を施した、3幕のオペレッタ。
英語へは、1880年のデクスター・スミスによる翻訳がある[1]。その後オスカー・ワイル(Oscar Weil)とグスタフ・ヒンリヒスによって、1883年ころに翻訳されている[2]。1931年にはフル・オペラ形式によってメトロポリタン歌劇場で上演された[3]。
日本では、1915年4月に、帝国劇場で小林愛雄の翻訳台本により翻訳上演された[4]。この版ではベアトリーチェをスカルツァの妻ではなく娘、ペロネラをランベルトゥッチョの妻でなく妹とする変更が加えられていたが、同様の変更はスミスによる英語版にも見られる[5]。以降、ローヤル館で上演され、ローヤル館の閉館後はいわゆる浅草オペラの様々な歌劇団によって一部のみの上演が行われた[4][注釈 1]。田谷力三主演のものは金龍館の呼び物となっていた[3]。20世紀末以降は黒田信也の訳による上演、歌唱が多くなっている。
なお、ボッカチオ役は、女性が演じることも、男性が演じることもある[7]。もともとは女性が演じていたものが、20世紀前半以降に男性が演じることが多くなったという[8]。
編成
おもな配役
| 役名 | 役 | 声域 | 初演時の演者[9] |
|---|---|---|---|
| フィアメッタ | ランベルトゥッチョの養女 | ソプラノ | Rosa Streitmann |
| ジョヴァンニ・ボッカチオ | 小説家、詩人 | メゾソプラノ | Antonie Link |
| ベアトリーチェ | スカルツァの妻、レオネットの愛人 | ソプラノ | |
| イザベラ | ロッテリンギの妻 | メゾソプラノ | |
| ペロネラ | ランベルトゥッチョの妻 | コントラルト | |
| ピエトロ | パレルモの王子 | テノール | |
| ランベルトゥッチョ | 雑貨屋 | バリトン | |
| ロッテリンギ | 桶屋 | バリトン | Franz Tewele |
| スカルツァ | 床屋 | バリトン | |
| レオネット | ボッカチオの友人である学生 | バリトン | |
| ケッコ | 乞食 | バス | Carl Blasel |
| フラテッリ | 本屋 | バリトン | |
| 執事長 | バリトン | ||
| 乞食たち、学生たち、召使いたち、ドナ・プルシの娘たち - コーラス | |||
あらすじ
第1幕
ルネサンス初期のフィレンツェでは、詩人ボッカチオが書いた、数々のエロティックな小説が反響を呼び、市民たちは、彼が綴るスキャンダラスな物語を愛好する女性たちと、それに憤慨する夫たちに分かれて対立していた。ボッカチオを町から追放して監禁してしまおうとする夫たちの動きから話が始まる。
床屋のスカルツァは旅行から家に帰って来るが、不在の間に愛人のレオネットとその友人のボッカチオを家に泊めていた妻のベアトリーチェは驚いてその場を繕う。
ボッカチオはランベルトゥッチョの養女であるフィアメッタに恋していたが、実は彼女は公爵の娘で、公爵は彼女のいいなづけのピエトロをフィレンツェに送り込んで結婚させようとしていた。ペロネラからその話を聞いたフィアメッタは、愛のない結婚は嫌だと「恋はやさし野辺の花よ」を歌う。
ボッカチオの崇拝者であるピエトロは、フィレンツェで彼の弟子になろうとするが、フィレンツェの男たちはピエトロをボッカチオと誤解して襲う。誤解が解けても憤懣やる方ない男たちはボッカチオの本を燃やす。
第2幕
ピエトロ、ボッカチオ、レオネットの3人が人妻たちとの逢引きにやってくる。
ピエトロは桶屋ロッテリンギの妻のイザベラにセレナーデを歌うが、そこへ夫のロッテリンギが帰って来る。ピエトロは桶の中に隠れるが見つかってしまう。イザベラは桶を買いに来た客が桶にはいって品定めしているところだといってごまかし、夫を桶の中で仕事させてその間に情事を続ける。
一方ボッカチオは変装してランベルトゥッチョのもとを訪れ、魔法の木の上から見るとキスするカップルしか見えないと彼をだます。ランベルトゥッチョが木の上に登って見る間にボッカチオはフィアメッタと、ピエトロはイザベラと、レオネットはランベルトゥッチョの妻のペロネラとキスする。
ボッカチオの正体がばれるが、再び男たちが別な人物をボッカチオと取り違えている間に逃げおおせる。
第3幕
公爵の宮殿。公爵はフィアメッタとピエトロを結婚させようとするが、2人ともその気がないことを知っていたボッカチオの機転により、いまやフィレンツェ大学の教授に就任したボッカチオとフィアメッタの結婚が許される(ただしこの幕は演出や版による違いが大きい[3])。
有名な曲
- Hab' ich nur deine Liebe(第1幕、フィアメッタのロマンス。日本では小林愛雄の訳詞による「恋はやさし野辺の花よ」のタイトルで知られる)
1953年にオーストリアでスッペ(演:ヨハンネス・ヘースタース)の生涯を描いた同名の映画 (de:Hab’ ich nur Deine Liebe (1953)) が作られている。 - Holde Schöne, hör' diese Töne(第1幕でスカルツァがベアトリーチェに歌いかけるセレナーデ。日本では「ベアトリ姐ちゃん」という俗っぽい歌詞で榎本健一の歌によるものが有名。元の小林愛雄の翻訳では歌詞が異なっていたが、作品が小林の手を離れて早い時期に通俗化したものと考えられる[10])
- Mia bella Fiorentina / Florenz hat schöne Frauen(「フィレンツェには美しい婦人たちが」 、第3幕のボッカチオとフィアメッタの二重唱。イタリア語とドイツ語の2種類の歌詞がある)