ポルシェ・982
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概要
2015年12月10日、ポルシェは、「ボクスター」および「ケイマン」の車名を、それぞれ「718ボクスター」「718ケイマン」へ変更すると発表した。これにより、ボクスターは通算4代目、ケイマンは通算3代目となり、開発コード「982」が両車に共通して与えられた。[1]
「718」の名称は、1950〜60年代に活躍した軽量ミッドシップ・レーシングカー「718」へのオマージュであり、小排気量・高効率という思想を現代的に再解釈したモデルであることを示している。
当時のダウンサイジングコンセプトに倣い、それまでの水平対向6気筒自然吸気エンジンに代わって新たに水平対向4気筒ターボエンジンが搭載された。4気筒化に伴う振動特性の変化に対応するため、リアのエンジンフード周辺など車体各所にバラストを配置し、共振や不快振動を抑制する対策が講じられている。ターボ化により排気系・過給系のレイアウトは大きく変化し、リアサブフレームなど車体後半部は大幅に刷新された。一方、車体前半部については981型との共通部品も多く、プラットフォームの連続性が保たれている。ターボチャージャーは1基のシングルターボ方式で、エンジン前方に横置きで配置される。2.5 Lエンジンには、911ターボと同様のVTG(Variable Turbine Geometry:可変タービンジオメトリー)が採用され、低回転域でのレスポンス向上と高回転域での効率を両立している。インタークーラーは水冷式で、エンジン上方に配置される構成となった。これらの結果、エンジン周囲にはタービンや排気管が密集するレイアウトとなり、整備性は981型と比較して大きく低下した点も特徴の一つである。
4気筒ターボ化は合理性の高い選択であった一方、ポルシェのミッドシップスポーツカーに対する伝統的な6気筒自然吸気エンジンを重視する声も根強かった。
2019年6月18日、「718スパイダー」および「718ケイマンGT4」が発表された。両車には最高出力420psの4.0 L水平対向6気筒自然吸気エンジンが搭載された。
2020年1月16日、「718ボクスターGTS 4.0」および「718ケイマンGTS 4.0」が発表された[2]。出力は400psに抑えられ、中国市場を除き4気筒ターボ仕様のGTSは廃止された。
2021年11月17日、「718ケイマンGT4 RS」が発表された。GT4 RSは718系の最上位高性能モデルとして位置付けられ、911 GT3と共通の4.0 L水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載する。最高出力は500ps。潤滑はドライサンプ方式を採用し、リアウインドウ直後に大型インテークを配置する吸気系はGT4 RS専用。トランスミッションは7速PDKのみを設定。
シャシーおよびサスペンションはGT4 RS専用に最適化され、空力性能向上のためCFRP製大型リアウイングや専用エアロパーツが装備された。軽量化も重視され、内装の簡素化やCFRP製のボディパネルなど軽量部材の採用が行われている。ポルシェの公表値によれば、0–100 km/h加速は約3.4秒。
2022年11月2日、欧州市場向けに「スタイルエディション」が発表された。専用カラーとして「ルビースターネオ」が採用され、装備と内外装のコーディネートを重視した仕様となっている。[3]
2023年5月11日、「718スパイダーRS」が発表された。スパイダー系としては初のRSモデルであり、ケイマンGT4 RSと同じエンジンを搭載する。軽量化と空力性能の最適化が徹底され、ソフトトップは簡易的な構造とされるなど、走行性能を最優先とした設計。トランスミッションは7速PDKのみの設定で、0–100km/h加速は3.4秒。同モデルは、ミッドシップオープンモデルとしての718系の最上位高性能モデルと位置付けられ、内燃機関を搭載する718スパイダーの最終進化形となった。
2023年後半以降、ポルシェは各市場において718系の仕様整理を段階的に進めた。環境規制(特に欧州の排出ガスおよび騒音規制)への対応を背景として、4気筒ターボモデルを含む一部グレードは地域限定販売、もしくは受注終了となり、ラインアップは6気筒自然吸気エンジン搭載モデルを中心とした構成へと収斂していった。これに伴い、トランスミッションの設定も見直され、一部市場ではGTS 4.0などがMT専用モデルとして販売されるなど、ドライビングプレジャーを強調した位置付けがより明確になった。
2024年にかけて、ポルシェは718系の将来的な電動化方針を公式に明言し、次世代モデルでは完全電動化(BEV)へ移行する計画を示した。これにより、982型718は「内燃機関を搭載する最後の718」としての性格を強めることとなり、GT4 RSおよびスパイダーRSを頂点とする高性能自然吸気モデル群は、ポルシェのミッドシップスポーツカー史における一つの完成形と評価されるようになった。
ポルシェは982型718シリーズに代わる次世代モデルの電動化方針を公式に示しているが、2025年末時点で後継電動モデルの具体的時期は未確定である。 一方、982型718(ガソリンエンジン搭載モデル)は2025年10月をもって生産が終了と複数の自動車メディアが報じている[4][5]。
日本での販売
2016年1月27日、「718ボクスター」が発表され[6]、同年6月1日に国内で披露された[7]。グレードは「718ボクスター」と「718ボクスターS」が導入された。エンジンは「718ボクスター」には2.0 L、「718ボクスターS」には2.5 Lの水平対向4気筒ターボが搭載された。
2016年4月25日、「718ケイマン」が発表され[8]、同年7月1日に国内で披露された[9]。グレードは「718ケイマン」と「718ケイマンS」が導入された。エンジンは「718ボクスター」「718ボクスターS」と共通のものが搭載された。
2017年11月17日、「718ボクスターGTS」と「718ケイマンGTS」が発表された[10]。エンジンは、最高出力365ps、最大トルク430Nmに向上された2.5 L水平対向4気筒エンジンが搭載された。
2019年7月19日、「718スパイダー」と「718ケイマンGT4」の予約受注が開始された[11]。日本市場へはともに右ハンドル仕様が導入された。価格は1215万円〜1237万円。
2020年2月19日、「718ボクスターGTS 4.0」と「718ケイマンGTS 4.0」の予約受注が開始された[12]。価格は1072万円〜1111万円。
2021年11月17日、「718ケイマンGT4 RS」が発表され同日に予約受注が開始された[13]。価格は1843万円。
2022年10月5日、ブレーキブースター警告装置において、インストゥルメントクラスタプログラムが不適切なため、ブレーキブースターの故障時に警告灯が点灯せず警告メッセージ確認後に誤った警告灯が点灯し、保安基準に適合しない可能性があったためリコールを国土交通省に届出[14]。
| グレード | 販売期間 | 排気量 | エンジン | 最高出力・最大トルク | 変速機 | 駆動方式 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 718スパイダーRS | 2023年5月 - | 4.0L | 水平対向6気筒自然吸気 | 500PS/450Nm | 7速PDK | MR |
| 718ケイマンGT4 RS | 2021年11月 - | |||||
| 718ボクスターGTS 4.0 | 2020年2月 - | 400PS/420Nm | 6速MT/7速PDK | |||
| 718ケイマンGTS 4.0 | ||||||
| 718スパイダー | 2019年7月 - | 420PS/420Nm | ||||
| 718ケイマンGT4 | ||||||
| 718ボクスターGTS | 2017年11月 - | 2.5L | 水平対向4気筒ターボ | 365PS/430Nm | ||
| 718ケイマンGTS | ||||||
| 718ボクスターS | 2016年1月 - | 350PS/420Nm | ||||
| 718ケイマンS | 2016年4月 - | |||||
| 718ボクスター | 2016年1月 - | 2.0L | 300PS/380Nm | |||
| 718ケイマン | 2016年4月 - |

