マタ・ハリ (ミュージカル)

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マタ・ハリ(Mata Hari)は、第一次世界大戦中にフランスをはじめとするヨーロッパで活躍したオランダ人のダンサー、マタ・ハリを描いたミュージカルである[1][注釈 1]

ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』など、数々のミュージカルを手掛ける作曲家フランク・ワイルドホーンによる新作ミュージカルとして、2016年に韓国にて世界初演され、再演も合わせて累計20万人を動員した[2]

日本初演は2018年、1月から2月にかけて大阪・東京にて上演[3]。その後、2021年[4][注釈 2]、2025年[5]に再演された。

日本版の訳詞・翻訳・演出は、初演より一貫して石丸さち子が手がけている。また、韓国版を基に独自の演出が加えられている。

あらすじ

以下は、韓国プロダクション再演版をベースにオリジナル演出を加えた日本プロダクション版に基づくあらすじである。プロダクションや上演時期により、一部ストーリーラインに差異がある。

第一幕

第一次世界大戦下のフランス。人々が飢え、兵士が次々と死に、国外旅行も禁じられる時代の中、ダンサーのマタ・ハリはその名声と「大戦に関与していないジャワ出身」という立場を利用し、ヨーロッパ各地で公演を重ねていた。

ある日、マタの楽屋に諜報部所属の軍人ラドゥーが訪れ、彼女の特異な立場を利用したドイツでの情報収集を依頼してくる。拒むマタに、ラドゥーは「あなたには既にスパイになれる素質がある。あなたはペテン師だ」と告げて立ち去り、マタはその言葉からラドゥーが彼女の「封印した過去」を知っていると気づく。

公演を終えたマタが家路につこうとすると男たちに取り囲まれるが、居合わせたパイロットの青年アルマンに助けられる。複数の相手と戦って倒れたアルマンを、マタは自宅に連れ帰り手当てする。

翌朝、手当ての途中で眠ってしまったアルマンは目覚めてすぐ帰ろうとするが、マタは夜明けを共に観ようと誘う。屋上で夜明けを見ながら、マタとアルマンはお互いの現在や未来を話し、惹かれ合っていく。

一方再度楽屋にやってきたラドゥーは、スパイ任務を受けるよう迫る。マタはアルマンへの思いを胸に、ついにその依頼を受ける。ラドゥーはドイツで目的のものを回収したら真っすぐパリに戻ってくるように告げ、マタも承諾するが、彼女はアルマンの故郷であるリヨンに寄ると決めていた。

ドイツでの諜報活動をどうにかこなしたマタはリヨンに向かい、アルマンと会う。ホテルでアルマンは自分の、暴力ばかりだった実家の話をして、華やかなマタと重なるところはないと告げるが、返すようにマタは自分の過去を暴露する。本来はオランダ出身であり、ジャワは暴力ばかりの家から逃げてたどり着いた場所であること。ジャワでも不幸に合い、逃げ込んだ先で奉納の踊りを知り、マタ・ハリとして生きるようになったこと。「あなたの愛が本物であると信じたい」と涙を流すマタをアルマンは抱きしめる。
しかしドイツ側はマタの不審な行動に気づいていた。支配人を装って部屋に侵入してきたドイツ側の諜報員をアルマンは撃退し、二人はその場を逃れる。

パリに戻ったマタを、ラドゥーは遅いと叱責する。リヨンに立ち寄ったことは既に伝わっていたが、悪びれる様子のないマタにラドゥーが怒りをぶつけようとした時、新たに諜報員が訪れたことを告げられ、マタは裏口から帰される。マタが去ったあと現れた諜報員はアルマンだった。彼はマタの身辺を探っている諜報員だったのである。しかしラドゥーはリヨンでの宿泊記録をアルマンに提示し、アルマンがマタに惹かれてしまったことを突きつけたうえで、マタの身辺調査の仕事を打ち切り激戦地への転属を命じる。ラドゥーが自分に嫉妬していることに気づいたアルマンは「自分を排除してもマタはあなたを憎むだけだ」と忠告するが、上官の命令には逆らえず、出撃する。

アルマンからの手紙で転属を知ったマタは基地に駆けつけるが、既にアルマンの乗る飛行機は空へと飛び立っていた。

第二幕

アルマンの帰りを信じるマタだが、軍の整備士からアルマンの所属する航空隊のほとんどが撃墜されたと知らされる。一方アルマンは墜落したものの生き延びていたが、怪我を負い捕虜となる。 マタは夜更けにラドゥーの家を訪れ、アルマンの情報が欲しいと頼む。ドイツの病院に収容されている人物がアルマンらしいと情報を得て帰ろうとするが、ラドゥーはマタが自分の許可なしでは国外に出られなくなっていることを告げ、彼女に迫る。マタが強く拒み逃げた後、ラドゥーは自分が彼女に惹かれていることを思い知り嘆く。

マタは隠し持っていた期限切れのオランダのパスポートを偽造して出国し、アルマンが収容されている病院へ駆けつける。再会を喜ぶ二人だったが、アルマンがラドゥーの名をつい口にしたことで、マタはアルマンの立場に気づいてしまう。信じてほしいと懇願するアルマンだったが、マタの拒絶に彼女を繋ぎとめることを諦め、マタは失意の中病院を去る。だが彼女への想いを諦められないアルマンは、病院をひそかに抜け出すのだった。

ドイツでは、情報を持っていったマタを捕まえる策が練られていたが、将軍は「ドイツ側が捕まえるのではなく、二重スパイという疑いをかけフランス側に捕まえさせればいい」と気づき、わざとフランスに解読されている暗号を用いてマタがドイツから諜報の報酬を受け取ったという虚構の情報を流す。その報せはすぐにラドゥーのもとに届いた。かねてからマタの存在を疑っていたフランス首相は、ラドゥーにマタを逮捕することを命じる。

マタは捕らえられ、裁判にかけられる。真実と虚構が混じった証言をラドゥーが続ける中でアルマンが現れて、彼の言葉はでたらめだと叫ぶ。ラドゥーとアルマンは揉み合いになり、その最中に放たれた銃弾がアルマンを撃ちぬく。倒れこむアルマンとそれを抱きとめるマタはお互いの心からの愛を確かめ合うものの、アルマンはマタの「待っていて、会いに行くから」という言葉を聞きながら、マタの腕の中で息を引き取る。二人のその姿を見ていたラドゥーは、自分が戦争が終わっても決してぬぐえない罪を背負ってしまったことを知る。

マタは死罪となる。処刑の日、毅然とした態度で臨んだマタは、撃たれた瞬間に自分の視界が真っ青に染まるのを見る。それはかつてアルマンが語っていた、天国と地球の間にある空の色だった。マタは探し求める先に何かの姿を認め、微笑みかけたのだった。

日本での上演記録

  • 2025年[6]
    • 10月1日 - 14日、東京建物 Brillia HALL
    • 10月20日 - 26日、梅田芸術劇場メインホール
    • 11月1日 - 3日、博多座

主な配役

日本版キャスト

 2018年2021年2025年
マタ・ハリ 柚希礼音柚希礼音
愛希れいか
ラドゥー 加藤和樹[注釈 3]
佐藤隆紀 (LE VELVETS)
加藤和樹
田代万里生
加藤和樹[注釈 3]
廣瀬友祐
アルマン 加藤和樹[注釈 3]
東啓介
三浦涼介
東啓介
加藤和樹[注釈 3]
甲斐翔真
ピエール 西川大貴
百名ヒロキ[注釈 4]
工藤広夢長江崚行
パンルヴェ 栗原英雄鍛治直人中山昇
アンナ 和音美桜春風ひとみ
ヴォン・ビッシング 福井晶一宮尾俊太郎神尾佑
キャサリン [注釈 5]飯野めぐみ青山郁代

スタッフ

脚注

外部リンク

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