マダラスズ
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マダラスズ(斑鈴[1]、学名: Dianemobius nigrofasciatus)は、コオロギ科[2] の昆虫の1つで、小型のスズムシ類である。この仲間では最もよく見られるものの1つで、黒っぽい色で歩脚にまだら模様がある。鳴き声は比較的単調である。
| マダラスズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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マダラスズ雄成虫 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Dianemobius nigrofasciatus (Matsumura, 1904) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| マダラスズ |
特徴
習性
生活史
暖地では年2回発生して、成虫は6月下旬と9月に出現し、11月下旬頃まで見られる。寒冷地では年1回の発生となり、成虫は8月頃に見られる。雌は土に産卵管を差し入れて卵を産み、越冬態は卵である[5]。
分布
適応
本種は上記のように北部で年1化性、南部では2化性になるが、それと呼応して体の大きさの変異があることが知られている。一般に昆虫はその発育期間の長さに応じて成虫の大きさが決まる形の淘汰があり、そのために北に向かうほど成虫の大きさが小さくなる、いわゆる逆ベルクマンの法則が成立する。本種の場合、その分布域は北緯40°(北海道)から31°(屋久島)に渡っているが、このうちで北限から38°(東北地方)に至る範囲では年1化性で、この範囲では南のものほど体が大きい。ところがそれ以南、2化性の範囲に入ると、急にこの変異が逆転し、37-38°の地域ではもっとも個体が小さい。更にそれ以南では、南に行くにつれて多少ともその大きさは増加する[8]。
また、本種には長翅型と短翅型があるが、これは日長と温度によって調節されている。野外観察では一般に長翅型を見ることが少ないと言うが、飼育下で温度と日長を調節した場合、長翅型の出現率はそれらの条件によってはっきりと影響を受ける。一般には短日条件で長翅型の出現率が大きく減少し、中日ないし長日条件でその出現率が最大になった。また温度が低いと出現率が低くなる。これは低温、短日の条件下では成虫に発達した翅があってもそれを使用して飛翔するような活動が行いづらいことに対応するのかも知れないとも言われる。また異なる地域の個体群ではその反応が異なり、例えば弘前の個体群では温度低下に伴う長翅型出現率の低下が明確であったのに対して、仙台と東京の個体群ではさほど出なかった。また成長速度等についてもこれらの条件が影響を与え、その生活史(年1化か2化か、休眠に入るかどうかなど)の決定にこれらが影響していると見られる[9]。これらに関する調節やその進化に関しては多くの研究がある。
分類、類似種など
同属のものとしては日本では以下の3種が知られる[10]。
- Dianemobius:マダラスズ属
- D. csikii:ハマスズ
- D. fascipes:ネッタイマダラスズ
- D. furumagiensis:カワラスズ
ハマスズは本種の斑紋をすべて淡くしたような色合いで、砂浜に生息し、希に内陸の川原に見られる。その体色は砂浜に似る。ネッタイマダラスズは本種によく似ており、生息環境も同様であるが、分布域が八重山諸島であり、混同することはない。ちなみに徳之島から沖縄諸島、宮古諸島までの間には本属のものが存在しない空白がある。カワラスズは本州から九州に分布するもので、河原や、同様に石がゴロゴロした場所を好む。本種よりやや大きく、また前翅の根元が白くなっていることなどで区別できる。ちなみにこの種はスズムシ類では美声とされる[11]。
別属ではあるがリュウキュウチビスズ Pteronemobius sulfurariae も本種にやや似ており、ただし本種の方が光沢が弱く、またまだら模様が明瞭で小顎鬚の一部が黒っぽい点などで区別できる。この種は南西諸島に分布するが、本州でも新潟や関東地方で確認されている[6]。
なお、シバスズ Polionemobius mikado も本種と混成してみられ、大きさや姿はかなり似ている[7] 他、類似の小型スズムシ類は幾つかあるが、本種は脚のまだら模様でおおむね見分けがつく。

