マルチスライスCT
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マルチスライスCT(multislice CT、multidetector CT;MDCT)は、多数の検出器列で1回転あたり複数断面を同時取得するX線CTの方式である。薄いコリメーションと高速撮像により等方性に近いボリュームデータを短時間で収集でき、多断面再構成や三次元再構成(3D表示)、CT血管造影(CTA)の基盤となる。救急からがん診療・心臓領域まで広く用いられ、適切なプロトコル設定と線量最適化が診断能と安全性の両立に重要である。近年はデュアルエネルギーやAI再構成、フォトンカウンティングの進展で低線量化と物質弁別の高度化が進んでいる。
マルチスライスCT(multislice CT, multidetector CT; MDCT)は、体軸方向に多数の検出器列を備え、1回転で複数スライスを同時取得するX線CTの総称である。これにより薄いコリメーションと高い体軸分解能が得られ、短時間でボリュームデータを収集できる点が特徴で、単列検出器CTと区別される[1]。MDCTは「同時多断面収集」により等方性ボクセルに近いデータを形成し、多断面再構成や三次元再構成(3D表示)の基盤となる画像ボリュームを安定して提供する[2]。また、高速化に伴う線量管理の必要性から、サイズ依存線量評価(SSDE)などの概念と併せて理解される[3]。MDCTの成立背景として、計算機断層撮影の原理(X線減弱の投影測定と再構成)および技術的進展が位置づけられる[4]。さらに、線量最適化の一環としてビーム整形(例:ボウタイ)が用いられる[5][6]。
歴史
X線コンピュータ断層撮影(CT)の端緒は、ゴッドフリー・ハウンズフィールドによる装置開発と初期臨床応用に遡り、講演録は発明の背景と方式の転換点を詳述している[4]。1971年に最初の臨床CT画像が得られて以降、第1・2世代の平行/ファンビーム方式から第3世代の広角ファンビームへと進化し、撮像時間と画質が飛躍的に改善した[7]。1990年代前半にはスリップリング導入により連続回転が可能となり、ヘリカル撮像が普及した。続いて検出器の多列化(4列、16列、64列、128–320列など)が進み、体軸方向分解能と時間分解能の両立が実現してMDCTが標準となった[6]。2000年代には高速回転系と心電図同期技術の進歩、デュアルソース/デュアルエネルギーなどの臨床導入により適応が拡大した[6]。
物理・装置構成
マルチスライスCTは、X線管球と高電圧発生器、回転ガントリー、受信系(データ収集システム(Data Acquisition System; DAS))、複数列のシンチレータ・フォトダイオード検出器、前置・後置コリメータ、患者寝台、および再構成計算機から構成される[1][2]。ボウタイフィルタは周辺部の不要線量を低減し、被写体厚の不均一性を補正して画質と線量の均衡を図る[5][6]。z方向コリメーションと有効スライス厚は再構成関数と検出器列幅で決まり、体軸方向分解能と部分体積効果を左右する[2]。ピッチと回転時間はz方向走査速度を規定し、モーションアーチファクトと線量のトレードオフに影響する[1][2]。線量評価はCTDIvolやDLPに加えて患者体格を反映したSSDEの利用が推奨され、直径や水等価直径による補正係数で求める[3][8]。装置は自動露出制御(Automatic Exposure Control; AEC)/管電流変調(Tube Current Modulation; TCM)により被ばくを最適化し、逐次近似再構成と組み合わせて画質を維持する[1][3]。