ミュールシング
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ミュールシング (英語 mulesing) は、羊への蛆虫(クロバエ科のヒツジキンバエなどの幼虫)の寄生を防ぐため、子羊の臀部(陰部と表現されることもある)の皮膚と肉を切り取ること[1]。名前は考案者のジョン・ミュールズ (John W. H. Mules) にちなむ[1]。
1930年代から、オーストラリアでメリノ種に対し広く行われている。ニュージーランドでも行われていたが、同国では2007年までに廃止された。世界のファッション業界で使われるウールの半数以上は、オーストラリア産のミュールシングを受けた羊から得られたものである[2]。
羊毛用に品種改良されたメリノ種は、多くの羊毛を採取するために皮膚面積が広く、全身の皮膚に深い皺がある。そのため、臀部・陰部の皺に糞尿がたまりやすく、蛆虫が繁殖しやすい。そうなると、羊は蛆虫に皮膚や肉を食い破られ、死に至ることもある。それを予防するため、ミュールシングがなされる。ミュールシング以外では、薬品を使う方法(ケミカルトリートメント)などがある。
ミュールシングは無麻酔でおこなわれ、また傷跡の治療なども行われない。そのこともあり、動物愛護の面から批判がある。調査によると回答者の80%が、この処置の内容を知れば、ブランドに対しミュールシングを排除するよう求めると答えている[2]。アメリカ合衆国の動物愛護団体「PETA」はオーストラリアにミュールシングの停止を訴え、小売店にオーストラリア産羊毛製品のボイコットを訴えている[3]。2008年2月には、スウェーデンに本社を持ち世界各国に展開する大手衣料品会社ヘネス・アンド・モーリッツ (H&M)がオーストラリア産ウールを使用しないことを発表した[4]。多くのブランドがミュールシングに反対しており、65%のブランドは「ミュールシングを防ぐために厳格なウール認証を求めている」と主張している。しかしながら実際に製品レベルでその認証を表示しているのは33%にとどまる[2]。