メソコズム

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メソコズム[1]英語: mesocosmメソコスムとも[2])とは、自然環境の主要な要素(生物群集や水・土壌など)を取り込み、屋外または屋内で条件を一定の程度で制御しながら観察・操作できるようにした実験システム英語版である。英語での発音は、 /ˈmez.əʊˌkɒzəm/ とされ、カタカナではメゾコズムと表記されることが多い。 野外調査と実験室実験の中間に位置づけられ、自然に近い状態を保ちながら要因(温度、pH、二酸化炭素濃度など)を操作して、生物や生態系の反応を調べる目的で用いられる。イメージとしては「自然を再現した実験用の箱庭(大きめ)」に近い。[3]

小規模な閉鎖系メソコズム(模式図)
メソコズムを構成する要素(模式図)

メソコズムは中規模から大規模であることが多く、例えば水生メソコズムでは約1 Lから10,000 L以上の規模が想定される。複数の栄養段階に属する生物が相互作用するような構造を含む。

実験室実験と対比して、メソコズム研究は自然変動(例えば日周鉛直移動英語版などの日周変動)を取り込むため屋外で実施されることが多い。囲い(エンクロージャー)を設けて主要変数を制御する場合や、自然環境の主要要素を現地から採取して実験に供する場合がある。

気温上昇、二酸化炭素濃度の増加、pH変化などの環境要因を意図的に操作し、生物や群集が環境変化にどう反応するかを評価する研究で広く用いられてきた。[4]

利点

メソコズム研究の利点は、温度上昇などの環境勾配を制御・組み合わせることで、種・個体群・群集の成長や生存に影響する要因の機構を分離して理解しやすい点にある。処理区(処理レベル)を複数設け、反復を取りやすいことも利点とされる。[4]

屋内メソコズムでは成長チャンバー(growth chambers/育成室/植物栽培箱)を用いることで、温度や光などをより厳密に制御できる[4]。一方、温室は実験に用いられることがあるものの、装置自体が微気候を変化させ、実験に影響し得る点が指摘されている[5][6]

欠点

成長チャンバー等を用いる場合、空間が限られるため、系の規模や複雑さに制約が生じることがある[7]。また、メソコズムが自然環境を十分に再現できない場合、生物が本来の生息環境で示す行動・反応を示さない可能性がある[要出典]

研究例

ホプリアス・マラバリクス。
Hoplias malabaricus

Mazzeo らはタライロンの近縁種の淡水魚 Hoplias malabaricus英語版 を対象に、植物プランクトン・動物プランクトン・競争条件の違いが生物量などに与える影響をメソコズムで検討した[8]

Flanagan と McCauley は浅い池に現地設置型の円筒状メソコズムを設け、温暖化が底質中の二酸化炭素動態に与える影響を調べた[9]

ロードアイランド大学MERLのメソコズム水槽(1995年)。

海洋環境の研究でメソコズムが利用されることがある。ロードアイランド大学のMarine Ecosystems Research Laboratory(MERL)では、汚染物質や栄養比が生態系に与える影響を観察する目的でメソコズムが利用された[10]

水生メソコズムでは、人工の水槽・池を用いるほか、湖沼やため池など既存の水域の一部を囲い込んだ「エンクロージャー(現地設置型)」として実施される場合がある[要出典]

フードウェブ解析と生態系管理

現代生態学では、複雑なフードウェブを解析して生態系の問題の原因を特定し、バランスを回復させることが目指されている。しかし自然の生態系は極めて複雑であるため、いきなり大規模な介入を行うことは大きなリスクを伴う。 そのため、バイオマニピュレーションリワイルディングRewilding)の理論においても、マイクロコズムおよびメゾコズムを用いた実験的アプローチが重視され、小規模な操作実験から中規模実験へと段階的に拡張される。これらの知見は、最終的に適応的管理adaptive management)の枠組みに基づき、実際の生態系における管理・介入へと適用される。

脚注

関連項目

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