モリエール賞
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モリエール賞(モリエールしょう、フランス語: Les Molières)は、フランスの演劇に関する賞である。フランス語で上演された舞台作品と、その俳優、劇作家、演出家、舞台制作関係者などを対象とし、モリエール協会(フランス語: Association Les Molières)が授与する[1]。授賞式はモリエールの夜(フランス語: Nuit des Molières)またはモリエール賞授賞式と呼ばれ、フランス・テレビジョンによってテレビ放送される[2]。
名称は、17世紀フランスの俳優・劇作家であるモリエールに由来する[3]。主催者は、アメリカ合衆国のトニー賞およびイギリスのローレンス・オリヴィエ賞に相当するフランスの演劇賞と位置付けている[3]。
歴史
モリエール協会は、公共劇場と私立劇場の関係者によって1987年に設立され、モリエール賞授賞式の開催を主な目的としている[3]。公式サイトは、授賞式の創設者としてGeorges Cravenneを挙げている[4]。
第1回授賞式は1987年5月23日にパリのシャトレ座で開催され、アンテンヌ2で生中継された[4][3]。この授賞式では、男優、女優、助演、演出、存命フランス語圏作家、演劇作品、ミュージカル、脚色、衣装、舞台美術などを対象とする15の賞が授与された[4]。
2012年の第26回授賞式は、29のパリの私立劇場が参加を拒否し、フランス・テレビジョンも放送を見送ったことから中止された[5]。2013年にもモリエール賞は開催されず、別の賞である「Palmarès du théâtre」が一度だけ実施された[6]。モリエール賞は、2年間の中断を経て2014年6月2日に第26回授賞式として再開された[6]。
2020年の第32回授賞式は、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、観客を入れずにシャトレ座で開催された[7]。2021年は感染症流行の影響によって授賞式が中止され、2022年5月30日に第33回授賞式が開催された[7][8]。
2026年5月4日には第37回授賞式がフォリー・ベルジェールで開催された。公式アーカイブには、1987年から2026年までの候補者、受賞者、授賞式の司会者および名誉賞受賞者が収録されている[9][10]。
運営
モリエール協会
モリエール協会は、モリエール賞授賞式を運営するフランスの団体である。公共劇場と私立劇場の双方を対象とし、候補作品の登録、投票資格を持つアカデミーの運営、投票、授賞式および歴代資料の管理を行う[3][1]。
協会には理事会が置かれ、賞の部門、作品の適格基準および授賞規則を決定する[1]。
モリエール・アカデミー
受賞者を選ぶ選挙人団はモリエール・アカデミー(フランス語: Académie des Molières)と呼ばれる。アカデミーは、劇場経営者、俳優、劇作家、演出家、舞台美術家、衣装デザイナー、照明デザイナー、プロデューサー、芸能代理人、広報担当者など、現役の舞台芸術関係者によって構成される[11]。
俳優、劇作家、演出家、舞台美術家などが加入する場合、直近5年間に合計150回以上の舞台上演へ参加していることなどが基準となる。劇場経営者、プロデューサー、芸能代理人および広報担当者には、それぞれ別の活動基準が設けられている[11]。
選考
モリエール賞の投票は2回に分けて行われる[1][2]。第1回投票で各部門の候補者・候補作品を選び、第2回投票で受賞者を決定する。いずれもアカデミー会員による秘密投票であり、司法官の監督下で集計される[2]。
例年、対象作品の確認とアカデミー会員の追加が前年秋から翌年初めに行われ、作品登録の終了後、3月ごろに第1回投票と候補発表、4月ごろに第2回投票と授賞式が行われる[12]。
作品の適格基準
適格基準は年度や部門によって異なる。第37回授賞式の規則では、原則としてフランス国内で一定回数以上上演されたフランス語作品が対象とされた[1]。
| 分類 | 第37回授賞式における主な基準 |
|---|---|
| 私立劇場作品 | 90席を超える私立劇場が、対象期間中にフランス国内で60回以上上演した作品。巡回公演、学校公演および演劇祭での上演は回数に含めない[1]。 |
| 公共劇場作品 | 創作費の50%を超える部分が公的資金で賄われ、200席を超える公共劇場などで、対象期間中にフランス国内で25回以上上演された作品[1]。 |
| 若年観客向け作品 | 私立劇場作品は40回以上、公共劇場作品は25回以上の上演を必要とする[1]。 |
| ミュージカル作品 | 私立劇場では60回以上、公共劇場では30回以上の上演を必要とする。歌唱部分と台詞部分が劇的な連続性の中で均衡し、作品の50%以上がフランス語でなければならない[1]。 |
| ユーモア作品 | パリの200席を超える会場で年間8,000人以上の有料観客を集めた作品、またはパリとアヴィニョンを除く地域で年間10万人以上の有料観客を集めた作品[1]。 |
過去6年間に候補対象となった作品は、原則として再び適格作品にはならない。受賞作品は、受賞後12年間、同じ部門の対象外となる[1]。
部門
現行部門
第37回授賞式では、個人を対象とする11部門と作品を対象とする8部門の計19部門が設けられた[1]。このほか、功績を顕彰する名誉モリエール賞(フランス語: Molière d'honneur)が授与される場合がある[2]。
| 日本語表記 | フランス語部門名 | 対象 |
|---|---|---|
| 私立劇場作品賞 | Molière du Théâtre Privé | 私立劇場部門の作品 |
| 公共劇場作品賞 | Molière du Théâtre Public | 公共劇場部門の作品 |
| コメディー賞 | Molière de la Comédie | 喜劇作品 |
| ミュージカル作品賞 | Molière du Spectacle musical | ミュージカル作品 |
| 視覚・音響創作賞 | Molière de la Création Visuelle et Sonore | 舞台美術、衣装、照明、音響などの創作 |
| 若年観客向け作品賞 | Molière du Jeune public | 子供・若年観客向け作品 |
| ユーモア賞 | Molière de l’Humour | コメディアンなどによるユーモア作品 |
| 一人舞台賞 | Molière du Seul/e en scène | 一人で演じる舞台作品 |
| 私立劇場男優賞 | Molière du Comédien dans un spectacle de Théâtre privé | 私立劇場作品の男優 |
| 私立劇場女優賞 | Molière de la Comédienne dans un spectacle de Théâtre privé | 私立劇場作品の女優 |
| 公共劇場男優賞 | Molière du Comédien dans un spectacle de Théâtre public | 公共劇場作品の男優 |
| 公共劇場女優賞 | Molière de la Comédienne dans un spectacle de Théâtre public | 公共劇場作品の女優 |
| 助演男優賞 | Molière du Comédien dans un second rôle | 助演男優 |
| 助演女優賞 | Molière de la Comédienne dans un second rôle | 助演女優 |
| 私立劇場演出賞 | Molière du Metteur en scène dans un spectacle de Théâtre privé | 私立劇場作品の演出家 |
| 公共劇場演出賞 | Molière du Metteur en scène dans un spectacle de Théâtre public | 公共劇場作品の演出家 |
| 女性新人賞 | Molière de la Révélation féminine | 新人・新進の女性俳優 |
| 男性新人賞 | Molière de la Révélation masculine | 新人・新進の男性俳優 |
| 存命フランス語圏作家賞 | Molière de l’Auteur/trice francophone vivant/e | 存命のフランス語劇作家 |
部門の変遷
部門構成は創設以来、複数回変更されている。1987年の第1回授賞式では、現在の部門に相当する賞のほか、脚色家、衣装デザイナー、舞台美術家・舞台装置家を個別に対象とする賞が設けられていた[4]。
舞台作品の脚色者を対象とする脚色家のモリエール賞(フランス語: Molière de l'adaptateur)は、1987年から2011年まで授与された[9]。現在の19部門には含まれていない[1]。
トロフィー
受賞者へ贈られるトロフィーは、彫刻家ジャン=アントワーヌ・ウードンが1773年に制作したモリエールの大理石胸像を基にしている[2]。
トロフィーは青銅製で、重量は2.476キログラム、寸法は長さ35センチメートル、幅11センチメートル、高さ8センチメートルである。毎年、ロストワックス鋳造によって制作される[2]。
関連項目
- モリエール
- 脚色家のモリエール賞
- トニー賞
- ローレンス・オリヴィエ賞
- セザール賞
- フランスの演劇