ランプターミナル
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通行方法
高速道路のランプターミナル付近では車両の流れが複雑になりがちで、突発的な出来事も生じやすい[2]。そのため、周囲の車両の動きに一層注意する必要がある[2]。
流出ランプターミナル
高速道路の本線からランプに入る前(インターチェンジで流出する時など)はあらかじめ分岐側の車線に移動する[2]。直前で進路変更しようとしても交通状況からできない可能性があるため、2km手前の案内標識が出たら左車線に移るのが望ましい[3]。また、都市高速道路で見られる右側への分岐がある場合は、左右のどちらも走行車線となるため、最高速度の規制範囲内で走行しているのであれば無理に後続の車両に譲る必要はない[4]。分岐が見えたら早くウィンカーを出し、減速車線に進路変更して減速する[3]。万が一、通り過ぎそうになった場合は無理な進路変更をせず通過する[2]。
高速道路の流出部では急に進路変更する車両に気を付けなければならない[2]。また、案内標識などを確認中に前方不注意で追突することも避けなければならない[5]。
流入ランプターミナル
ランプから加速車線に入れば右にウィンカーを出し、本線を走行する車両と同じ速度になるようアクセルを調整し、タイミングを見計らって本線へ合流する[3]。この時、目視やドアミラーを見ながら本線上の車両の流れを見る[3]。ドアミラーで合流する車線を2回確認し、1回目で目標とした車両が2回目で大きさが変わらなかったり、小さくなっていればその目標とした車両の前に合流する[6]。1回目で目標とした車両が2回目で大きくなっていれば、その車両より後に合流する[6]。ドアミラーでは死角が生じるため、目視でも安全を確認する必要がある[6]。
本線を走行する車両は2車線以上ある場合、合流側の車線を空けておくことで事故防止になる[7]。
設計
車線
本線とランプの分合流部での車線数のバランスは道路の機能、地域特性、分合流部における設計交通量や交通容量の関係から検討しなければならない[8]。ランプターミナル前後での車線数の望ましい関係は、合流部においては合流の元となる道路の車線数の和から1引いた数よりも多くすることであり、分流部においては分流の先にある道路の車線数の和から1引いた数よりも多くすることである[8]。ただし、都市高速道路では様々な制約条件によって本線の車線数が理想とする数で設けるのが困難な場合がある[9]。そのため、本線に主従を設定して従流となる側を1車線に絞って主流の本線を優先的に流す方法や、主流・従流ともに1車線に絞って流す方法もある[10]。特に双方を1車線に絞っても交通容量に余裕がある場合は交通安全上、後者の方法が望ましい[11]。
道路構造令第2条では変速車線を「自動車を加速させ、又は減速させることを目的とする車線をいう。」としている。高速走行をしている自動車が減速して分岐部で他の道路に流出するための車線を減速車線、低速の自動車が合流部で高速走行している自動車群に流入するための車線を加速車線と呼ぶ[12]。加速・減速のいずれも平行式と直接式の2つの形式がある[13]。平行式は車線を一定の幅でそのままある程度の延長を本線車道に平行させるもので、先端部にすりつけ部(テーパー)を設けたものである[13]。直接式はある距離にわたって徐々にランプをすりつける形式のもので、テーパー型とも呼ばれる[13]。
流出ランプターミナル
分流部に設けられる流出ランプターミナル。
ランプの分岐部では一度に3方向に分岐させてはならない[14]。運転者には1度に1つのことだけを判断させ、必要な判断の余裕時間を設けて次々と分岐させる[14]。
流出ランプターミナルは本線利用者からしっかり視認される位置に設置しなければならなず、本線の線形や構造物によって運転者が突然現れたと感じるようなものであってはならない[1]。見通しが悪いランプや急角度の分岐端では、分岐端にある標識や防護柵などの固定物に衝突したり、速度低下や急停車による追突が起こりやすくなる[15]。
減速車線の形式としては諸外国の調査を踏まえても直接式にするのが望ましい[1]。特に設計速度の高い道路や道路の平面線形が曲線である場合は原則として直接式を取る[16]。また、本線とははっきりと進路が異なっていることを運転者に分からせる取り付け方にし、間違ってランプを本線と誤認するような構造にしてはならない[1]。その一方で、流出する車両が自然な軌跡で流出できるようにしなければならず、流出角は1/15 - 1/20程度が妥当とされる[1]。
間違って減速車道に紛れ込んだ通過車両が本線に復帰しやすくするため、ある程度のオフセットを取る必要がある[1]。ノーズ区間では先端から10 - 15 mの長さは縁石で囲い、輪郭をつけて視認性を確保する必要がある[17]。路肩が狭い場合、原則ノーズの先端を車道端から離す[17]。
減速車線の延長をテーパー先端から分流端までとしたとき、下表の延長を標準とする[18]。なお、減速車線が2車線の場合は、外側車線のテーパーを除く延長を下表の1.2 - 1.5倍を標準とする[18]。一般的に、直接式のテーパー長は平行式と比べてやや長めになる[16]。
| 道路の区分 | 第1種、第2種、第3種 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 設計速度(km/h) | 120 | 100 | 80 | 60 | 50 | 40 |
| テーパー部を除く減速車線長(m) | 100 | 90 | 80 | 70 | 50 | 30 |
| 平行式減速車線の標準テーパー長(m) | 70 | 60 | 50 | 45 | 40 | 40 |
なお、下り勾配区間では下表の通り補正率を適用する[18]。これは本来、ランプターミナル付近の本線の縦断曲線は一定の値以下でなければならないものの、やむを得ず減速車線に下り勾配が入る場合に適用されるものである[16]。
| 本線の平均下り勾配(%) | ||||
| 減速車線長補正率 | 1.00 | 1.10 | 1.20 | 1.30 |
流入ランプターミナル
合流部に設けられる流入ランプターミナル。
本線とランプ相互で見通しを良くしなければならない[19]。流入ランプからの運転者は前車と本線交通の両方に注意しなければならないが、見通しが十分でない場合に流入ランプを走行した車両どうしで追突事故が生じやすい[15]。ドイツでの経験則やアメリカでの調査により、本線は100 m、ランプは60 mは見通し良好な区間を設けた方がよいとされる[19]。また、本線との合流部に安全な加速合流部があることを運転者が認識しやすくする[19]。
流入部での合流角度は小さくし、運転者が自然な軌跡で容易に本線に入るようにする[1]。形式は平行式で良いが、本線に比較的小さな平面曲線が入っている場合など直接式とした方が良い場合も多い[19]。これは平面曲線が入っていると加速車線の平面形状がねじれて見えることがあるためである[20]。それ以外の場合は、加速車線は単なる加速だけではなく待合せの車線として用いられることが多いので、加速車線の直接式の適応性は減速車線ほど高くない[20]。
長い上り勾配のように速度が低下しやすい区間の手前に流入部を置かない方が良い[19]。
合流端ノーズは分流端ノーズとは異なりオフセットを取る必要は無く、本線に付与されている路肩端にノーズを置けばよい[20]。
加速車線の延長をテーパー先端から分流端までとしたとき、下表の延長を標準とする[20]。なお、加速車線が2車線の場合は、外側車線のテーパーを除く延長を下表の1.2 - 1.5倍を標準とする[20]。なお、この長さは車両の加速に必要な延長に加え、流入チャンスを待つための延長も考慮されている[21]。
| 道路の区分 | 第1種、第2種、第3種 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 設計速度(km/h) | 120 | 100 | 80 | 60 | 50 | 40 |
| テーパー部を除く加速車線長(m) | 200 | 180 | 160 | 120 | 90 | 50 |
| 平行式加速車線の標準テーパー長(m) | 70 | 60 | 50 | 45 | 40 | 40 |
なお、上り勾配区間では下表の通り補正率を適用する[20]。これは上り勾配が加速度に対して大きな影響があるためである[22]。
| 本線の平均上り勾配(%) | ||||
| 減速車線長補正率 | 1.00 | 1.20 | 1.30 | 1.40 |
ノーズ
分合流部では交通の錯綜が生じやすく、交通容量が低下して渋滞が発生しがちである[19]。そのため、本線の交通容量がランプターミナルの前後区間より低下しないように、線形は緩やかにしてノーズ付近の幾何構造に配慮する[19]。
流出ランプにおけるノーズの最小曲線半径は、本線の設計速度に応じて下表の通りとする[19]。実際の高速道路上では運転者の速度感覚が本線上に走っている時のままであることが多いため、安全のためランプで用いられる最小曲線半径をそのまま用いてはならない[23]。
| 設計速度(km/h) | 120 | 100 | 80 | 60 |
| ノーズの最小半径(m) | 250 | 200 | 170 | 100 |
流出ランプのノーズ付近で使用するクロソイド曲線のパラメータは、本線の設計速度に応じて下表の通りとする[23]。ノーズ通過後に運転者がランプの設計速度に無理なく順応できるようにする必要があり、この区間の速度に見合って曲線半径を漸減させる[24]。
| 設計速度(km/h) | 120 | 100 | 80 | 60 |
| 絶対最小値(m) | 70 | 60 | 50 | 40 |
| 標準最小値(m) | 90 | 70 | 60 | 50 |
ノーズ付近のランプの縦断曲線半径は、本線の設計速度に応じて下表の数値以上とする[23]。
| 設計速度(km/h) | 120 | 100 | 80 | 60 |
| 凸型縦断曲線半径(m) | 1400 | 1000 | 800 | 450 |
| 凹型縦断曲線半径(m) | 1000 | 850 | 700 | 450 |
変速車線の横断構成は、原則としてランプの横断構成と同一にする[19]。また、変速車線と本線車道との間には原則として、側帯相当の幅を確保する[19]。
分合流が連続する場合
ランプの分岐端が多くなると、運転者に要求される判断が複雑になり、ミスを犯しやすくなる[25]。合流端が連続する場合も、その間に加速合流するための距離が必要となる[25]。また、合流端の直後に分岐端がある場合は織り込みが発生するため、その処理のための距離が必要となる[25]。このようにランプターミナルが連続する場合は運転者の判断・織り込み・加減速などそれぞれに必要な距離が必要である[25]。
流入の先に流出がある場合は、集散路が有効なことがある[26]。この集散路は本線とは平行で、かつ分離された道路で、この集散路に分岐部・合流部を数個設けることで交通を分散導入する機能を持つ[27]。また、本線上でオンランプの合流部の後にオフランプの分岐部がある場合は復帰車線を設けることがある[28]。
設備
道路標識
インターチェンジの出口に近づいた道路利用者に対して、インターチェンジ番号・インターチェンジ名称・行先地名・接続道路などを案内する案内標識が設けられる[29][30]。都市間高速道路では原則として予告標識はノーズ手前2 km、1km、テーパー端から400mの3ヶ所に設置される[29]。そして、テーパー端とノーズ内にそれぞれ行動点標識と出口標識が設置される[29]。都市高速道路では当該出口のある車線側上空に出口案内標識が設けられる[30]。
高速道路が相互に接続するジャンクションや、休憩施設(サービスエリア・パーキングエリア)においても分岐部の手前に案内標識を設ける[31][32][33]。
インターチェンジなどで本線交通に対する流入があることを予告する場合は警戒標識の「合流交通あり(210)」を設置する[34]。
減速車線で十分に減速してからランプに入るよう指示するため、ノーズ手前100 mに最高速度の予告の標識を設置する[35]。
- 行動点標識
- 合流交通あり
路面標示
ランプターミナルのノーズ付近のは白色のノーズの路面標示を設置する[36]。このノーズの表示は本線とランプでできる三角形の中間帯に沿って設置し、中間地帯には視認性のため導流帯としてゼブラを施す[37]。なお、このゼブラは進行方向に対して45度傾ける[37]。減速車線の場合、ゼブラは減速車線長の1/3の区間に設けることが望ましい[37]。また、加速車線の場合、ゼブラは加速車線長の1/3以下の長さとするのが望ましい[37]。
分岐部の手前には案内を目的に白色で案内標示を設けることがある[38]。車両がその車線から進行できる方向の矢印、「出口」や方面を示す文字の標示が設置される[38]。
逆走対策
合流部での逆走対策を目的に路面標示や看板などで進行方向を明示、合流部のゼブラ帯に車線分離標を設けて転回を阻止するといった対策が行われている[39]。
- 合流部で逆走防止のため矢印板や車線分離標が設けられている。
ランプメータリング
交通信号機を用いてランプから本線車道に車両が流入するタイミングを調整するもの[40]。交通量に応じて自動的に運用の開始・終了をし、渋滞がない時や激しい時は運用を止める[40]。流入車線が複数ある場合は車線ごとに信号機を設置する[40]。
アメリカでは都市部の多くのインターチェンジで採用され、合流後の車両間隔を調整することで渋滞を抑制している[41]。オランダでは交通容量が5%増加、旅行速度が30km/h程度向上した場所がある[40]。
制御方法は定時制御方式と交通適応型制御方式に大別される[41]。定時制御方式は本線車道とランプの過去のデータからランプの流入交通量を産出し、定時的な制御を行う[41]。この方式はコストは削減できるが、制御装置の定期的なアップデートが求められる[41]。交通適応型制御方式は現地の車両感知器などに基づき、交通量や渋滞長、交通密度を感知して制御を行う[41]。この方式は現地での交通に応じて制御を行うため高い運用効果が期待される一方で、現地での車両感知器の整備などで初期投資や維持管理費が掛かる傾向にある[41]。
