貨幣数量説において、ケンブリッジ現金残高方程式では、
M=kPY (貨幣量=マーシャルのk×物価×実質GDP)
の関係があり、一方でフィッシャーの交換方程式で記述すると、
MV=PT (貨幣量×流通速度=物価×取引量)
上記の公式で通貨供給量とGDPの関係式にする。主流派経済学では貨幣数量説により貨幣を増加させれば物価が上がるとされ、貨幣の流通速度は基本的に安定的であり一定と想定できることから、中央銀行が通貨供給量を拡大すればデフレから脱却できるとしてきた。
MV=PY (通貨供給量×通貨供給量の流通速度=生産量×商品価格)
しかし日銀がこのような仮定の下、デフレは貨幣現象であるとして量的緩和政策を行わせたにもかかわらず政策が効いていない。
実体経済はGDPや物価が変動する市場である一方、金融市場は物価が必ずしも反映されない非GDP取引であり、
GDP取引と非GDP取引に分けて考えるべきである。
主流派経済学は交換方程式を通貨供給量で観測しているため実体経済向けと金融市場向けに分割することができておらず、
実体経済向けと金融市場向けを分割した公式化モデルを構築しておらず、
通貨供給量が増加しても物価上昇しない理由について説明できなかった。
通貨供給量ではなく信用創造量を設定することで、実体経済向けと金融市場向けに分割できる。
金融市場向け信用創造×金融市場向け信用創造の流通速度 = 金融市場の商品量×金融市場の商品価格
実体経済向け信用創造×実体経済向け信用創造の流通速度 = 実体経済の生産量×実体経済の商品価格
非GDP取引(金融取引)が拡大すると、金融取引上の通貨供給量は増え、全体の通貨供給量も増えるが名目GDP取引(実体経済での取引)には反映されないので、結果として貨幣の流通速度は低下する。GDP取引に反映しない金融市場向け信用創造を除き、実体経済向け信用創造のみに限定すると、実体経済向け流通速度は一定である。一定であるから実体経済向け信用創造量を増加させればよい事になる。
CrVr=PY (Cr:実体経済向け信用創造、Vr:実体経済向け信用創造の流通速度)
日銀は大規模量的緩和でマネタリーベースを拡大し日銀当座預金を積み上げたが、実体経済向けの信用創造は拡大せず、デフレから脱却できなかった[10]。